白装束vs幼女先輩
突然後ろから聞こえた声に振り返るとそこにいたのは昨日の夜見変えた白装束が立っていた。気配を感じさせない不気味さと男か女かも変わらない声。顔も見えない上に、右手に握られた大剣が街頭の明かりに照らされ淡く輝き、それが更に俺たちの緊張感を高めていく。
「何の用かしら?」
最初に口を開いたのは幼女先輩もといサークラリア先輩だ。確かに不審者が3人いてその内の一人が準備万端と言った状態では態度がとげとげしくもなってしまうのも無理はないが。
「最近巷で噂になっている夜の怪談のオーブ、あれは貴様の使い魔によるものか?」
「ええそうね。」
「その技術は禁止されている、と言えば分かるか?」
「どこの者か知りませんが、あの子は最近造られた子ではありませんわ。」
「どちらにせよ、回収するのが私の仕事だ。」
その言葉と共に両名が戦闘態勢に入ったことを察知し瞬時にその場から離れる。
最初に踏み込んだのは白装束の方だ。もの凄い速度で大地を蹴り大剣を幼女に突き出す。
しかしそんな状況にも関わらず武器の一つもない彼女に不安を感じるも、突き出した大剣は金属の音と共に空中にある透明な結界に阻まれた。
「無詠唱...面白い。」
「詠唱なんて無駄省くに決まってるじゃない。」
そう言いながら追加の魔法を放つ。
「ファイアランス」
地面から突如として現れた炎の槍は白装束の身体を完全に捉えていた。しかし炎の槍は白装束を貫くことなく虚空を飛んで行った。消えた白装束を探していると空から声が聞こえる。
「これはどうか、な!!」
気が付いた時にはもう過ぎていた。空中に漂う人間が自由落下の速度を明らかに超えて彗星のような早さで落下し、地面と接触すると同時にもの凄い衝撃と轟音が辺りを支配した。
これは流石の先輩も耐えられないだろうと思っていたが結界は壊れることなく先程の刺突と同じ表情で立っている。そして落下で生まれた隙を付いて魔法を叩き込む。
「ブレイズインパクト」
その瞬間、耳を劈く大爆発が起きた。その衝撃で白装束は吹き飛ばされたように見えるが体勢で分かる。あえて距離を取ったと。直撃したように見えたが白装束はまだ元気なようでどうやって回避したのか疑問を浮かべるところである。そうして更に追撃しようと魔法を放とうとしたその時、白装束は言った。
「運が良いようだ、帰らせてもらう。それと、くれぐれも禁忌を犯さないように。」
白装束は首から下げたネックレスを取り出し瞬く間に空間の揺らぎと共に消えてしまった。
「いきなり来ていきなり戦うなんて無礼な方ね。それで?貴方たちは一体何のためにここにいるのかしら?」
戦闘で鋭くなった目つきが俺たちを睨む。二回目のその表情は慣れるはずもなく恐ろしかった。




