本好きの幼女先輩
6月に入って少ししてから雨季に入り太陽の光が浴びれず鬱屈とした日々を過ごしていた。
今日は珍しく歴史の課題でレポートの課題が出された。内容は五大神教についてまとめたものということだ。国教になっているとはいえ聖典を隅々まで見て完璧に覚えているなんてことあるはずもなく、仕方なく学院内にある図書館に向かっていた。
吹き抜けの廊下を歩いていると少し冷たい風が吹いてくる。ほんの数日前まで暖かい陽気に包まれていたというのに今となっては少し肌寒い。晴れていれば...と考えはするものの道場という室内で竹刀を振っている俺には天気など関係ないのかもしれない。まあそれでも晴れていた方が気持ち的には良いものだが。
そんなことを考えながら図書館に入り、入館書に名前を書いて目的の本を探そうと本棚の方を見る前に気になるものを見つける。
制服を着ているがこの学院に在籍しているにしてはやたらと身長が小さい、女の子と呼べそうなほどの見た目の子が目に入ってきた。本当は姉か卒業生の親の服でも借りたのではと言いたくなるような少し大きめの制服を着けていて、それが更に怪しく見えてしまう。実は子供の侵入者だったり?と。
とりあえず確認とために声をかけてみることにした。
「あの~。」
「...」
しかし読書に夢中になっているのか全くこちらを向こうとしない。もしかしたら聞こえていなかったのではともう一度声をかける。しかし今度も全く気が付いていないようだった。
「あの、ここはツァイス中央学院で...」
「うるさいわね。今本を読んでいるでしょう?後でにして。」
「いや。その見た目で在学生は無理が...」
「ん。」
何かと思えばポケットから学生証を取り出して差し出してきて。顔は本に集中しているため分かりずらいが雰囲気は確かに彼女と同じだ。魔法学科の3年、名前はエクシィ・サークラリア。この見た目で先輩か。世の中不思議なこともあるものだ。それにしてもこの姓、どこかで聞いたことあるような...
「あ!!御三家の...!」
と言った瞬間こちらを凄い形相で睨みつけてきた。おおよそ何が言いたいのか分かるがそんなに睨まなくても良いだろ。とりあえず、この先輩は本好きの悪い奴ではないことも分かったのでこの辺にしておこう。
「読書の時間を邪魔してすみませんでした、サークラリア先輩。」
そういい彼女の学生証を差し出した瞬間、もの凄い勢いで奪い取っていった。
「その名前で呼ばないで。あと貴方の先輩になったつもりない。」
そう言うと本を閉じ席を立った。そして出入り口に歩いていくが、ここは本の貸し出しはしていないのに本をそのまま持っていく。すると本を徐に手から離し、その本が意思を持ったかのように元にあったであろう本棚の空いた空間に戻っていった。便利な魔法もあるものだ。




