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Sweet Bomb  作者: 白河夜舟
fin.甘美爆弾っ!
74/75

LAST.147勝1敗だけど。いいのよ、それでも

 ラストエピソード、というより、エンディング。

 書こうと思えばまだまだ書けますが、物語としてはこの辺で終えるのがキレイ。

「よお、郁ちゃん、調子はどうだい?」

「絶好調よ!」

 ギルティったら「子供(高校生)守備範囲(恋愛対象)外だ。だが、もしお前がハイスクールを卒業しても気持ちが変わらないんだったら、改めて考えてやる」ですって!

 あたしたち、将来を誓い合う仲になったのよ!

 恋の力は偉大なのよ!

「ハハハ、その意気だ。しっかり頼むよ」

「任せてっ!」

 シリウスコロニーと小惑星NO.152の採掘権を巡る争いは、マッチメーカーのドーリングで決着を着けることになった。

 今日が、その決戦の日。

 あたしたちの住むコロニーの住民と、シリウスコロニーの住民と、多分他のコロニーの人たちも。

 ものすごい注目を集めているらしい。

 まあ、戦争で大勢が争うよりも、平和的なのかもね。

 100勝したメガドーラーは引退するという規定が解除されて、メガドーラー同士ならドーリングして良いことになったわけで。

 その規定解除を利用して、この記念大会が開催されることになった。

 で、優勝賞品が、小惑星の採掘権、という理屈らしいわ。

 ま、うまいこと考えたんじゃないの?

 で、あたしたちのコロニーの優勝者のギルティ(素敵な彼氏)ランス(にしたいな)は怪我の回復が間に合わない、ということで、準優勝者(恋人立候補)のあたしに白羽の矢が立ったわけ。

 TILTのもう一人、たしか不戦敗にされた2st.ドーラーはどうしたのよ?ディランとか言ったっけ?

 ギルティに聞いてみたら。(脅したんじゃないわよ?そんなことしないわよ?)

 不戦敗という待遇に不服だったらしく、TILTを辞めたのだそうな。

 簡単に辞めれるもんだったかしら?と思ったけど、そいえばあたし、パパを爆散させたと知って、TILTを辞めたんだった。あの時、誰にも何にも言われなかったから、多分大丈夫なんでしょう。

 で、その彼はシリウスコロニーに渡って、向こうの優勝者になったドーラーを蹴散らしちゃって、この試合の相手になっているんだとか。

 ん?バカなの?

 相手があたしだと知って?

 いや、違うか。ギルティだと思ってたのか。不戦敗にされた恨みを晴らしたいだけか。

 ま、なんでもいいや。強い相手は歓迎するわ。

 でも、もう禁止武装はコリゴリだから、それは止めてね。

 “銀河流星剣”とか、絶対に止めてよね。マジでやめてよね。


 愛機Sweet Bomb。

 あの激闘から暫くたつけど、すっかり元通り(完全修復)になってくれた。

 天使モチーフの白を基調にした、ヘビー級にしてはスリムな機体。

 前の武装も悪くはなかったんだけど、やっぱりあたし好みの武装に戻してもらったんで、両手にはフィールドパンチAP。腕にはビームシールドS。肩にはフィンファンネルが整然と16機、翼の形に組まれている。

 メガドライブ内蔵。脱出装置はコアファイター。脚部のブースターユニットは、最近開発された最新式。テスト段階の最終試験に使ってもらおうということらしい。

 ちゃんと動きさえすれば、なんでもいいよ。あたし、天才だし。

「よっと!」

 掛け声一発、コクピットに飛び乗る。

 対Gシートのふわふわ感は、あたし好みのチョイ控えめ。

 アームベルトは、ややキツメ設定。

 男に抱かれている感じ?だといいな。知らないけど。

 コクピットドアが閉じる。コアファイターのキャノピーは、光の加減で見えなくなり、全方位型(マルチ)モニター、正面のドライブギア、各種パネルも順調に作動。

 灯。匂い。振動。機体と一体になる、この万能感。

 ああ、生きてるって感じ。

 AK(アーマーナイト)搭乗()れない?

 トラウマ?

 なにそれ?

 それは、あたしじゃない。

 だから、戻ってこれて、良かった。

 本当に、良かった。


「パスワードを入力してください」

 電子的な音声の照会。

「ただいま“グランザール”」

「お帰りなさいませ、姫様っ」

 いつものCPUグランザールの凛々しい顔に、癒される。

「いくみぃ、お帰りぃ」

 こっちも、いつも通りのパパの声。

「ん、ただいまパパ」

 機嫌は取っておく。ギルティ攻略(恋の成就)のため、パパには頑張って貰わないとだもんね。

 あたしが死んだら、パパも、多分死ぬ。だから、あたしは死ねない。

 大丈夫よパパ。パパは絶対死なせない。

 パパに、あたしの子供、パパにとっては孫になるわね。

 きっと、見せてあげるね。

 パパを、おじいちゃんに、してあげるね。


 超高粒子バリアーに被われた、3キロ四方に渡る平面の闘技場。

 わざわざこの試合のために、宇宙ステーション込みで建設したらしい。

 コロニー同士の紛争解決の為なので、どのコロニーからも中立の立場を保つためなのだとか。だから、今後は重要な試合で使われることになる。

 まだ新品の闘技場。あたしたちが、初めての試合らしい。こけら落としを兼ねているのね。

 その闘技場の中央に、あたしは機体を進める。

 あたしのお相手も、待つまでもなく登場する。

 同じヘビー級同士。ビームセイバー、ビームシールドSの両手両腕持ち。

 肩はファイヤーバードアタックシステム。なにそれ?流行ってるの?

 故障覚悟のビーム系ソード2本に、ソード形状にもなるビームシールドSで、追い足はファイヤーバードアタックのブースターで逃がさないってわけか。

 前にまともに闘いそこなった、“オート後の先”機能搭載のSweet Bombの、パイロット搭乗バージョンってわけね。

 おっけー、相手にとって不足無し。

 真正面から、叩き潰して差し上げるわ。


 試合前に、お互いに名乗りあうのがルール。

「応援してくれたみんなのために、絶対に勝つ!」

 へえ、応援されてるんだ、そうなんだ。良かったね。

 でも、残念ね。相手は、ギルティじゃなく、あたしなんだよね。

 一応、言われてるんだ。“TILT”として、闘っていいって。

 別口で、あんたの首賞金、結構な金額が出るんだわ。

 だから、ごめん。全力で叩き潰す。

 大きく息を吸い。

 マイクカフを上げ。

 147勝1敗だけど。

 いいのよ、それでも。

「あたしのSweet Bombは、絶対無敵なのよっ!」



           (本当に、おしまいっ!)


 エンディングシーンだけは、最初から決めていました。

 書き出したのも、あのシーンが上手く書けたから。

 だから、最後も同じように、です。

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