表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sweet Bomb  作者: 白河夜舟
fin.甘美爆弾っ!
67/75

59.山盛りパフェ

 最終章。fin.

 日本語で最終章と表現するのは簡単ですが、今まで章を数字で流してきたので、これで最後だよ、の章表現に苦慮しました。

 END? end? しっくりこない。

 fin. ~最後に入れる(おしまいっ!)だよねえ。

 使い方を間違っているのは承知の上で、まあいっか、です。




「昔さ、あたしがミドルスクールに入る前はさ」

「うん」

「よくパパと、旧時代のドラマとか、映画とか観てたんだよね」

「うん」

「パパったらさ、ホント、しょーもないもんばっかり観ててさ」

「うん」

「パパと、あーでもない、こーでもないって言い合って、すっごく、楽しかった」

「そっか」

「よく、子供に動画ばかり観せてると、ロクな子供にならないとかいうけどさ」

「うん」

「あれさ、親が一緒に観てさ、あんまり内容酷かったら、そういうものではないとか、あんたはこんな風になるんじゃないよとか、言ってあげればいいじゃないのさ」

「うん」

「なんでも人のせい動画のせいにして、親のせいではないって自分を肯定するのって、卑怯だと思うんだよね」

「そうだね」

 あたしのたわいない話を、なぜか楽しそうに、みーよは聞いてくれる。

 ジョシコーセー好みのカフェ、どっか紹介してってお願いしたら。

 なんか張り切ってこの店に連れてきてくれた。

 なんでも、山盛りのパフェが、期間限定で挑戦者求むのだとかなんだとか。

 “挑戦者求む”って、なんかワクワクしてこない?

 みーよの期待に応えるべくお願いしたら、10リットルのバケツ位あるかな、何の容器だろう、観賞魚でも入れる水槽?にてんこ盛りで“パフェ”がやってきた。

 みーよに“(アナライズの)(意味あるかな)”動画を撮ってもらいながら、あたしは猛然と甘味爆弾(山盛りパフェ)に挑んだ。

 意外にしっかり(きちんと計算)した味で、強烈な甘さとかじゃない、素材の果物を引き出した中々のレベル。普通以上に美味しい。

 盛り付けも美しい。ただ単になんでも詰め込めばよいってものじゃない。斜めのラインにイチゴや桃やミカンやキウイを飾り切りしたものが、渦を巻いて広がるイメージ。

 合間に挟まれている生クリームが、これまた美味しい。アイスで冷えた舌を優しく包みながら、次の果物はどれかしら、と探す楽しみも与えてくれる。

 これ、完食したらタダって本当?

 なんか、騙されてない?

 そいえば、時間制限あるんだったっけ。間に合うかな?とか思いつつ、あ、でも、これ楽勝だわ、と気を取り戻して。

 開始30秒瞬殺とはさすがにいかなかったけど、10分で食べ終えたわ。

「ホントに食べちゃったんだ。スゴイね…」

 あきれ顔のみーよに、Vサイン。

 そういえば、Vサインも旧時代の名残だったわね。

 で。

 口直しにホットコーヒーと温かいパンケーキを食べながら(まだ食うのか)、みーよ相手にたわごとをつぶやいている。

 みーよは、あたしがこのガッコーに入学してから、何の懸念も関係もなく付き合ってくれるただ一人の友達。

 他のクラスメートや子分どもは、あたしを色眼鏡やゲテモノとしてでしか見ないけど。(いや、人気はあるのよあたし。ホントよ?)

 こんな風に接してくれるのは、みーよ、あんただけだよ。

 あたしがミドルスクールに入るころには、パパは家にいなくなっちゃったから。

 あたし、あんなにパパになついていたのに、いなくなっちゃったから。

 ちょっと、グレた。ん-今にして思うと、結構グレてたと思う。

 誰もあたしの事分かってくれないし。受け入れてくれるのは母ちゃんだけだし。

 でも母ちゃん結構いい加減だし。パパが仕送りでお金を振り込んでくれているのは知ってたし。

 一人にしといて欲しいのに、やたらケンカを売られてたなー

 女の子ひとりに、卑怯だと思わない?

 いや、あたしの目つきとか雰囲気が、そうさせてたのかなぁ。

 ちがうか。いくらなんでも、もうちょい原因とか、あるよね。

 ん-多分、格ゲーの対戦で、相手を完膚なきまでにボコったら、リアルで怒り出しちゃって。

 ンで、ヤツにとっては、相手(あたし)がミドルスクール通いの女の子(小娘)で。

 舐めてかかったら、本当に(リアルで)ぼこぼこにされて。(正当防衛よ正当防衛)

 バックにいたお友達とかお兄ちゃんとかもついでに総なめに(お片付け)したら。(だって、残さず食べなきゃもったいないでしょ?)

 んなことを、飽きずに何回か繰り返してたら。

 そのうちに、だれもあたしに歯向かわなくなっちゃって。

 あれ?あたし、天才?

 とか思ってたら、TILTからスカウトされて、適当にガッコー行きながらSweet Bombでドーリング(ザコ共を蹴散ら)してたんだよね。

 思い出した。昔、パパが対戦ゲームを色々買ってきて、二人で遊んでたら、パパ、全然あたしに勝てなくなって。

 それで、ゲームしなくなって、代わりにへんてこな旧時代のドラマや映画を観始めたんだった。

 そっかー、娘にいいとこ見せたいもんね。ゲームとはいえ、負けっぱなしじゃ面白くないよね。

 あたし、手加減してあげれば良かったのかもね。

 大人げなかったかもね。

 いや、あの時は子供だったんだから、“子供げなかった”か。

 ん?そんな言葉、ある?


 TILTの部分だけはさすがに伏せて(機密事項だからね)、みーよにあれこれ愚痴ってたら、気持ちがスッキリした。

 女子のストレス解消は、やっぱり甘いものとおしゃべりだわね。


 親子、教育、天才の扱い方、孤独、友人、甘美、恋愛etc…

 最終章ですから、存分に“甘美爆弾”詰め込みます。

 乞うご期待っ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ