42.Sweet Bomb
BOSS、登場。
勝ち目はともかく、郁美はとにかく観察します。まずはそこから、らしいです。
あ、ようやく来た。
あたしのお相手、懐かしい機体。パパを氷漬けにしている原因の片割れ。
Sweet Bomb
全長30.3m。重量級の平均からは、1割ほど小さめ。
本体重量は…忘れたわ。体重の話はキライなの。
白を基調としたカラーリング、天使モチーフなのよねぇ。好きだったなぁ。
武装は、え?
両手剣、しかも実体剣?
グレートソード、だ。
珍しい。とても珍しい選択。
故障したときのための予備とか、戦術の幅を広げるとか、とにかく、手は2本あるんだから、武装は片方ずつ持つのが当然の選択。
いくら実体剣だからって、そんなのは…
いや、ありか。アリよりの有りか。
考えてみれば、あたしだってフィールドパンチAP両手に持ってるのは、単なる故障対策だもんね。
絶対に故障しない代わりに、両手持ちという仕様だったなら、そうしているわ。
しかも、グレートソードは絶対に故障しないしね。
あと、防御率10%のおまけつきだったと思う。剣自体が大きいので、防御にも使えると認定されているはず。
まあ、おまけでしょ、10%なんだから。さすがに防御10%の確率を引き続けるのはありえないわね。
腕には、あたしが引き継いだビームシールドS、じゃなくて、Lの方を選んでる。故障しないグレートソードなら、予備武器は必要ない。なので斬り合い上等、防御の耐久性もバッチリ、という選択ね。
ついでに、両手剣なら盾との兼ね合い取り回しはあんまり関係ないし。だって両手剣なんだから、細かい剣技なんて使わない。ただ振り回すだけだもんね。
つまり盾ごと両手で大剣を振るうわけだから、盾の大きさは気にしなくていいのよね。
肩装備は、両肩に装備するファイヤーバードアタック??
あたしが二回戦で爆散させた、あの初心者が使ってた装備じゃない?
当然、足も同じ装備だわ。
遠距離からチマチマ撃つための機動力を、近接戦闘型がなんで装備してるわけ?
あたしと同じ、フィンファンネルでいいんじゃないの?使い勝手良いし。
ん?ってことは、絶対壊れない武器で、絶対に接近戦ができる追い足を使って、堅い防御盾も生かして、殴り合いで仕留めてやろうってことかしら。
うぬぅ、それは、考えたこと、無かったわ。
言われてみれば、それ、考える価値ありかも、ね。
あたしも、とにかく接近戦にさえ持ち込めば何とかなる、クチ。
防御オンリーにするか攻守兼用にするかはともかく。
逃げる相手を追い詰めるには、絶対的な追い足があればOKなんだしね。
ん-でもねえー。わざわざそのために、貴重な肩装備をファイヤーバードアタックにするぅ?
正直、逃げに徹するだけの相手なら、そこまでの追い足が無くてもどうにかなっちゃうんじゃないの?
ん-どうもねー。
あたしには、ちょっとシックリこないわ。
はっ。
現実逃避したいわけじゃないのよ。(いえ、したいけど)
どうやって最小限の被害で負けられるか、その辺の作戦を練らなきゃならないのよ。
はぁー、せめてパパが起きてくれさえすればなー。
こういう極端に偏った機体って、ワクワクするのよね。
闘いたいなぁ…
TILTの二人とも、Sweet Bombとも。
闘ってみたかった、と感じるのは、郁美が天然のバトルジャンキーだからなのでしょうね。
なので、危ないと思える橋でも渡りたくなる。そこに好敵手がいるから。