表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sweet Bomb  作者: 白河夜舟
6.剣聖降臨っ!
47/75

39.トラブルってなによー しっかりしなさいよー

 ホント、しょーもない与太話が、しかも長くなってスイマセン。

 いよいよ本戦、準決勝の始まりです。

 しょーもないブリーフィング(与太話)を済ませて、いよいよメイン会場へ。

 今、スペース標準時刻で、午後6時。朝からの二連戦、移動とインターバルで中々大変な一日なんだけど、午前中のドーリングは機体も装備もあたしもノーダメージなので、特に問題はないわ。

 オーナーは試合を見守るべく、オーナールームへ。

 あたしと源さんとパパは、メイン会場に別ルートですでに届いているグランザールの試合前申告と最終調整(アジャスティング)を行いながら、準決勝の相手待ち。


 準決勝に出そろった4機のうち、TⅠLTチームは当然2機。

 トーナメントではあるけど、準決勝の相手はランダムで決まる。

 当然、あたしはTⅠLTのどっちかに当たるでしょうね。

 ついでに決勝もね。

 その辺、ランダムとかいいながら、きちんと操作(チート)されるのは想定内(分かってる)

 なんでもいいわ、勝てばいいのよ。

 …なんだけど。

 トラブル?みたいで、あたしとTⅠLTの2機は会場に着いてるんだけど。

 もう1機の準決勝進出者(セミファイナリスト)が、まだ来ていない。

 なによ、こっちは十分アイドリング済ませてるのよ?

 不戦勝なんか、いらないんだけど。

 ってか、ここまでおぜん立てしといて、中止とかやめてよね。

「会場にお越しの皆様、お待たせして大変申し訳ございません。第3会場の勝者が、機体トラブルのため、不参加になりました」

 決勝会場全体に、合成音声の落ち着いた男性のアナウンスが広がる。

 はあ?

 いや、どうせ対戦相手が操作されて、あたしとは闘わないでしょ、とタカをくくってはいたけど。

 トラブルってなによー

 しっかりしなさいよー

「大会本部としましては、ドーリングをお楽しみの皆様のためにリザーバーをご用意し致しました。どうぞご安心ください」

 リザーバー?

 聞いてないわよそんなの。

 オーナールームに緊急回線(エマージェ)を即時接続(ンシーコール)

 慌てて画面に出てきたオーナーをギロッと睨むと、アワ喰ったように首を何度も横に振る。何にも知らないらしい。

 ホントに知らないの?なんか企んでるんじゃないのぉ?

「彗星のように現れ、見事147連勝を達成し、負けなしのまま突然引退した、伝説の“Sweet Bomb”が、まさかの登場ですっ!」

 会場に、いきなり大歓声が沸き起こった。

 各コロニー全体に放映されるドーリングは、観客の声だって高性能収音マイクで拾い上げていく。特徴があったり、試合の流れに沿った内容だったり、純粋に声が良かったり、そういう声をコンピューターが判断して拾い、編集して流していく。

 だから“破壊神”だの“血に飢えた殺し屋”だの、ありがたくない昔のあだ名もきちんと拾い上げてしまう。

 あ~マズいぃ。モロにパパに聞かれてる!

 “アズラエル!”

 “死の翼アズラエル!”

 あ~やめて~連呼しないで~!

 ったって、今更スピーカーをオフになんかできない。

 んなことしたら、本当にあたしの昔のあだ名がアズラエルだってバレちゃう。

 …ええい、女優(アクトレス)魂全開じゃ!

「ぱぱぁ…どうしよう…」

 バイザーの偏向フィルターをちょいと明るめに。

 コクピットモニターの照明をほんのちょっと落として。

 あたしの顔がうっすらとスポットライトでも浴びているようなイメージで。

 うっすらと涙ぐんで見せる。

 そう。涙は女の武器なのよ。

 あたしみたいなサモア系色濃い血筋特有の目鼻くちびる眉毛までもが濃ゆい顔でも、武器は武器なの。

「あたし、あの“Sweet Bomb”に憧れてたのに。まさか本体が降臨するだなんて…」

 あの機体のパイロットは、あたしじゃない。

 あたしは、あの機体のパイロットに憧れていただけ。

 わかるでしょ、パパ。

 そういうことなのよ。

 そういうことにしといて頂戴。

 いまだけ、今だけでいいから。

 お、ね、が、い!

 画面のパパは、フリーズしている。

 あたしの涙に?

 それとも、会場に響きわたる、観客たちの大声援に?

「郁ちゃん…大丈夫かい?」

 パパの代わりに、源さんが声を掛け(コールし)てくれた。

「ん-マズいわ。グランザール、全然動かない」

 声に出してみて、少し冷静になれた。

 (げん)さんありがと。フリーズしてんのは“あたしも”だって、その声で気づけたわ。


 序破急。小説の基本ですね。

 こんないい機体にあたしが搭乗してるのよ?勝って当然当たり前じゃないのさ、な郁美をいかにして懲らしめてやるかが、作者の腕の見せ所ですのでネェ。

 もちろん当然予定通りです。ここまで引っ張ってきた伏線、いつ使うの?今でしょ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ