4コンピューターはオバカさん
今回の投稿は短いのですが、他とくっつけると長くなるので、しょうがないかな。
武装登録を済ませて、試合用カタパルトにグランザール様をお乗せして。
「んじゃ、行ってみよっか?」
「郁ちゃん、気をつけてな」
モニターの奥で、源さんが心配そうに見てる。
「だいじょーぶだって。オーナーきたら、晩ゴハン宜しくって言っといて」
源さん、苦笑してモニターから消えた。
大方、最後の遺言がそんなのでいいのかとか思ってるに違いないわね。
どうしてみんな、物事を悲観的に考えちゃうのかしらね?
あたしは違う。
だから…
「いくみぃ、動くよ?」
「んもうパパ、それ位のことは勝手に一人でやりなさいよ」
「す、スマン…」
あたしのグランザール様がしずしずと動いていく振動が、コクピットにも伝わってくる。
こんな基本的な動作は、コンピューターに任せておいて構わないわけ。操作系と攻撃系は一応別系統になってて、時に応じてコンピューターと分担し合うから、パイロットがいらないという事はありえないけど。
ていうか、コンピューターって総じてみんなバカ過ぎ。
相手のパイロットが気絶でもしてくれれば、あたしなんかにとってはデクノボウを叩き壊すようなもんだし。
まあ、パパの場合は「最高の演算能力を持つ人工生命体」みたいなもんだから、機体を操作する腕前は結構いい感じだと思うわよ。
もちろん、あたしに比べたらまるでたいした事はないけど、あたしの機動パターンを読み取って、独学で勉強しているみたい。
あ、もちろん、パパの存在は大会本部には内緒。
本物の人工生命体コンピューター「THE SUN」はブラックマーケットでしか手に入らないし、闇の市販価格は5000crもするとかいう話なんだって。
んでも、あたしたちのチームで登録しているコンピューターは、簡易コンソール程度の機能しか持っていないコンピューター、レベル0の「キッド」なのよね。
だから、パパの事がバレちゃったら、かなりマズイ事になる。
ガシッ…
なんて言ってる間に、パパったら、ゲートに機体を挟んじゃった。
「いくみぃ、ごめぇん…」
「全く、ただ歩くことも出来ないわけ⁇」
ため息をつきながら、さっさとグランザール様を起こし直す。
んもう、観客席から笑い声が聞こえてきそうだわ。
まあ、試合会場までの移動は、大抵コンピューターにやらせるから、本部の目を晦ます、いい目隠しにはなるんだけどさ。
だって、300万crだなんてバトルシップが一隻丸ごと買えちゃうような借金を抱えて、憐れみで支給されるギリギリの2000crで機体作ってるあたしたちが、んなバカ高いだけであんまり意味のないコンピューター使えるわけがないはずだからね。
この作品を書いたころのコンピューターは、本当におバカでした。
最近のコンピューターの革新ぶりは、素晴らしいの一言です。
しかし、未だに自動車の自動運転は実現していないところを見ると、人間だって結構スゴイんだと感じますね。