表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sweet Bomb  作者: 白河夜舟
5.鉄拳無双っ!
39/75

31.この程度の相手に、きちんとした手の内なんて見せないんでしょ?

 1,2回戦を勝てれば十分、なチームに対して。

 優勝を目指すチームは、初戦から戦略を組んでいます。

 手の内は、なるべく見せない方が良い、という考え方と。

 ある程度、実力の差を見せつけて、相手の戦意を喪失させてダメージを少なくして勝ちあがる考え方。

 どっちもありですが、郁美は割と後者寄りの考え方です。

 左足首から起動させて、左脚、腰の回転、更に肩、腕、そして、手首。

 軽ぅく、連動させてみたけど、さすがは(げん)さんね。一発で調整OKだわ。

「こんな感じでいいのかい?」

 モニターの向こうで、半信半疑してる(げん)さんに、軽く機体の右手を上げて答える。

 ま、狭い格納庫(ハンガー)の中で、全開(フルパワー)で打ち込むわけにはいかないから、見た目は多分わかんないんだと思う。

「いいわよ。さすが(げん)さんね」

 いやぁとかなんとか、いい年して照れている(げん)さんに合図を送って、武装の再点検に取りかかって貰うために、グランザールをベイ(整備台)の中に再び挿入し(いれ)直した。

「…いくみぃ、こんな調整(チューン)になんか意味でもあるのかい?」

 あはは、パパにも判んないのか。

「一応ね。準決勝か、決勝用に使うための調節(アジャスト)だから、今のうちに詰められる所は詰めて置かないと」

「ふうん……」

「それより、次のお相手の方、分析録画(アナライズムービー)はちゃんとしてくれたんでしょうね」

「そりゃもう、バッチリだよ。それにしても、コイツ強いねぇ」

 パパのバッチリはあんまり当てにはならないんだけど、録画位はきちんとやってくれる。

 スタジアムで行われている第3試合の録画ビデオは、まさに華麗の一言だった。

 前に使っていたレーザーソードの最上級版、ビームセイバーの二刀流に、ビームシールド(スモール)を両腕に装備。(ラージ)じゃないのは、剣捌きを重視しているというところかしら。盾が大きいと、どうしても可動域が狭まるのよね。

 片手に盾をもつ選択も、当然ながらあるのだけれど、ビーム系の武装(ウェポン)は故障リスクが常に付きまとう。なので、両手にそれぞれ持つことでケアしているわけね。

 あたしも同じ。というか、上級ドーラーの主流スタイルね。

 スゴクどうでもいいことだけど、CPU(コンピューター)はホントにバカなので、攻撃を任せると一度につき片手の武装しか使おうとしない。人間的には、二刀流なんだから両方の剣を使って技を繰り出すのが当たり前ってところじゃない?

 でも、仕様に極めて忠実なCPUは、そういう発想(思いつき)にはならない。

 攻撃をCPUに任せきりにする下手くそドーラーも、見た目重視だか知らないけど、別系統(左右別々)の武装を好む。

 よく吟味して、これに命を預ける覚悟で選んだ武装(愛用品)に故障リスクがあるなら、両手に二本持てばいい、という発想(結論)にはならないみたい。

 まあ、相手が何してくるか分からない場合に備えて、色々対応(オールレンジ)できるようにしておくつもりなら、ありかもしれないけどね。

 あたしは、そういう細かいことする位なら、火力全開で瞬殺(速戦即決)する方を選ぶけどね。だって、戦う時間が短ければ短いほど、故障する可能性を減らせるでしょ?


 このビームセイバー使いも、あたしと同じ。

 右下から軽く振ったフェイントに反応して下がったミドルサイズの甲虫系(ビートル)?マシンに、一気に踏み込んで(ついでにスイッチして)左手のサーベルの突きを連打。相手CPUは完全に右手からの攻撃と思い込んでたらしく、全弾命中(オールイン)

 受けたダメージが酷すぎて、CPUの反撃モードが酔っぱらっているみたいでまるでなってない。

 そのまま、ビームセイバー使いの大上段に振りかぶった十字切りで、一気にカタが付いちゃった。


「参考にもなんにもならないわね。相手が弱すぎるわ」

「いやいやぁ、そんなに弱くもないと思うよぉ?いくみぃの武装だと、近づかなければならないだろうけど、相手ドーラーは距離を取って反撃するつもりだったんだろう?今のはしょうがないとおもうけど?」

 ああ、まあ、パパにはわかんないかもね。CPU(オバカ)にはできない、移動しながらの攻撃(ムービングアタック)、しかも左右使い分け(スイッチあり)のフェイント込みだしねえ。

 単にプログラムされた操縦で、既定の武装とエンジンをフレームに詰め込んで、ガチャガチャぶつけるだけなら、そういうのでいいんだけどね。

 そういうことだと、あたしや(げん)さんみたいなプロフェッショナルは必要ないんだけどね。

 ま、こいつも一応、プロフェッショナル扱いにしといてやるか。

「まあ、あちらさんも、あたしの戦いを解析(アナライズ)して、参考にならないとか言ってるだろうから、お互い様ということで」

 そうでしょ、ビームセイバー使い?

 この程度の相手(ザコ)に、きちんとした手の内なんて見せないんでしょ?

 でも、あたしには、きちんとした手の内を惜しげもなく魅せてくれるんでしょ?

 …試合(ドーリング)が、楽しみだわ。

 本作「2.流星乱舞っ!」で登場したレーザーサーベル使い、再登場です。

 安い機体を丁寧に乗りこなしておりましたが、今回は郁美同様、武装も機体もメガドーラー大会用に変更しております。

 当然、TILTの2st.ドーラーです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ