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Sweet Bomb  作者: 白河夜舟
SIDE-A.紅桜白塵っ!
22/75

SIDE-A 2.吉味屋って、つまりは戦場なのヨネ

例のお店へ直行便。作者も当時、よく通いました。安くて早くて旨、くは、ないかな?

 プロレスゴッコしてたら、一層、お腹すいちゃった。

 ママチャリ吹っ飛ばして、行きつけの吉味屋さんにチョッコー。

 ガキの頃から「女の子」である事を諦めていたあたしにとって、普通の女の子は敬遠しちゃうような吉味屋の敷居なんて、片足で踏みつぶしてコネコネしちゃう位のもんよ。

 チャリは駐車場に止めたりはしない。

 邪魔にならないように、でも、不届きなバカヤローにカギぶっ壊されて盗まれたりしないように、窓際か玄関口に止めるのが吉かな。とにかく、人の出入りとか視線が漂う辺りに置かないとね。

 ガラス張りのトビラをくぐり抜けると、仄かに漂ってくる牛丼の香り。

 でも、そんなものに惑わされてはダメなの。

 店員たちは、すでにあたしがチャリを止めた時点でチェック入れてるのよ。

「一名様ご来店です」

「ご来店です」

「ご来店…」と、まるで航空爆撃の警報サイレンのように店中に響きわたらせているわ。

 そう、吉味屋って、つまりは戦場なのよね。

 でも。

 いつでもどこでも“絶対無敵っ!”を貫いているあたしにとって、この程度で雰囲気に飲まれるなんて事はありえないわ。

 堂々と正面から、店内に足を踏み入れる。

 それでも、細心の注意を払って、すでに食に勤しんでいる他の方々の注目や視線を浴びないような、至極当然ともいうべき、貫祿を踏まえながら来店しなければならないのよ。

 この点、あたしは圧倒的に不利。

 でも、それは仕方のない事だわ。

 この、溢れんばかりのプロポーション、ピチピチの現役ジョシコーセービームの嵐、清楚な制服に身を包んだ、心優しき乙女の登場と来れば、世の男共の誰しもが目を奪われずにはいられないんだわ。

 ああ、あたしって、なんてツ・ミ・ツ・ク・リッ!


 …なんて冗談はさておき、吉味屋で絶対に禁物なのは「迷う」ことよね。

 「どこに座ろっかなー」なんてウロウロするなんて、もっての他よ。

 あたしは、店内中央の奥まで進んで左側の席が空いてれば、まずそこに座ると決めてンの。

 3人4人が同時に座れるテーブル席に座らないのは当然だけど、カウンター越しにムサい男共がわらわらっと牛丼掻き込んでる所を見なくて済むように、背中向きに座るわけ。

 向いの席の奥はトイレだから、その煩雑さを嫌って、あまりそこの席は埋まらないので、自分だけの視界を確保しやすい。

 もちろん、調理場の直ぐ側だから、店員さんがすぐに対応してくれるメリットもあるし。

 ついでに、調理場をさりげなく覗けるというお楽しみもあるのよね。


お店のルールが分からない客にとって、ハードルの高いお店でしたね。

その分、通い慣れると、いかにも常連、な振舞いをして、ちょっとした優越感に浸っていた記憶があります。

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