19.い・く・み、お寿司、食べたいなぁ…
章の終了エピソードが長げぇ…こんなに書いたっけ⁇
しょうがないので分けました。短めです
ギルティを見送った後で、あたしたちは期せずして互いの顔を見合わせた。
「い、郁美君…大丈夫か?」
「ええ、大した事はないわ。ちょっとお尻が焼けちゃったけど」
うん、足も、もう動く。
でも、スカートに電撃の焦げ目がついちゃってる。
制服は替えがあるけど、身体の傷はごまかせそうにないなぁ。
母ちゃんになんて言い訳しようかしらん。
「それよりも、その物騒なもの、さっさと片づけてくれない?」
「あ、ス、スマナイ、こうでもしないと、君は彼を殺しかねなかったから…」
深いため息をついて、オーナーは、今ようやくその重さに気づいたみたいに、銃を降ろした。
「んなわけないでしょ。ドーリング中じゃあるまいし」
ったく、あたしの事をなんだと思ってんのよ。いくらなんでも理事長室でお客を殺しちゃマズイって事位、判ってるわよ。
せいぜい“半殺し”に済ませるつもりだったのに。
ま、半分は助かったけどね。
「で、どういうことなのよ。これだけ派手にやらかしたんだから、オトシマエはきちんとつけてくれないと、腹の虫が納まらないわよ…」
あたしのお腹が、「そうだそうだ」と言わんばかりに、ギュルルと鳴いた。
んもう、将来は女優を目指しているあたしが、こんな所でカッコ悪いNG出してる場合じゃないっていうのに。
「いや、“派手に”やったのは、ワシじゃなくて君の方じゃないか」
「そうね。お腹すいてるから、話の途中でイラツイテもうひと暴れするかもね。最初はそのつもりで来たんだし」
オーナー、一気に顔が青ざめてる。いい気味よ。
「そうねぇ、“朝日寿司”で手を打って上げるわ。それとも、ここで話を済ませる?」
あらま、オーナー、深く考え出しちゃった。
どっちもイヤだから、いっそ手元のパルスレーザーで黙らせようかとか思ってるんじゃないわよね。
あたしはそんな邪気を出させないように、机を回り込んで、オーナーのイスを軽く引いてあげる。
「お、おい…」
「い・く・み、お寿司、食べたいなぁ…」
そのまま、オーナーの膝の上にドッシンとお座りする。
「グエッ…」
なによ、現役ジョシコーセーが男の膝にお座りしてるのよ。そんな態度は無いんじゃない?
オーナーの首に“軽く”腕を回しながら、耳元に息を吹きかけるように呟いてあげる。
「でも、オーナーの方も“美味しそう”よねえ」
「よ、よせ…」
なんでガタガタ震えてるのよ。しっつれいだとは思わないの?
ヒップアップボンバーから巨乳パイパイブレス、ついでに女王様踏み踏みもつけてのジョシコーセーフルコース昇天三段コンボなんて、そんなに味わえるものじゃなくってよ。
「ドッチにしよっかなぁ…」
「わ、判ったよ。スシ、食いにいこう」
「やったぁ!」
感激のあまり、オーナーのホッペタにキッスしてあげる。
やっぱり、なんだかんだ言っても、男は顔よりもお金、お金よぉ!
バッタン。
あらぁ、感激のあまり、オーナー倒れちゃった。
ダラシナイわねぇ。
ま、こういう超接近戦であたしに勝てる男は、未だにお目にかかった事ないんだどさ。
日本人ならやっぱり寿司でしょう。お寿司食べたいなぁ…