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推定悪役令嬢の自閉スペクトラム症育児〜異世界で児童精神サロン開きます!〜  作者: こん


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閑話.肌欲

10000PVありがとうございます!!!

嬉しすぎて、いつもとは毛色の違う話を書きました(*^ω^*)

ただ夫婦がイチャついてるだけの話です。笑


 肌欲。


 人間の三大欲求は食欲、睡眠欲、性欲だと言われているけれど、個人差がありすぎると思う。睡眠欲はまぁわかる、世の中にはショートスリーパーと呼ばれる人たちが存在するわけだけれど、彼らも短時間とはいえ睡眠は要するわけで、眠くはなるわけで。食欲もまぁわかる。摂食障害の患者さんは食べないけど、でも彼女たちは頭の中が食事のことに支配されてるから、食欲にむしろ支配されているわけで。食事はしないと物理的に死んでしまうわけだから、食欲というよりは生きる欲……? あ、それは睡眠も一緒か。だからうつ病患者さんなんかは、まずは食べれてるか、眠れてるかを確認するんだし。

 一番納得できないのが、性欲。いや、わかるよ、それがないと種が存続しないから生き物の本能で、だから三大欲求に選ばれてるってのは、理屈ではわかってる。でも、実感として納得いかない。だって食欲とか睡眠欲くらい、緊急性高くなくない? 例えば性行しなかったからといって、日常生活に不具合ある? いや、ある人はいるのかもしれないけれど、少なくとも私は不具合を感じたことはない。

 だから二大欲求に格下げしていただいて、その次席にくるものとして、緊急性がない欲求を配置したい。性欲のポジションはそこでいい。

 私が性欲と並ぶ欲求として、提唱したいのが、肌欲!

 肌欲は私が考えた造語なのだけれども。なんとなく人肌に触れたい、でも別に性的なことがしたいわけじゃない……。ただ触れていれば安心して、明日への活力になる、そんな欲求。

 長々と、何が言いたかったかというと。


 ──満たされてるんです、私。いま。


 そう、レオくんですよ。ふくふくのほっぺ。もみじのおてて。手足はまだまだ短くて、ぷにぷにの太もも。高めの体温。全力で私を求めてくっついてくるので、肌と肌の触れ合いは満たされてるんですよ。

 ぎゅーっとしたいときに、ぎゅーっとできる存在。そしてそれを喜んでくれる存在。尊い。


「なので、いま私、性欲とかもう皆無なんですよね……」


 習慣となった、夫婦ごっこの時間。

 今週はリヴィは忙しくて家族でのお出かけはできなかったので、せめてと二人で晩酌をしている。ちなみに夫婦の寝室でレオくんが寝ているので、私たちはレオくんの子ども部屋に来ている。

 私まだ19歳だけど、この世界では飲酒は18歳から合法。なので飲み過ぎない程度に嗜んでいる。

 最近ではだいぶリヴィにも親しんできて、割となんでも話せるくらいの関係性に深まってきている。夫婦ごっこ、すごい。日中あった、別に重要じゃないけど誰かに伝えたくなるようなこと、──例えば庭に遊びに来ていたリスの親子を発見しただとか、レオくんが初めて綺麗な丸を描けただとか。そういう時に、真っ先に思い浮かぶのがリヴィだ。先日は王宮で食べたマカロンの美味しさについて語ったら、次の日には大量のマカロンを買ってきてくれた。美味しかった。


「それは聞き捨てならないな」


 私の言葉に、リヴィは憮然と呟いた。

 彼の手には、ブランデーのロック。私はというと、マグカップに入れたホットミルクにブランデーを概ね大さじ1杯、お砂糖を小さじ1杯。それをいま、2杯目だ。最高に美味しい。体がポカポカに温まる。


「妻に性欲がないということは由々しき事態だと思うのだが……」


 私の益体もない話に、リヴィは真剣に考え込んでいる。

 そもそも私たちは春に結婚して、もうすぐ季節が一回りする。けれど、実はまだ白い結婚だ。

 なんとなくタイミングを逃して、なんだかもう今はそういう行為がない時間が当たり前になってしまい、ズルズルと今に至る。メイドさんにも正直に話して、普通のパジャマを用意してもらうことができた。

 私的には本当に正直性欲ないし、子どもも自分で産まなくても可愛いのがもういるし、今の生活で安定してるし、もうこのままでいいような気がしている。元々は新しい後継を……って話だったけど、レオくん、このままの調子で成長していけばキャッチアップしそうだし。現に言葉はもうだいぶキャッチアップしてきている。対人コミュニケーションは心配なところもあるけれど、リヴィも対人は相当苦手だし、レオくんもこのままいけば普通に公爵家の後を継げるんじゃないかな。先日王妃様にも話したけど、みんながみんな何もかも出来る必要なんてない。フォローアップ体制さえ上手に作れたらそれで。


「リヴィも女の人に触れるのはあんまり好きじゃない……みたいな話だったでしょ?」

「……そんなことはないんだが」

「でも最初の方に、なるべくしたくないみたいなこと言ってなかった?」

「……俺だって普通の男だ、性欲がないわけじゃない」

「えー、そうだったの?」


 アルコールのほろ酔いも相まって、真面目にそんなことを主張するリヴィがなんだか面白くなって、私はケタケタ笑ってしまった。


「肌欲、だったか? レオは君にはべったりだが、俺にはまだそんなにくっついてこない」


 確かに。

 PCITの効果か、リヴィに遊んでもらうと嬉しそうにするようになったけど、でも抱っこを求めるときは絶対私に来るし、そういう時に私が『パパに抱っこしてもらってよ』と言ってもいつも『やーだーよ!』と断ってくる。


「君は満足かもしれないが、俺は全然満たされていない。それは不公平ではないだろうか」

「じゃあレオくんに、リヴィにもくっつくようにお願いしとこうか?」

「いや、それより──君がいい」


 へ?

 突然の発言に、思わずマグカップを取り落としそうになった。


「俺たちは夫婦だ。俺にはその権利があるはずだ」

「いや、まぁ……完全にあるけど。権利。使うの?」

「使う」


 リヴィは私の手から、マグカップをそっと抜いて、机に置いた。自分の飲みかけのブランデーを机に置いて、そのまま自分の座っていた椅子をガタガタと私の椅子に寄せてくっつける。彼が腰を下ろすと、あまりにも距離が近い!


「まず、頬と言ったか?」


 リヴィのあまりにも整っている顔が近付いてきて、レオくんが私によくするように、頬と頬がピタリと合わさった。レオくんの頬はしっとりとしているけれど、大人の肌は少し乾燥している。それから、見ている分には気づかなかったけれど、チクリとしたヒゲの感触。息遣いが間近で、ブランデーの香りがした。大人の香りだった。


「ふむ、君の頬は気持ちいいな……確かにこれはいいものだ」


 隣でリヴィが物騒に笑う気配がする。途端に恥ずかしさが込み上げてきて、心臓が忙しく脈打つ。

 困る、男の人に耐性ないんだから急にこんなのは困るよ!


「次は手」


 頬は離れたけど、それでも距離は近いまま。リヴィは私の手のひらを取って、自分の手のひらをと合わせる。それから指を絡ませて、確かめるように握ったり力を抜いたりした後、感触を確かめるように私の手の甲を指でなぞる。

 リヴィの手はゴツゴツと骨張っていて私よりも大きくて、男の人の手そのものだった。両方とも手の甲に薄い傷痕が複数浮かんでいる。幼児期、厳しかった家庭教師からの折檻によるものだろうか。右手の人差し指にささくれを発見した。


「温かいな」

「さっきまでホットミルクブランデー持ってたからね!」

「それから、滑らかだ」


 リヴィの頭が動いたかと思うと、私の手の甲を軽くペロリと舐めた。

 ぶあっと背中に何かの感覚が走り抜ける。


「な、なんで舐めるの」

「味はどんなものかと思って」


 思わないで、普通に塩味だよ!

 抗議しようと思った時には、リヴィは手のひらを離して、今度は私の太ももを柔らかく撫でた。ゴツゴツした、男の人の、温かい手。普段誰にも触れられることのない場所に他人の体温を感じて、身体が自然とびくりと震えた。


「足、も言っていただろう?」

「太ももはちょっと……なんか……ご遠慮いただきたいような……!」

「ならこちらなら良いか?」


 少し屈んで、私のふくらはぎに触れたと思ったら、リヴィはそのまま私の両足を持ち上げてそれを自分の膝の上に置く。自然と私の身体は、リヴィの方に向いてしまって、表情がよく見えた。ブランデーの影響で彼の頬は上気していて、お酒が入ってなかったら、私に好意を持ってるんじゃないかと勘違いしてしまうところだっただろう。


「あの、太ももに限らず足全般は恥ずかしいです……!」

「そんなに恥ずかしがることないだろう、夫婦なのだから」


 言いながらも、リヴィは私のふくらはぎを柔らかく撫でる。フェザータッチがくすぐったくてムズムズする。

 逃げようと足を動かそうとするけど、足首をがっちり片手で拘束されており、ちっとも動かない。


「君はどこもかしこも柔らかくて気持ちが良いな。ずっと触っていたくなる。これが肌欲ということか……」


 しみじみと呟くリヴィ。

 違う、ちょっと違う気がするよ! 肌欲ってなんかこう、ホッとするというか、こういうドキドキとかとは無縁の何かなんだけど!


「最後に、ぎゅー、だったか」

「も、もう勘弁してください……!」 


 恥ずかしいが過ぎる!

 だけど私の抗議は全く聞き入れられず、対面になるような形でリヴィの膝の上に乗せられる。そして、抵抗する私を離すまいと筋張ったリヴィの腕が私の背中に回り、ぎゅうっと強く抱きしめられた。

 リヴィの胸板に私の耳がくっついて、心臓の音が聞こえてくる。あ、リヴィの心臓も速い。私と同じだ。その音を聞いた途端、私の体から力が抜けた。舞踏会の時にも聞いた音。この音は私を害さない、私の味方の音だ。


「……リヴィの胸板、固いね」

「痛いか?」

「ううん、男らしい。ときめいた」

「そうか、それなら良かった」


 顔を上げると、リヴィと目が合った。 

 恥ずかしさと緊張と、そこに混じりこむ少しの期待。

 自然とお互いの顔が近づいて、唇が合わさる。何度か唇を交わして、頭の中が溶けてきた頃、リヴィが小さく耳元で囁いた。


「もっと君を触りたいんだが、いいだろうか?」

「……いいよ」



 ──その後のことは、皆様の想像にお任せします。

 次の日に私がひどい筋肉痛になったことだけ、伝えとくね。



一万PV本当に嬉しい……読んでくださる皆様のおかげです。

これからも精進いたしますので、お付き合いいただけると幸いです。


貴重なお時間を使って読んでいただき、ありがとうございました。

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