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【メイドアチートスキル】貴族学園の落ちこぼれている天然少女はレジェンドだった〜追放されたら魔法使い、ないし冒険者の王女〜  作者: 猫村有栖
『竜化少女「マリア・ノバラ」救出特殊作戦』.ep2〜即席の仲間達と暴走する少女を救出する〜
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エピローグ 陰謀の下に人々は出会う



「……もしもし。アキラさんですか?」

「ああ。紛れもなく本物のアキラだ」


(もうあの日から一週間だ)


「……はは。もう偽者はごめんですけどね」

「そんなことが出来てしまう人間がいること事態、気味が悪いよ。まぁそれはいい」


「そうですね、あの洞窟はどうなりました?呪いの異常値が急に上昇したお陰で、土壌が汚染されてるでしょう?」

「勿論閉鎖したよ。専門家を手配して自然に影響が出ないようにはからった」

「異常値が爆発クラスまで行かなくて本当に良かったですね……近くに自然文化財もありましたし、この地域まで土壌汚染が広まっていたかも知れませんし……」


「勿論あの洞窟が汚染されたのは手痛いのだが、そうだな。……それも貴女の功績だよ。我々に出来たのは、単純な戦闘、その程度しかなかった。なんとも情けない……」

「い、いや。そんなことは。こちらに託して頂いた仕事ですので当然でしょう。寧ろ、活躍の場を設けて頂いて有難いくらいです」


「メーさんー!ご飯できましたよー!今日はステーキですよー!!」

「すみません!!電話中だから待っててー!!」

「おっとすまない、もう昼食の時間だったかね」

「いやぜんぜん構いませんよ?」


「……そうだな、下宿先はどうだ?何か不便はないか?」

「良くして頂いてますよ。これもジグラットが私達の評判を広めてくれたからですし、あの日のことは気にしないで下さい」


(……私達は、爆破テロを止めたということになっていた)


『蔓延するテロリズム、もう地方にまで』


そんなタイトルの記事に私達の名前が載っている。

テロを未遂に留めたという評判は、この地方で私達が受ける視線を『余所者』から『英雄』に変えてくれた。


少々持ち上げられ過ぎで恥ずかしくなったが少なくとも、飲食店なんかに入店拒否されることは無くなったわけだ。


まぁ良しとしよう。


……その新聞にはそのテロリストの動機、詳細については全く語られていない。

もちろん他紙だって似たような内容しか記されていない。


あんな取り止めもないような少女達が『テロリスト』だったので、至極当然だ。



(あの日――突然やってきた敵)

(ノバラ姉妹の母親に――黒服の少女)


(『運命』――少女が盲信していたもの)


私達、かなりの面倒ごとに巻き込まれているのでは?

だが首を突っ込んだ以上、その分の責任は取らなくてはならない。


「………………ぶつぶつ……」

「どうしたぁ?……おーい?」

「はっ!……すみません……」


「はははっ。新生活にお疲れの様だ。他には……そうだな」



「メイ・ノバラの様子はどうだ」


「……残念ですが」

「……記憶は消えたままみたいです」


(あの日以降、メイ・ノバラの記憶は消えてしまった)


(原因は分からないが、嘘を付いている様子でもない)


一方……


「……なんとも言えないが、【ドゥムジ】のスキルは彼女から消えたままだよな?」

「そうですね。それにまさか突然復活するということもないでしょう」

「なら彼女がテロを起こしたり……人に危害を加える可能性は殆ど失われたままなのだな」

「ですね。……それに記憶喪失が逆に幸いしたのか、精神汚染の影響も見当たりません」

「……分かった。彼女への警戒ランクを下げよう。それにあなた達が見張ってくれるのなら、我々は安心できる」


「ええ。……責任を持って、私達が彼女たちを大人にします」


「ありがとう。ついては、何か手伝えることや困り事があれば直ぐに伝えて欲しい。こちらに出来ることがあれば何でもしよう」

「…………それで、なんですが」


「どうかしたのか?」

「……不安と言いますか。彼女らを竜化させて、呪いのスキルを埋め込んだ……テロリスト?達のことです」


「……すまんな。何の情報も得られていない。残された簡易観測基地のような場所からも、貴女がスキルでPCをハッキングした情報以上のものは得られていない。まるで空に舞う塵を追っている気分だ」

「……彼女らは、一体何なのでしょうか」


「さあなぁ……この事件の黒幕であることは確かだが。……マフィア、企業、政治、宗教。どの団体の特徴も無かった。……強いて言うなら研究者かも知れないな。あの事件の時あそこで我々の邪魔ができたのは、少女達がどうなるのかを観察していたからだ。あの事件の動機は恐らく……『実験』の経過観察……それが目的だったんだろう」


「これは私見ですが……少女達の処理も含まれていたんじゃないでしょうか?」


「どういうことだ?」

「彼女達に与えられた力は暴走していましたし、逆にスキルを取り出すのは一般に困難です」



「……なるほど、要するに廃棄か……」

「……」


「……どの様な理由があったとしても、許されざることだ」

「ですね」


探求とは、一歩間違えれば他人の人生を破壊する。

私も……心に刻まれねばならない。


「それでは、また連絡しますね」

「……ああ……分かった。じゃあ、よい夜を」


「メーさん――それが例の男の人――?」

「ぐぁっ」


背後から声をかけてきたのは下宿先の女将さんだ。


「まさか早速こんなイケボイスの男性をゲット……やるぅ」

「違います!お仕事ですから!」

「そうなの?ウチの娘が広めちゃったらしいんだけどー」

「!!!!?」

「もうこの街じゃ知らない人はいないわよ〜?多分」


「………………にゃぁぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛!゛!゛゛」

「メーさん!!?」


これだから!!!

せまい!!!

田舎!!!

は!!!



(……誤解を説くのに、一週間かかった)


(ちなみに。ジェイムズ研究者のあの二人は、襲撃後逃げ切れたらしい)

(あれも謎が多い人達だった……今度、施設を訪れてみようか……)


***


「ほう。……あの娘……覚醒したか……」

「……うむ……一致率99……面倒じゃがな…………」

「……これは、もはやワシが出向かねば、天国の母様に叱られるわい……」

「く。まさかワシの代にこの役目が回るとは……だが決めた以上は……」



「……急がねばな……」



「…………世界の滅ぶ、その前に」


つづく

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