7.ストーリーの構成はどうやって決める?
やっと本編の山場を越えたぞ! という訳で息抜きタイムです。
個人的に作者をして、色々と考えた事を追体験する形で語っていきましょう。……需要があるかどうかはともかく。
長編を書くのは難しいとか、筆が止まるとかよく聞きますね。一作目が長編なのは、無謀なのかなんなのか? 一応、形にはなったとは思いますよ。色々と後から、内容の書き直しはしましたが……。
ともかく、創作論より実践だ! とばかりにやってしまった感はあります。……なぁに、何とかなるなる。
プロットを作る派、作らない派と言うのもありますが、「テンプレなろう」に限れば不要でしょうね。
……だって「テンプレ」がプロットになるもの。
ともあれ、ストーリー作りは悩むものですよね。テーマとか、そもそもどうやって決めればええねん、という奴です。いきなりストーリーが作れる奴は、もう小説家になっとるねん。
自分の場合、成り行き任せだったのでプロットも組んでないし、テーマもありませんでした。おぅ、見切り発車ですねぇ。……ともかく、真っ白い原稿に書きなぐれば何とかなるだろう、位ですよ。
辛うじて、やりたい話は思いつく。そんな状態でした。……オリジナルなら何でもいい、と前向きに考えよう。そうしよう。
まず、レベルやステータス・ランクなんかは、いかにも「テンプレ」なので除外。王様? 冒険者ギルド? 神様からスキル? ……何処の世界にそんな物があるんだよ。リアル異世界だよ、おらぁ! てな感じですね。
元々、やる夫スレなんかを読んでいた事もあり「あんな風に自由に物語を作れたら楽しそうだ」と思っていました。実はある作品のオマージュなんです、これ。
想像がしやすそうな18世紀のロンドン、大草原の小さな村、大航海時代のリスボン てな感じで決めました。リアル大事に……。最初はファンタジーでは無く、歴史かSFジャンルだと思ってました。
一応、話が詰まない程度の保険として「異世界は一つじゃない」「色んなパラレルワールドがある」「一応、一部の人間は移動可能」という事にした。これなら、主人公が色々な世界に行ける。……そう思っていました、この時は。
……あと、魔法要素は入れておこう。とはいえ、制限もあるよねという事で。魔法に関する経済がある、と言う想定。鉄砲やら大砲なんかは、魔導師がいればあまり発達しないだろうと推測してみる。
魔導師の立ち位置は、うーん「ちょっと珍しい才能持ち程度?」かな。軍隊とかで優遇されるとか。魔法を使えない人も多い、とか何とか。
現実世界との違いは、魔法が発動する「魔導石」があるとかないとか。現実世界は、魔力はあっても反応しない方向で。その位なら、リアリティありそう。科学の代わりに魔法技術が発達するでしょうね、と。
そんな訳で『もしも、自分が異世界に行ったらどうなる?』という所からの話になります。……まあまあ、それなりに良くある設定ですよ、って事で。
「テンプレなろう」でないと、ここからなの? と思われるかもしれませんが……。存分に後付け設定を考えましょう。とにかく書いてみるぞ!
まずは、やる事も無いし居場所も無い。それならどうするか? ここが開始するポイントになります。
……とにかく、周囲の人間とコミュニケーションを取らないとヤバい事だけは理解出来る。あからさまに不審者か、詐欺師や悪い奴の「カモ」な訳で。
「やった! 俺は異世界に来たぞぅ!!」とテンションが上がる奴はいねぇ。
そもそも、異世界転移の序盤は腐る程見たぞ……。てな訳で、いきなり時間をすっ飛ばした所にしましょう。既に何らかの活動は行っていた、と。回想シーンでそれっぽく繋げよう。
言葉も通じないし、何のスキルも無い人間が出来そうな事。……飯を作るか、物々交換位じゃね? つまり商人ですね。なので、行商の途中という事にしましょう。
まあ、売ったり買ったりはどの世界でもあり得る事。旅をして、特産物をやり取りするだけで日銭が稼げるでしょう。
ああ、モンスターの素材で一儲け? そんなもん、地元の利権と絡みまくる未来しか見えない。
そもそも、適切な強さのモンスターが徘徊しているのは優遇措置じゃね? と考えてみる。……リアルと言うか、何と言うか。これ、ガチのサバイバルじゃん……という事に。
そりゃ、冒険者ギルドは出来ないねぇ。困る奴がいないんだから。……ヨシ、リアルだな(思考停止)。
どうにか、居場所が作れた位はあっても良いでしょう。……見知らぬ村で仲良くなったら、そういう会話も心温まるでしょう。ボディランゲージでもなんとか通じる事もあるし、善人だっているでしょう。
そんな感じで始まった訳です。魔法があるなら通訳できる道具も有るよな、とか。そんな道具で生計を立ててるというのもありそう。お店を持つきっかけは……そうだ、ロンドンならカレーだな、と(フラグです)。
ともかく無意識にですが、初期のキャラクターは「何かを失った奴」が集まる方向に。……そもそも、普通に生きていて貴族やら王族やらに会える方がおかしいんだ。スラムで出会う仲間なんてそんなもん。
……行き場のない奴らが集まって、何かをしようと考える。最初のテーマが決まりました。「変人」ですね、何となくですが。とかく、癖のある奴と出会うだろうと思ったのがこの頃。
もう一つのテーマが「人助け」位には、思いつきました。異文化コミュニケーションして居場所が欲しいなら「人助け」をすれば何とかなる。そんな思い付き。
気が付いたら「人助け」の筈が「戦争」になったよ! で物語が動き始めた訳です。
……ウィキなんかでこの時代どんな奴がいたのかな? と調べ始めたのはこの頃。戦争相手も知らずに書くのは無謀だしね、とか考えてました。
はい、史実の偉人はマイナーでチートでした。……何で、中華四千年のトップクラスの「名君」がそんな所に居るのよ! しかも、エピソードがいちいち面白い……。誰だよ『康熙帝』って!
マイナー偉人の魅力を知ったのは、この頃からです。……もう創作する必要無くね? とでも言わんばかりの面白い奴。「いや待て、誰も知らない偉人なら使えるじゃないか?」と思うのにしばらく掛かりましたね。
ナポレオンを変に書いたらクレームが来る。だが、誰も知らないなら一人のキャラクターとして描写できる。しかも皇帝陛下だ! と喜んだものです。
結果的に、この判断は良かったと思います。オリジナルキャラの中に混じる見知らぬ偉人、と言うのは中々に説得力とキャラの魅力があります。
そんな感じで、結末は未定のままではあるものの、起承転結の「起」から「承」の辺りである程度の方向性が決まりました。
ただ、18世紀のロンドンがそう甘い訳も無く……「英国面」の呪縛から逃れられなくなった訳ですが。
……あの時代、おかしいよ! と言っても後の祭りでした。
何が言いたいかと言うと、書いている最中に大きなテーマが見つかります。要するに「自分が伝えたい事」と読者の反応が一致する瞬間があると思うんです。……だから、創作論にありがちなご立派な「テーマ」が無くても大丈夫!
何とかなる、なるんですよ。……無茶はしたのは事実です。いいよね、誰にも文句が言われないって。
こういう創作論って、どうなんでしょうね? 体験談ではあるけども……。
「書かない賢さ」よりも「書く阿呆」と言う実例です。
実体験して苦労するのは嫌でも、聞くだけなら面白いんじゃない? という事で次回に続きます。
では、皆さんの良き作家ライフの参考になれば幸いです(「おう、一緒にオリジナルで面白い作品を書こうよ」の意味)。
真っ当な創作論なら、ググって下さい。
……ここには、変な物語を話し続ける変人しかおりません。
それでも反応ゼロとはならない「なろう」の懐の深さよ。