表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/8

4.テンプレからの脱出法について

 さて、不定期に息抜きしながら文字をひねり出す、このエッセイ。


 だがしかし、そもそも「テンプレ化」についての警鐘は、先人たちも書いているので異口同音も甚だしい。


 もう少し建設的な何かは無いものか。好きに物語を書けて、誰かに読んでもらえる仕組みと言うのは大変すばらしい物だと思う。オリジナルの小説を同人会で売り上げゼロなどと言う悲劇を生む事も無い。


 いやー、一昔前のコミケって凄まじかったんですよ。創作系非エロ同人小説なんて、見向きもされない。


 それに比べたら、今の環境に不満は無いのだ。……ちょっと溢れすぎじゃね? と言う一点を除いて。


 閑話休題。


 テンプレ化を防ぐ一番の方法は、個性を出すというかオリジナルで勝負と言う話なのだが。誰も『小説の書き方』なんて教えてくれない。……まあ、普通はそうなる。いや、本当はあるのかもしれないが、敷居が高い。好きな作品の真似から始める事になる。自分だってそうだ。


 誰も片手間の趣味で試行錯誤などしたくはないし、書いた以上は誰かに読んで欲しいのが人情である。その気持ちは、一度でも作品を書いたなら誰もが思う筈。



 そして、投稿して読んでもらえなくて「テンプレなろう」への宗旨替え、という事になる。まずはあらすじにタイトル……。その内、ランキングで見た話を真似して、少しずつ読んでもらえて。


 まあ、その辺の流れは良くある。それはともかく『せっかく自分の好きに出来る場所で人の真似をするのか? 何を書いても誰にも文句は言われないよ!』……一般常識に合わせて活動さえしてればね。


 「小説家になろう!」の何に惹かれるのか? それは、何処かに居る自分と同じセンスや好みを持つ読者に読んでもらいたい、そう言う話だと思うのだが。


 「どこの誰でも構わないから、とにかく読んで欲しい」というような承認欲求高めの人ばかりではあるまい? 違うよね? 自分の勘違いでない事を祈る……。



 大事な事なので二回言おう。『せっかく何を書いても構わないこの場所で、誰かの物真似しかしないという、テンプレなろう作品を作る意味があるのか!』だ。


 子供の頃から読書が好きで、ゲームや漫画に親しみオタクとなった人がいる。色々な作品を読んで感動したあの頃の感性は、もう戻ってこない。


 ……出来る事と言えば、とにかく書く事しかない。



 思い出の作品、大好きだったあの物語と言うのが無い、と言う人はいないだろう。それぞれ色々な事を学んだし、それがきっかけで人生が変わった人だっている。


 自分が書いた作品が書籍化して、コミカライズしてアニメになって……と言うジャパニーズドリームも良い。だが、自分の原点に戻って「何か形になる物を書き刻んでおきたい」と言う欲求は無いだろうか?


 小説を書く、と言う行為はとにかく特殊だ。本来、何かやりたい事があった筈なのだ。……だが、膨大な作品と読者のいる「小説家になろう!」で、書いた作品が無視されて心にダメージを負った人は少なくないだろう。


 ブックマークやポイントは確かに一つの指標ではあるが、良い作品には読者がついてポイントを置いて行ってくれる、などと言う幻想はやめにしませんか?


 恐らく、テンプレ化したあなたの作品を読んだ読者は、「いつものテンプレなろう作品」の一つとしか認識しないし、そんな人から受けたブックマークや評価ポイントが大事ですか? きっと明日には忘れられるのに。


 自分だけしか書けない作品をとにかく書いて、少しでも読んでくれる事の方が大事じゃないの?



 何十万人といる読者の中で、誰か一人でも良い。『こんなオリジナリティのある作品は初めてだ』と思って貰う事の方が大変ですよ、多分。


 惰性で何十万文字も書いてしまい、長編過ぎて見向きもされない作品。


 オリジナルの設定ばかりが目立って、肝心のテーマが全く見えない作品。


 日間ランキングの末席にも届かず、祈らんばかりに完結ブーストやスコッパーに探して貰う事を願う日々。


 「良くある事」なんですよ、誰でも。夢くらいは、見たって良いじゃないですか……。お金儲けがしたくて、小説を書いているんですか、あなた達は?

 

 なんか違う気がするんです。『誰にも書けない、貴方だけの物語』って、きっとどんな酷い作品でも掛け替えの無いものだと思うんです。


 もっと自分の好きな事を集めて、物語を作りませんか? きっと、誰でも出来る事なんですよ。



 オリジナリティの有る物語。……言葉で書くと単純だけど、これ程難しい事もありません。だって、物凄い昔から「神話」や「おとぎ話」として、王道だから変わらず楽しまれるのだから。


 何にもない所から、物語を作るのは物凄く難しいと私は思っています。既に誰かが書いた事のある展開なんて、何処にでもあります。それが王道であり、「テンプレ」なんです。


 確かに「テンプレ」なら、簡単に書ける。だけど、それは本当にあなたの作品ですか? 名前とスキルと王様の名前以外に他の作品と区別出来ないようなものは、必要無いんです。


 「テンプレ」を参考にして書くしか方法を知らない、と言うのなら少し発想を変えてみましょう。別に「テンプレなろう」だけが王道ではありませんよ。


 いわゆる「テンプレなろう」って、ベースはドラクエⅢとかになりますよね。勇者がいて、魔王が世界を支配しようとして。王様に打倒魔王を命じられて冒険に出る、そんな話。神様に助けて貰ったり、色々な人から頼まれ事を引き受けたり。


 それに「冒険者ギルド」やら「中世ヨーロッパ」やら「貴族」とかを追加すれば、いつもの「テンプレ」です。……だけど、他の物語だってあるでしょう?


 ぶっちゃけ、私の作品はベースをドラクエⅡにしています。勇者三人組が協力して、世界を破壊神から守る。これだけで、ちょっとだけいつもの「テンプレ」から、違いと言うか個性が出ませんか?


 作品を見て貰えば理解して貰えるんですけど……、と誘導しつつ話を続けますね。


 もう「オリジナリティ」って言うのは、存在しません。何処かで誰かがもう発見し尽くしていると思いましょう。その上で自分なりの個性を出すのなら、自分の好きな物語をベースに組み替えるしかないんです。



 私の拙作を例に取ります。主人公は、現代社会から異世界に転移させられた女子高生。特技も無ければ、特殊な能力もあんまりない。いわゆる「女主人公の異世界転移もの」ですね。


 自分で決めたルールは「ゲーム的なレベルやステータス、スキルなどは原則出さない」「魔法がある世界なら、魔法で動く機械や道具が誰かに発明されている」「都合のいい世界観は出さない。リアリティ重視で」ぐらいでしょうか。


 縛りプレイみたいなもんです。……その上で、ありとあらゆる既存の物語から自分の好きなものをぶち込みました。出来るだけリアリティがありそうな、説得力を持たせて主人公にぶつけます!


 結果、どうなるか。……元の既存の物語からズレるんです。そりゃそうでしょう。本来の主人公じゃないんですから。自分なりに考えて、悩んで決断します。……そう言う縛りプレイですから。


 それが個性です。


 もちろん、無作為に色々な設定や人物を混ぜますから、もう「カオス」の極みみたいな状況になります。


 ……でも大丈夫。それを含めて『創作』なんですよ。もう、それは誰かの真似じゃない。


 自分だけの物語に変わります。もちろん、何でそんな事をするのかと言えば「ネタ切れ」を防ぐためです。「テンプレ」って、決まりきった流れでしか進みませんから書けなくなるんです。


 自分で考えないから、簡単に書ける。だけど、それは読者にとって先が読めてしまう。それが「テンプレ」の正体です。


 だったらどうするか。作者でさえ、先が分からない位に物語を自分で動かす。……それが答えです。


 そりゃもう、コントロールするのは難しいですけど。自分の好きな物語だったら、誰よりも知っているじゃないですか。キャラもストーリーも、既存の物を使います。


 そして、自分が考えたキャラクターと対話をします。そこで別の物語と繋がったり、別のキャラクターが活躍したり。「ああ、この手があったか!」とか発見する訳ですよ。


 もう、元の作品の個性は自分の個性に変わる訳です。


 それをまともに終了させるまでに苦労はしました。ですが、歴史上の偉人を出してみたり沢山の異世界を作ってみたり。誰も書いていない物にはなりましたよ。


 だってねえ、「フェアリーが頭の上に居るのを気に入ったらしい。だから皇帝陛下の頭上を子々孫々までフェアリーに割譲する法律を作る」なんて話は、絶対に思いつかないですよ。アドリブです、全部。


 こうだったら、楽しんでもらえるかな? と、いつも悩んで物語を書いているんですよ。


 そうして書いた物語は、何処か心に引っかかるものになるでしょう。


 いつも同じような物語しか見る事が出来なくて、ウンザリとしている人が見たら無視するか気に入るか。どちらかは分かりませんが、続きを楽しみにしている方がいるのは事実。



 「テンプレ」に頼った物語よりも、魅力的に感じませんか?


 そうして出会った読者の方は、ただの読者よりも楽しんでいないでしょうか?


 私は、書く事しか出来ません。物語を綺麗に飾り立てたり、カッコいい台詞も思いつきません。


 ただ、自分で胸を張って「私の物語です」と断言出来る様に書き続けるのです。

 大丈夫、タイトルの解釈違いは無い。……ちゃんと、解決方法を「すすめ」として提示しているもの。


 大丈夫なんです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ