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ウィーク & ウィーク  作者: 糸東 甚九郎(しとう じんくろう)
12/16

■ 木曜日の夜、深山花菜がお酒を飲んでた

「おぉ、タマオ君。今日はこんな閉店間際の時間に来るとは、珍しいなぁ」


 まぁ、そんなことだってあらぁ。俺はこの「小関酒店」の雰囲気が気に入ってるのさ。

 ボロくて小さいが、品揃えは抜群だ。しかも、店内で買った酒が飲めるコーナーがあるんだぜ。店主のオヤジがビールケースを置いといたら、いつしか客がそこで飲むようになったんだとさ。

 つーわけで、俺も久々にここで飲んでみっか。可愛い子三人がみな、脈アリなんだ。こいつぁガソリン注入しておかねぇと、俺の方が舞い上がって変な風になっちまいかねないからな。たぶん。

 おいオヤジ。俺はこのすげぇ高そうなウィスキーをもらうぜ。いくらだ、これ。


「あー。それは高いよ? いいの? 一本、八千円だけど、キープしちゃう?」


 は、八千円。まぁ、いいか。一万円だったら買わないけど、八千円なら俺のサイフのキャパ内だ。

 ん。なんか飲み場に他の客がいるじゃんか。どうすっかな。狭いし、家に帰るか。


「んんー? あ。・・・・・・誰かと思ったら、タマオだっぺー。・・・・・・おーい、飲んでけ飲んでけー」


 なにっ。あ、よく見たら、カナちゃんじゃねぇか。おいおい、どうしたんだ。そんなにベロベロになってちゃ、スキップするどころじゃねぇだろうな。


「ほっとけーっ! ウチはぁ、飲まなきゃやってらんねぇんだっぺよーっ!」


 ご、ご乱心だ。おいオヤジ。このカナちゃんは、いったい、どんだけ飲んでんだよ。


「え? その子、タマオ君のちょっと前に来たばかり。缶ビール一本程度だと思うけど・・・・・・」


 な、なにぃ。カナちゃん、ビール一本でお潰れか。酒弱いんじゃ、無理に飲まねぇ方がいいぜ。


「ほっとけ、タマオ! ウチはぁ・・・・・・遊ばれてたんだっぺーっ! わーん!」


 ど、どうすればいいんだ。今度は泣き出した。あ、なに笑ってやがんだよオヤジ。助けてくれ。


「聞けぇ、タマオ! ウチは、初めて、ホストくらぶっちゅうとこ行ったんだぁ・・・・・・」


 ホ、ホストっつったか今。おいおい、まさか、遊ばれてたっつぅのは・・・・・・。


「そこの野郎に、ウチ、惚れたんだ。『深山花菜(みやまかな)か、素敵な名前だね』って笑顔で言われて・・・・・・」


 こりゃダメだ。カナちゃんよ、そいつぁホスト接客の、定型文中の定型文だろうが。それだけで惚れちまうなんて、茨城のどんなとこから上京してきたんだ。

 ちなみに俺はゲンタとキャバクラに何度も行くが、キャバ嬢に惚れることは無い。あくまでも、あっちは商売としての対応だからなぁ。


「タマオー・・・・・・ウチ、悲しい。・・・・・・なんとかしてよぉ、タマオー・・・・・・。慰めてよぉー」


 なっ、なんて破壊力だ。可愛いカナちゃんに涙パワーが加わって、さらに今のセリフ。こ、これは参ったぜ。

 どうする。俺にはミズキちゃんにアミカちゃん、そしてカナザワちゃんがいるんだぞ。


「ウチ・・・・・・なんだか、タマオに話してっと、安心すんだー・・・・・・。ね? タマオー・・・・・・」


 お、俺の肩を枕にして寝ちまったっ。これは、完全に脈アリな男にしかしないはず。

 この俺はスーパーモテ期到来って事か。俺はついに、ホストのレベルを超えたに違いねぇぜ。



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― 新着の感想 ―
モテ期というか、なんというか、ゲームなら対応によって純愛一直線ルート、女性陣から総スカンルート、ハーレムルートの足掛かりルートと分岐しそうだが、リアルで間違えた対応をするとタイーホエンドになりかねない…
[一言]  あ、なんかハーレム(女友達)エンドが、現実味を帯びてきた?
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