■ 火曜日の昼、紫前亜美香とお寺で話した
決めたぜ。絶対に、ミズキちゃんは俺が本気を出して告れば、行ける気がする。嫌いじゃないって言い回しはきっと、好きってのを照れ隠してるに違いねぇんだ。
ネットか何かでそういう情報を見た気がするが、何だったかは忘れちまったがな。
とりあえず、このタマオ、一世一代の大勝負に出るためにまずは悪いモンを祓うことにした。火曜日の寺は、護摩焚きをやってくれるそうだ。俺はゴマおにぎりの方が個人的にはいいんだが。
さぁ、護摩木に願いを書いて、パワーをアップしに行くぜ。書いた内容は「ミズキちゃんと付き合えますように。変な条件とかなしで。あと、肉は普通に食いたいです 小山内珠夫」ってわけだ。
「・・・・・・あら? あなたは確か、タマオさん・・・・・・でしたわよね?」
ぬおお。ま、またここで会っちまったぜ。アミカちゃんだ。今日も寺にお参りなのかい。
「え、ええ。今日は、わたくし、とにかく人並みに男性と友達付き合いができるように・・・・・・と」
ん。そ、その手に持ってるのは護摩木。ってことは、アミカちゃんも俺と一緒にこれからあの熱ぃスーパーファイヤーな護摩焚きをやるってのか。
「そうです。わたくし、自分を変えないと・・・・・・。将来、男性と、話せなくなりそうで・・・・・・」
い、いや、こうして俺と話せているではないか。それとも俺は男性でなく、肉の塊とかなのかい。
「そうではありませんが、タマオさんとは・・・・・・普通に話せちゃってますね? なぜかしら?」
きっとそれは、アミカちゃんが俺に何か第六感的なオーラを感じているということではないのか。ってか、立ち入ったことを聞くが、アミカちゃんはなぜ、男性と関わるのが苦手なんだい。
「そ、それは・・・・・・。小学生の頃、ちょっとだけ好きだった男の子から言われた言葉が・・・・・・」
なんだと。そんな昔のトラウマが原因だったのか。よっぽどひどい言葉でショックを受けてしまったということなんか。だったら尚更、一緒に護摩焚きをして、そんなトラウマ消し去っちまえ。
「ありがとうございます。タマオさんって、すごく太ってるけど、優しい人なんですね・・・・・・」
すごく太ってる、は余計な気もするが・・・・・・。俺は、アミカちゃんの味方だぜ。ってか、このアミカちゃんの目。うるうる輝いてやがる。
こ、これはっ。きっと「タマオさん、お慕いしております」的な目ではないのかっ。いや、きっとそうだ。・・・・・・ん。護摩木に書いてあるのは・・・・・・。「頼りがいのある男性と、きちんと出会っていい人生にしたいんです 紫前亜美香」って読めるな。
変わった名字なんだなアミカちゃん。すげぇ画数が多くて、書くのが大変そうだ。
「タマオさん。わたくし、変われるかしら? タマオさんなら、わたくし、何でも話せそう」
そんな麗しい笑顔を見せないでくれぇ。ところでアミカちゃん。その名字は、何て読むんだい。
「『しぜん』です。実家は地元でも指折りの旧家なの。タマオさんも、いつか寄ってみて下さい」
ゆ、指折りの旧家。そこに来てくれって事は、アミカちゃんもこりゃ脈アリだ。参ったな、俺。
絶対アミカちゃんの実家は超金持ちなはずだ。サンダル履きで行ったら怒られる気がしてきた。




