22限目・・・幸一の過去(その3)
今回、やっとコメディー要素を入れられました。長かったよ~。
あと、ハンス視点が短いけど、気ニシナーイ♪
ーハンス視点ー
「着い……たの……?」
まず、見えたのは透き通るような青い空だった。こんな空、見たことない……。
それに、あっちには緑色の山が見える……すごいな……。
……はっ! 呆けてる場合じゃないよ。早く目的を果たさないと。
さて、どこ行こう?周りには家っぽいのがたくさんあるけど……。
……なんとなく体が重い。まずは休めるところを探そう……。
「あ、危ない!」
「えっ……?」
声がしたほうを見ると、美人なお姉さんがこっちに駆け寄ってきた。
【キキィィィィィ!!】
今度は耳障りな音がすぐ近くでなった。そっちを見ると、でかい鉄の塊が僕に迫ってきていた。
「ま、間に合わない……!」
こ、これ、まずいよ!魔法で吹き飛ばさなきゃ……。
そう思いながら手に魔力を集める。でも……
「……あれ……?」
集めようとした魔力はこれっぽっちも集まらなった。
「なんで……?父さん、母さ―――――――
【ドゴッ!!】
……それが、「僕」の最期の言葉だった……。
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ー作者視点ー
「……ん…………こ、ここは……?」
ある病院の一室で少年は目を覚ました。4~5歳くらいの小さい子供で、この世界の服とは少し風変りな物を身にまとっていた。
「あ、良かった! 目が覚めたのね!」
「え、えっと……お姉さん、誰?」
「ああ、ごめんごめん。私は笹本実里。……ごめんね。助けてあげられなくて」
「助けてって……?」
「憶えてないの? あなた車と事故に遭ったのよ?」
「車……? 事故……?」
少年は聞きなれない言葉に頭をかしげた。しかし、実里はそれには気付かなかったのか、そのまま続けた。
「とにかく、あなたのお母さんに連絡しなくちゃね。 あなた名前は? 電話番号とか言える?」
「電話番号……? 名前……? ……分かんない」
「そっか……」
「……なにも分かんない……」
「え?」
「何も分かんない……何も思い出せないよ……」
「え……?ち、ちょっと待ってて!」
実里は慌ててナースコールを鳴らし、医者を呼んだ。
「どうかしましたか!?」
医者はすぐに少年の病室にきて、実里に事情を聞いた。
「記憶……喪失、ですか?」
「はい……どうもそうらしいんです。何も思い出せないって……」
医者は、しばらく何かを考え、少年に詰め寄った。
「君、ホントに何も思い出せないのか?」
「は、はい」
少年は医者が怖かったのか、実里に抱きつきながら答えた。実里は内心少年のかわいさに抱きつきそうだったが、事情が事情なのでさすがに抑えた。
「何もかい?」
「はい、何も……」
(でも……なにかしなくちゃいけないことがある気がするんだけど……なんだろう?)
「困ったなぁ……身元が分からないんじゃ施設に送るしか……」
「私が引き取ります」
「は?」
「私がその子を引き取ります」
「し、しかし……」
医者は困惑した様子で実里を止めようとした。
「いいじゃないですか。身元が分からない以上、施設に送るしかないんですよね? だったら私が引き取っても同じです」
しかし、実里は確固とした意志で引かなかった。
「……はぁ、分かりました。 幸いにもその子はあなたに懐いてるようですし大丈夫でしょう」
医者もそれが分かったのか、ため息まじりで承諾した。
「ありがとうございます」
「ですが分かってますね? 万が一、その子を探している人を見つけた場合、帰してあげてください。それと、その子をちゃんと愛してあげてください。……半端な覚悟じゃ出来ませんよ?」
「分かってます!」
「そうですか……ではよろしくお願いします」
「はい!」
「……?」
少年は今の話が理解できなかったのか、顔に?マークを浮かべ、実里の服をツンツンと引っ張った。
実里は少年が理解していないことを悟り、説明した。
「……ということなの。私たちは、家族になるのよ」
「か……ぞく……」
「嫌?」
少年は顔を横に振り、にぱっと笑った。
「そう、よかった」
実里も、安堵した笑顔を浮かべ少年に抱きついた。
「これからよろしくね……あ、名前が分からないんだった」
「名前……」
「そうよ、いつまでも名前が無いなんて嫌でしょ?」
少年は顔を縦に振った。
「じゃあ、なんて言うのがいいかな?う~ん……」
「太郎はどうですか?」
医者が意見をだす。が……
「ありきたり! 却下!」
速攻で却下された。医者は部屋の隅で丸くなり、「私の名前なのに……」と呟いたが、2人の耳には届かなかった。
「よし! 決めた!」
「……どんなの?」
少年はドキドキしながら聞いてみた。
「一つだけでも幸運を掴むで幸一はどう?」
「不吉な……」
「何か言いました?」
「いえ、別に……」
2人がそんな馬鹿らしいやり取りをしているあいだ、「幸一……幸一……」と何回か呟き、満面の笑みを浮かべながら言った。
「僕、その名前がいい!」
「そうでしょ!? それじゃあなたの名前は今から笹本幸一よ! よろしくね、幸一」
「うん!」
少年改め幸一と実里が笑っている中、医者であり、ありきたりな名前の持ち主である太郎は、
「絶対太郎のほうがいいのに……」
まだ諦めきれていなかった。
お、遅くなってしまった……。部活とか色々忙しくて……。すいません……。
今回、久しぶりにコメディー要素を入れてみましたがどうですか?あんまり面白くないでしょう?……精進あるのみです。頑張ります。