17限目・・・忍び寄る影(その1)
今回からシリアスです。
…でもシリアスになりきれないかも。
ー作者視点ー
ふと気付くと、幸一は何もない、真っ暗な空間にいた。
しばらく辺りを見回してると、唐突に、どこからか声が聞こえてきた。
『裏切ったな……』
幸一は特に驚く様子もなく、声のした方向を見た。しかし何もない。
『裏切ったな、ハンス……』
その声はだんだんと大きくなる。しかも大量の殺気を含んで。
『裏切り者には死を……』
声の数も増えていく。
『裏切り者には死を!!』
唐突に黒衣の男が大量に現れ、幸一に襲いかかった――――――――。
「はっ!」
目が覚めると、そこは見慣れた自分の部屋だった。
『どうした幸一?汗びっしょりじゃないか』
フィナが心配そうに話しかけてきた。
幸一は「何でもねぇよ」と軽く受け流して、洗面所に向かった。
「ふぅ……」
汗だらけの顔を洗い、一息つき、しばらく何もない空間を眺めていた。
「久しぶりだな。あの夢見るのも……」
幸一は呟くようにそう言った―――――――――――。
ー幸一視点ー
『どうしたのだ?今日は元気がないじゃないか』
「そんなことはないぞ?俺はいつでも元気百倍だ」
『そんなセリフは愛と勇気だけが友達のあんパン男になってから言え』
やけに冷静に突っ込まれた。面白くない……。
「何朝っぱらから剣と漫才やってんだ?」
後ろから話しかけられたので振り向くそしてそこには……、
「周りのことなど一切考えず、自分たちのバカップルぶりを世間に露呈しまくる奴らの片割れの正樹がいた」
「って心の声だだ漏れだから!」
「オウ、しまった。俺としたことが。HAHAHAHAHA」
「わざとだ…絶対わざとだ………!」
怒りに震える正樹。うん、やっぱり人をいじるのって楽しーわ♪
そして俺はある不審な点に気づいた。それは―――――――――
「玲奈はいないのか?」
そう、玲奈がいないのだ。いつも必ずべったりと登校してきているはずなのに今日は正樹一人だった。
「ああ、実はあいつ日直でよ。先に行っちまったみたいなんだ」
「珍しいな。一緒に行こうとは思わなかったのか?」
「思ったけど、それ知ったときには玲奈、もう学校だったんだよな。理由を聞いたら「正樹に迷惑をかけたくなかった……」だってさ」
……こいつ…いつか殺す………。
「で?お前はどうしてこんなに早いんだよ?」
「別に。なんとなくだ」
「そうかい。じゃ、俺、急ぐから。また後でな!」
「はいはい、分かったからはや……」
「どうした?」
「……いや、何でもない」
…おかしいな。今確かに殺気を感じたんだが……気のせいか?
ー作者視点ー
―――――――――――――――幸一たちのいるところから約10km位の地点に、全身黒ずくめの服を着た、男の子がいた。年は15歳くらいで、まだ、年相応なあどけない顔をしていた。その少年は一瞬ニヤリと笑ったかと思うと、消えた――――――――――――。
シリアス編のプロローグみたいなものです。なのでめっちゃ短いです。
う~ん、俺シリアスなんて書いたことないからなぁ。不満だったらすいません。