4.坊ちゃま、残念ながら……。
※実験的にタイトル変更しました。
「坊ちゃまの身体能力を一通り、確認させていただきましたが……」
「ぜぇ……ぜぇ……!」
「残念ながら、平均以下ですね」
指導をすることになって数時間後。
二人の姿は屋敷の中庭にあった。ひとまずレオの身体能力の確認をした方が良い、と考えたレーラの提案だ。しかし実際に諸々の測定を行ってみると分かったのは、少年の体力は平均以下である、ということ。
それを受けて、レーラはしばし考える。
そして、改めてこう提案した。
「すぐに強くなることは、おそらく不可能ですね。先に、基礎体力を高めなければなりません。ですので、目標は今から三か月後に――」
イジメられている女の子を助け、同時に護る。
それを達成するためのプランはなかなかに、困難を極めそうだった。
心苦しくも彼女がそう告げようとすると、しかしレオは肩で息をしながら言う。
「だ、だめだよ! 一週間で、なんとかならないの!?」
「一週間、ですか……?」
「そう、一週間!!」
食ってかかるように縋りつく彼に、レーラは困惑した。
一週間とは、どういうことだろうか。もしかしたら、その女の子はそこまで追い詰められているのだろうか。だがしかし、一週間というのはやけに具体的だ。
不思議に思っていると、レオはハッとした表情を浮かべる。そして、
「あ、え……えっと。そ、その……! その子は、とても傷ついていて!」
「それは、すでに承知いたしております。しかし一週間、という根拠は……?」
「あ、あはは……ボクの見立てだと、猶予はそれくらいかな、って……」
「………………?」
話が見えない。
レーラは、頭上に疑問符を浮かべながら首を傾げた。
そうしていると、微妙な空気を断ち切るような元気の良い声が聞こえてくる。
「あなたが、レーラさんですね!」
「え、貴女は……?」
その声の主は、レオと大差ない年齢の給仕の少女だった。
栗色の髪に円らな瞳。活発そうな印象を受ける顔立ちをしており、腰に手を当てて胸を張る姿はそれを示しているようでもあった。
レーラが黙っていると、少女はこちらへ歩み寄ってきて言う。
「アタシは貴女の指導係になったメアです! つまり、先輩です!!」――と。
少女――メアはそう宣言すると、レーラの手を掴んだ。
そして、思い切り引っ張りながら続ける。
「さぁ、お仕事の説明をしますからついてきて下さい!」
「え? あ、でも私はレオ坊ちゃまの専属で――」
「それは良いのです! ついてきなさい!!」
「えぇ……?」
有無を言わさぬメアの様子に、無表情ながら困惑するレーラ。
そんな彼女たちをレオは、ただただ見送っていた。
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