1.ボクにとって、貴女はヒーローです!
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――レオにとって、それは運命の出会いだった。
「誰か助けてください!!」
そう叫んだところで、助けなどくるはずがなかった。
分かっている。今回の状況は、いつも以上に絶望的であるということを。
若干八歳にして、彼の頭脳は明晰だった。自分が生き残るには、なにかしらの奇跡が起こらない限り不可能だと。分かっていた。だが、理解はしたくない。
だからレオは、息を切らして逃げ続ける。
男たちは余裕だからと、彼を弄んでいるのだろうか。
一定の距離を取りながら、じわじわと追い詰める作戦を取っていた。
「はぁ、はぁ……あっ!?」
そうして、ついに終わりを迎える。
行き止まりだ。
レオが振り返ると、そこには金に目が眩んだ黒装束の男たち。
逃げようにも、この人数の間を掻い潜るのは無理だ。それをついに理解してしまった少年の脚は、震え始めて、いよいよ膝から崩れ落ちそうになった。
――だが、その時だ。
「ぐあ!?」
男の一人が、短い悲鳴を上げて昏倒したのは。
見れば、奥に立っていたのは女性らしき人影だった。
賊たちは一斉に彼女を見て、武器を取り出し襲い掛かろうとする。しかし、そのような隙を与えることなく――。
「え、うそ……?」
レオは、息を呑んだ。
何故なら次から次へと、目の前で男たちが意識を失っていくから。
命は奪っていない。それすら意味のないことだと、そう言わんばかりに。一対多の戦闘において、それがいかに困難なことかは、少年にも十分理解できた。
だからこそ、伝わってくる。
目の前に現れたこの女性の凄さが……。
「…………!」
そして、瞬く間に。
賊の男たちは、全員がその場に倒れ伏した。
女性はゆっくりこちらへ歩み寄り、少し迷った様子で手を差し伸べる。
「……大丈夫、だった……?」――と。
すると、その時。
雲の切れ間から月明かりが差し込んだ。
ようやく見えた彼女の顔、そしてその表情。
涼しい顔で一つも呼吸を乱さず。
氷のようでいて、どこか温かみのある雰囲気。
レオはそれを見た瞬間に、運命を感じたのだった。
「(この人は、ボクの英雄だ……!)」――と。
かくして、凸凹な関係が結ばれる。
どこかズレた勘違いの物語は、こうして幕を上げるのだった。
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