第1話 王立学院の試験
今日は王立学院の試験当日である。金色に輝くここ王立学院は優秀の生徒しか受けることの出来ない王国が設立した学校だ。ここには沢山の貴族が集まる場所と言っても過言では無いぐらいに貴族に人気のある学校だ。試験には実技試験と筆記試験がある。試験は2日間に分かれて実施される。今年は過去最高の受験希望者だ。その中にもちろんクラウス家も含まれている。
「王立学院の受験者はこちらへ進みください」
「くれぐれも貴族としての礼儀を忘れないよう試験に励んでください」
王立学院の教師があちらこちらで制度を誘導している。すると奥からトコトコと足音が聞こえる。
「王女様のお通りです。道を開けてください」
王女様の執事の声が王立学院に響き渡る。
「今年は王女様もご入学できる歳になったのか」
「あれが王女様!?とても美人ですわ」
王女様が少し顔を出しただけで周りからの反響が凄い。
「王女様こちらへ。試験はあちらでやられますのでご移動お願い致します」
すると王女様はと歩き始める。するとまた周りから反響が響く。さすが王女様だ。歩くだけでここまで声が響くのだから。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「これより実技試験を開始する。自分の中で一番強い魔法をあちらの人形に当ててください」
砂の人形が数体目の前に現れる。この人形は一定の魔力が感じられるとすぐに地面に戻る仕組みになっている。つまり一定量に達していないと壊れない。ここのラインを超えると実技試験は合格だ。
「では実技試験開始します」
「まずはオーネル君。得意な魔法属性とその魔法の名を言ってから魔法を発動してください」
「はい。僕の得意な魔法属性は炎です。ではこれから炎の矢【ファイヤー・アロー】を放ちます」
オーネルは魔法を発動し始める。
「炎の精霊よ、我が手に炎よ、集い来たれし、敵を貫け”ファイヤー・アロー”」
すると炎で作られた矢が構築される。その炎の矢は砂の人形に向かい一直線に飛んでいく。人形の腹辺りに穴が空く。放たれた矢は消え、人形も地面に戻る。
「一定量の魔力を感知しました。実技試験を合格とする」
先程の人形が再生し、喋り始める。先程穴が空いた腹部には何一つが傷がない。再生魔法も掛けられていない。するとその場にいたノア・クラウスが小さな声量で言葉を発した。誰にも築かれない声量で。
「あの人形の再生能力は調べる必要がありそうだな」
すると近くにいたノアの専属メイドに念話で語り始める。
「ソフィア、今夜あの人形についての資料を盗むため会議をする。できるだけ早めに俺の部屋に来てくれ」
「はい。ノア様」
ソフィアが笑顔でノアに顔を向けた。
「では次にアリス王女様お願い致します」
「分かったわ」
綺麗な声がこの会場に響き渡る。
「ではわたくしは闇魔法 喰奪精神【ソウルイースター】をお見せします」
手に魔法陣を浮かばせ詠唱を始める。
「光に飢えて光を貪る死神よ、今ここに来たれ、彼の者の精神を喰らい、破壊せよ ”喰奪精神”【ソウルイースター】」
すると鎌を持ったボロきれの黒衣を纏う髑髏の死神が現れた。その死神が人形に向かって鎌を振るう。人形はたちまちに消え、黒いオーラを纏いながら地面に戻った。その人形が再生する。
「一定量の魔力を感知しました。実技試験は合格とする」
合格とすると放たれた瞬間周りからおめでとうの声がそこら辺で飛び交っていた。
「さすが王女様」
「そんな魔法も知らなかったわ。さすが」
周りからもに評価をする教師の声もきこえる。王女が元の定位置に戻る。
「では次、ノア・クラウス君」
ノアは名前を呼ばれた瞬間椅子から立ち上がり返事をする。
「はい」
魔法を発動する所まで歩いて移動する。もちろんのことソフィアが赤い絨毯を敷く。
「ノア様!頑張ってください!」
ソフィアが笑顔でノアに精一杯応援の超えをあげる。ソフィアはノアのことが好きなのだ。なのでノアが少し行動しただけで笑みがこぼれてしまう。
「じゃあ俺は 魔法具制作で武具を製作し、あの人形に斬りかかります。」
ノアの手には魔法陣が浮かび上がった。1本の炎を纏った剣が姿を現す。その剣には教師もびっくりするほどの魔力が纏っている。ノアが剣を上げ剣を振る。
「【フレアバースト】」
剣先が地面についた瞬間、爆発が連鎖していく。そのまま人形に当たり、人形は砂ごと爆発する。
「さすがノア様です!お見事でした!」
すぐさまにソフィアの声が聞こえる。人形は先程の再生能力が弱まり、再生が遅い。少しずつ人形の形になっていく。
「一定量の魔力を感知しました。実技試験を合格とする」
ソフィアがその言葉を聞いた瞬間うちはを手にし、ノアが合格したことを喜ぶ。
「キャーー!!ノア様かっこいいです!!ノア様合格おめでとうございます!!」
まるでファンの如く、うちはを振るう。
ノアがソフィアの前まで歩いていく。
「ソフィア、まだ実施試験しかやっていないのだけど……」
「いえ!実技試験さえ合格してしまえば、合格と同じですよ!筆記試験はノア様の領域ですので!!魔法が苦手な上にこの威力はお見事でした!!」
ソフィアがより興奮してうちはが見えなくなるほど高速で振るっている。
「そうか……」
ノアの頭はこう思った。「ソフィアが俺を好きなのは分かるが愛情表現が凄すぎる」とノアが頭を抱える。ノアが席に戻ると試験は次々と進んでいく。