~rainday~
私は雨が大嫌いだ。
嫌な事しか思い出されないからだ。
昔、仲のよかったとある侠客がこの世を去った。それが、夏の土砂降りの雨の日だったのである。
彼は組同士の些細なもめ事からとある刑務所に服役していた。当時私は、彼の女が経営するクラブに用心棒として出入りしていた。
その時の光景は、四十年以上経った今でも鮮明に覚えている。
相手方のヒットマンが放った銃弾が刑務所を出て来たばかりの彼を襲い、後は七人がかりで
めった刺しにされた彼。土砂降りの雨のせいで出来た水溜まりが、彼の血で真っ赤に染まった。