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第1話 戦闘 幕間 『魔王』

 武装した住民を見つけると、的確に無力化していくアステリズモのスカベンジャーに驚愕を覚える。

 少なくとも、炸薬兵器による攻撃を複数回受けてしまえばスカベンジャーといえども活動に支障をきたしてしまう。その中で被弾を避けたうえでできるだけ人死を出さないように鎮圧用電撃銃を加えていく姿はまさに異常であった。

 今、自分は息をひそめて隙を見せるのを待ちわびているのだが、アステリズモは機体の動きを止める際には必ず遮蔽物の陰に隠れ、移動はできるだけ左右に振りつつ狙いを絞られないように動いており隙がなく、その上その挙動には無駄が無く、早い。


 スカベンジャーに乗り始めて2年半。動けなくなり捨てられていたM,Aを養父と修理改造して、養父により『ガイア』と名付けられたスカベンジャーを使っているが、自分がアステリズモの領域にたどり着けているかと言われるとわからない。

 だが、それでもこれまで生き延びてきたのだ、無理はできないが、やってみる価値はある。


 自分と一緒に出撃した1機である『スピーダー』も身を隠しているが、どうやら同様に隙を見つけられずに立ち往生してしまっているようだ。他に身をひそめていた機体はどうやらアステリズモに出会う頃はできずにホワイトヘザーの機甲部隊の襲撃を受けている。さすがにホワイトヘザーの機甲部隊となるとその名の通り腕もよいらしく未熟な傭兵が撃墜されたと連絡が入ってくる。自分たちはついているようで、このままいけばこちらが待ち伏せしている2機の間を討伐対象のアステリズモが通るためそこに懸けるしかないと思う。


―そこまでうまくいけばいいのだけど・・・。


 気づかれていないように祈りつつ、走るアステリズモを注意深く眺めながらタイミングを計る。


―3、2、1、今!!


 どうやら『スピーダー』も同じ考え方のようだったようで挟撃に成功する。

 反対側にいる『スピーダー』の機体構成はその名のごとく機体の限界まで装甲を削り、武装も散弾銃のみというイロモノのような機体だが質の良いパーツを使っており、そのスピードは目を見張るものがある。自分の『ガイア』がありあわせの継ぎはぎのようなバランスの悪い機体なため、若干うらやましく感じる。


 『スピーダー』とこちらの挟撃を読んでいたのか、アステリズモがぎりぎり躱すが、『スピーダー』は躱されることが織り込み済みであつむたかのように、その機体性能を十分に引出して散弾銃で牽制しながら一瞬で距離を詰めていく。だが、『スピーダー』の武装の少なさに気づいたのだろうかアステリズモは遮蔽物を活用して巧みに散弾銃の有効射程から逃れるために距離をとって巧みに攻撃を躱していく。

 自分は左手に保持している37mm狙撃銃を使って後ろから射撃を加えるが、どうやら予想されていたらしく初撃をかわされてしまう。


―後ろに目でもあるのか・・・!?


 挟み撃ちを受けていることに気付いたアステリズモは遮蔽物を使いつつ『スピーダー』の攻撃を避けながら安全を確保しようとしている。

 自分の機体では『スピーダー』の高速戦闘に追いつくことはできないと判断して、後衛としてアステリズモが使いそうな遮蔽物に先に射撃して『スピーダー』が追い詰めやすいように援護するがなかなか決め手にはならない。それでも着々とアステリズモの逃げ場を塞げているという実感はある。


―獲物をスピーダーが仕留めた場合はおこぼれぐらいにはあずかれるだろうか?


 アステリズモは着々と『スピーダー』に距離を詰められているがその挙動に動揺は無く、無駄もない。建物に隠れても狙撃銃から攻撃を受けてしまうならば、狙撃のタイミングをずらすために『スピーダー』の移動に被害を与える場所となるように移動してこちらの連携を阻害してくる。

 さらにアステリズモはまるで視界が二つあるかのように巧みに立ち位置を変えながら隙を見つけて反撃してくるが、それでも『スピーダー』の速さの前にはかなわず、銃弾は空を切っている。

 だが、そんな時間も長くは続かない。さすがに2対1であれば凄腕と名高いアステリズモと言えど少しずつ追い詰めていくことができている。『スピーダー』自身の腕によるところが大きいが、アステリズモの攻撃を避けつつ上手く逃げ道をふさいでいっている。

 その時、『スピーダー』と示し合わせたわけではないが、何となくひらめきを感じたため『スピーダー』とアステリズモに射線が重なった瞬間を狙撃した。

 まさに完璧なタイミングで完璧な位置に狙撃ができたと思う。

 狙撃の瞬間、『スピーダー』が飛び上がることで、アステリズモの胸の中心に向かってライフルが直撃するはずだったのだが、


 目の前のアステリズモの目立った外傷は左腕と左腕に装備されていた電撃銃が破壊されたことだけであった。


「まじかよ!!」


 『スピーダー』の悲鳴のような叫び声が聞こえた。完璧なタイミングで中央にとらえたと思ったのだが、どうやらアステリズモは電撃銃を射線の前に捨て、同時に機体を右に傾けることでほんの少しの時間差を作って直撃だけは避けきって見せたのだ。

 あの、ほんの一瞬で判断し、それだけ動いてみせたのだ。

 『スピーダー』の動揺を見逃さずに今度はアステリズモが『スピーダー』に追いすがる。高速機動に動揺は最も敵となる。そのほんの少しの動揺を見逃さずに右手に装備した散弾銃を片手で使い、『スピーダー』にダメージを蓄積させていく。『スピーダー』を追い詰める側に立つとこちらの狙撃による遮蔽物の破壊に意味は無くなってしまうが、できるだけ助けになるように『スピーダー』が逃げ切れるようにアステリズモの通り道を攻撃しようとするが上手く遮蔽物と『スピーダー』そのものを楯に使っていなされてしまう。

 とうとう散弾の一部を受けて『スピーダー』が大きくバランスを崩してしまった。機体が傾き倒れてしまえば、恐らく機体の受け身プログラムを発動しても3秒は隙だらけになってしまう。『スピーダー』は懸命にバランスをとって倒れないようにしているのが見える。


―どうする!?


 狙撃銃を捨て、通常のライフルによる中距離戦闘に切り替えるか迷ったのは一瞬だったのだが、その隙はアステリズモに対しては致命的であった。

 持ち替えて近づこうと機体を走らせた瞬間に見えてしまった。『スピーダー』がなんとか身を守ろうと散弾銃を撃っていたのだが、アステリズモはこれまでにない命を捨てるかのような突撃で強引に追いすがり、『スピーダー』による散弾銃の迎撃を受ける中、自身の散弾銃で『スピーダー』のコクピット部分であろう首元の部分を打ち抜いてしまったのであった。


 ここが攻め時と勝負所に対してわが身を投げ打つアステリズモの戦い方に震えが走る。2機で何とか追い詰めた相手を自分は1機で相手にしなければならないのだ・・・。


 アステリズモのスカベンジャーの赤い複眼カメラがこちらを見据える。S,Aが絶対の制裁者にして正義の執行者にして死神と言うのであれば、逆らうものすべてに死を与えるその姿はまるで皆の噂がごとく・・・


正直、ここが書きたくてこのタイトル

ここまで書けて満足しました。


ご覧下さりありがとうございます。

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