訓練の様子
今回も少し短めです
私達が異世界『アースバルド』に召喚されてから1ヶ月が過ぎた。みんな、かなりのペースでステータスを上げている。
まあ、騎士団の人達には勝てないけどね。
あれから、前衛組の人と後衛組の人の2つのチームに分けられた。
前衛組は主に、騎士団の人達と模擬戦と訓練を行っている。
一方、私を含む後衛組は主に、魔法を中心とした訓練を行っている。後、魔力を増やしたりもしている。
「ねぇ、深雪。この魔法構築って簡単に出来ない?」
「えっとね、ここを省いて代わりにこれを入れると簡単になるよ」
「ありがとう―!!」
最近は、他のみんなに魔法を教えている。これって、私じゃないとダメ?
「ところで、深雪?」
「えっ、何?」
「さっきから何を読んでるの?」
「ああ、これ?これは、この世界のスキルや称号、天職の事が書いてある本なんだ」
そう。最近は、この本を読んでいる。辞書みたいに分厚いからなかなか読み終わらない。でも、色々調べられるからありがたい。
例えば、天職。個人に最も適した職業の事を天職って言うらしい。
1番多い天職は【戦士シリーズ】で、逆に少ないのは【王シリーズ】。確かに、王が沢山いたら大変だしね・・・。ちなみに私は【聖女】だった。上級職だと、スキルが手に入る職業もあるらしい。
次に称号。称号は、ある一定の条件を満たすと獲得出来る物。
【勇者】の称号は勇者らしい行動をすると手に入るらしい。【勇者】の称号を手に入れるとスキル【大精霊魔法Lv1】【魔王感知】を獲得するらしい。けど前見たとき無かったけど、今見たらあった。変なの。
後、称号【魔王】も見つけた。【魔王】の称号は神、又はそれに準じる者を滅ぼす事で獲得出来る。しかも、人族10万人の魂を得る事でも可能らしい。恐ろしすぎるけど・・・。称号【魔王】で獲得出来るスキルは【大魔王】と【七罪】。森羅万象を使っても【大魔王】と【七罪】の事は分からなかった。
スキルは、【固有スキル】、【パッシブスキル】、【アクティブスキル】、【魔法スキル】、【ステータス上昇系スキル】がある。まあ、ゲームみたいな感じだ。
「ねぇねぇ、深雪?【魔王】の項目を開いてどうしたの?」
「あっ、ごめん。ぼーっとしてたよ。特に意味はないよ」
「それにしても、後1ヶ月か・・・。迷宮に行くんだよね?」
そう、後1ヶ月なのだ。浩也に会いたいから、強くならないといけない。
「うん、パーティーを組まないといけないから、早めに決めないとね」
「うん」
―――――カラーン、カラーン!!
あっ、夕食の合図だ。
「やっと終わったーー!!」
「ご飯食べに行こう!!」
「うん」
さあ、またあの面倒くさい奴の相手をしないといけないな・・・。
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「やあ、深雪さん!どうだった、訓練は?もし、よければ僕が1から教え・・・」
「別に大丈夫だよ。そこまで、難しい事は無いから。じゃあね」
相変わらず、うざい。九条 文哉がまた誘ってきた。これが毎日だからイヤになる。自分のご飯を持って仲間の所に行く。
「よお、深雪。また、文哉に誘われたのか?」
「うん。正直ウザイし、キモいし」
「相変わらずの毒舌で・・・」
彼は、工藤 蓮。浩也とも仲が良かった男友達の一人で、私達のパーティー【流星の光】のムードメーカーだ。
「にしても、本当にしつこいよなー。あきらめが悪いって言うか・・・」
「なになにー!何の話しをしてるの~?」
いきなり話しに入ってきたのは、ちょっと天然が入っている霧島 美花。パーティーの天然キャラだ。
「いや、深雪がまた九条に誘われたっていうのを話しててな」
「また!?往生際が悪いな~」
本当そうだよ。
「しかし、どうにかならないかしら?九条の奴」
「確かに」
「あっ!!香澄ちゃんと明日菜ちゃん!」
そう言って来たのは、大島 香澄と三崎 明日菜。香澄は、私達のパーティーのリーダー的存在だ。明日菜は私達のパーティーの参謀だ。
「まあ、あのバカ(九条)は置いといて、浩也のいる【亡国の迷宮】で魔王級の魔力が確認されたのは本当?」
そう。今日の朝、とてつもない程の膨大な魔力が確認されたのだ。
ちなみに、パーティーメンバーには浩也が生きている事を教えた。
「うん、あの魔力は普通じゃない」
その位凄まじい、いや異常な魔力量だった。
「もしかしたら、迷宮に行くのが早まるかも」
蓮がそんな事を言い出した。
「どうして~?」
「だってさ、あの魔力量が一気に放出したんだろ?なら、その放出した魔物は魔力補充のために休眠するんじゃないか?」
確かに、あり得る。魔物は魔力がないと活動出来ない。特に強力な魔物は魔力を使いすぎると休眠状態になる。帝国は、私達が早く強くなって欲しいから、予定より早く迷宮に連れて行く可能性がある。
そして、その予想は当たった。1週間後に迷宮に向かう事が決定したのだ。
「まあ、迷宮に行ったら浩也をびっくりさせようぜ!!」
「賛成~!!」
「良いと思う」
「とにかく、後一週間。頑張ろうね」
「うん!!」
この時の私達は知らなかった。今、浩也がどこで何をやっているのかという事に。
次は本編に戻ります