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商店街にて再会




「紬ちゃん、お願いがあるんだけど」


 そう言って真希子さんが自宅のある廊下側から小走りでやって来て小さく首を傾げる。

 明るい茶色の横髪がふわりと頬に落とす影すら愛らしくて私は余りの眩しさに目を細めた。


 昨日合コンで飲み過ぎたせいか頭は痛いし体も怠いんだけど、習慣になり始めている千秋寺での早朝修行のお蔭か朝はアラームが鳴る前にちゃんと起きられたのだけは自分を誉めてあげたい。

 むくんだ体を引きずって始発に乗り、細い階段を登って到着した私を宗春そうしゅんさんは「酒臭い」と笑顔で嫌がり今日は神聖な山への出入りを禁じた。


 こんなに体調が悪い時に細い山道を上がったり下ったりしなくてもいいのだから逆にありがたいくらいなんだけど、お前のおじいちゃんへの思いはそんなものなのかと宗春さんに鼻で笑われたようで悔しい。


 確かに誘いを断れなかったこととか、限界を誤って飲み過ぎてしまったことは間違いないから言い訳なんかできないんだけど……。


 だからせめて言いつけられた仕事はしっかりしようとはらはらと落ちてくる落ち葉と戦い、朝食を頂いた後は廊下をぴかぴかに磨き上げることに集中していた所に真希子さんがやって来た。


 彼女のお願いを前に私は手を止めてじんわりと鈍い痛みを訴える腰を宥めながら這いつくばっていた上半身を起こす。


「お願いってなんですか?」


 いつだって美味しい料理とほんわかと和ませてくれる素敵な真希子さんのお願いならどんなものでも叶えてあげたくはなるけれど、相手は意外に自分の意思を通すことに長けている女性なのでほんの少し警戒心が湧く。


「えっとね。もうじきお昼なんだけど、わたしどうしてもほのかのおいなりさんが食べたくて」

「ほのかのおいなりさん……?」

「そう。ほのかのおいなりさん。あそこのは特別美味しいんだから」


 スカイブルーに白の水玉の入った小さながま口の財布を「はい」と差し出して真希子さんはにこにこと微笑んでいる。


 ええっと……つまり。


「ほのかというお店に行っておいなりさんを買ってきて欲しいと?」

「そういうことね」


 よくよく聞いてみればご近所の商店街にあるお弁当屋さんらしい。

 真希子さんは今からうどんを作るということなので代わりに行くことを了承する。


 ここでいつもご馳走になってばかりだから私が出しますと主張して、お財布を受け取る、受け取らないで揉めたんだけど結局真希子さんには適わなかった。


 渋々がま口を握り締めて山門を潜り、急な階段を慎重に下りると待っていた毛むくじゃらの小人たちが一斉に足元へと群がってくる。

 まるできゃーって歓声でも聞こえそうなくらいなんだけど残念なことに彼らの声は人が聞き取れる音域より随分と高いんだそうで。

 それでも小人たちは感情豊かに小さな体を目いっぱい使って表現してくれるから、会話ができなくても私たちの間になんの問題も無い。


 最初は黒くて小さな物の集合体がうごうごと動いているのが気持ち悪かったのに慣れちゃうとこんなにも可愛く思えるんだなぁ。


 不思議。


 教えられたとおりに階段を下りてから右の方へと進み、少し先にある犬のいる家の横から小道へと入り込む。


 あとはまっすぐ行けば着くからって言われたんだけど……。


 ちょっと心細くなるような小道はどこかのお宅の塀が両サイドに迫っていて、時々家一軒分程の空き地が現れる。

 小さな溝が道の端にあって、そこの溝蓋もあったりなかったりした。

 地元の人しか通らないようなひっそりとした小道が商店街へと繋がっているなんていくら真希子さんからの情報だとしてもちょっと信じられない。


 いつ行き止まりになるかとひやひやとしながら歩き続けるが、誰かの家の敷地と塀越しとはいえ繋がっているのに人の気配が全く感じられなくて怖くなってきた頃。


 いきなり賑やかな空気と音が前からやってきて思わず立ち止まった。


 どうやら商店街の入り口からではなく横から中へと入る道だったようで、濃い茶色とそれより少し薄い色の四角いタイルが敷き詰められた道が真っ直ぐ左右に伸びているのが見えている。


 秋の温かな太陽の光に満たされたその商店街は、なんて言うんだろう……レトロといったらいいのかな?


 どこか郷愁を誘うような、ちょっと古臭い感じの商店街なのに全然寂れたような雰囲気は無くて、土曜日だからか子ども連れの若い夫婦の姿や私服姿の女子中学生位の子たちが楽しそうに歩いている姿が多い。

 ご近所のおばあちゃんたちが店先で集まって喋っていたり、お店の人たちが生き生きと声を掛け合っている様子に驚いた。

 なんでも揃って一日中過ごせる大きな複合商業施設が主流となっている今こういう商店街はどんどん人が来なくなって下火になっているというのにここは珍しいほど活気がある。


幸地町こうじまちあわい商店街……」


 小人たちがわーっと陽の光を喜ぶように駆けて行くのを追って私も商店街へと足を踏み入れた。

 左右に伸びた道の端にアーチ状の門がかかっていて、そこに記された商店街の名前を読み上げると昔ながらの八百屋さんが青いザルの中からお釣をお客さんに渡した後でくすりと笑う。


「あんた見かけない子だねえ」


 八百屋のおばちゃんは鮮やかなハイビスカスの花がプリントされたバンダナを頭に捲いて、その柄と色に負けないほどの明るい笑顔で私を見ている。


「あ、はい。えっと、知り合いのお宅に遊びに来ていて……お使いを頼まれて」


 知り合いのお宅ではないし遊びに来ているという軽い理由ではないのだけど、この場で詳しく説明する必要もないので当たり障りのない返答をしておいた。


「お使い?どこにいくんだい?」

「ほのかというお店のおいなりさんを」

「あー!なるほどね。コン汰のいなりずしは美味しいんだよ。あんた良かったね!」

「……はぁ」


 どうやら真希子さんが特別に美味しいと手放しで褒めていたように、ほのかのおいなりさんはこの辺りでは有名みたい。

 そしてそのいなりを作っているのはコン汰と呼ばれている方のよう。

 さすがにコン汰というのはあだ名なんだろうけど。


「ほのかはあっち。住宅街の方の入口のそばの店。隣は消防団の詰め所があるし、ほのかの正面には床屋があるから」


 八百屋のおばちゃんが「あっち」と指差した方を見ると古くからある小さなお店がたくさん並んでいた。

 アーチ状の門の向こうに住宅が広がっているのが見える。

 ためしに反対側のアーチの方を見ると三階建てのパチンコ屋さんやちょっと大きめのスーパーやコンビニなんかもあって、大きな道路が通っているから駅側なのだと分かった。


「ありがとうございます」


 ぺこりと頭を下げて行こうとしたら「ちょっと待って」と呼び止められて、ついでに自分の分も買ってきて欲しいとお金を無造作に渡された。


「えっと」

「頼んだよ」


 気のせいではないと思うが私とおばちゃんは初対面だ。

 そんな相手に買い物を頼むってちょっとあんまり聞いたことが無い。

 戸惑っている私を置いておばちゃんは犬の散歩のついでに寄ったお客さんと話し始めた。


 なんというか、人懐っこい……?


 掌のがま口と千円札を見下ろして暫し悩み、どうせ買うものも行く場所も同じなのだからと言い聞かせて目的の場所へと足を向けた。


 金物屋さんや駄菓子屋、ちょっとお洒落なカフェもあったし酒屋さんもある。

 横に長く開けっ放しのガラス戸の土間で表替えをしているのを横目で見ながら畳屋さんを通り過ぎ、細長い店に黄ばんだ背表紙の並ぶ古書店、お店で手作りしている豆腐屋さんに後ろ髪を引かれ、向かい側の和菓子屋に誘惑されつつ足を止めそうになった鼻になんともいえないだしの利いた甘辛い香りが届いた途端。


 脇目も振らずに私はその店の前まで小走りで向かっていた。


「…………ここだ」


 間口は二間ほど。


 腰から上がガラスの引き戸の向こうに長い金髪を首の後ろでひとつに束ねたほそっりとした青年が忙しそうにパックを並べている後ろ姿が見えている。

 露わになっている耳には左右どちら共に銀色のピアスが光っていた。


 彼がコン汰さんなのかな……?


 でもどう見てもバイトの人にしか見えない。

 食べ物を扱うような所で働くにはちょっと相応しくないような容姿をしているけれど、赤いエプロンをつけているのは腰の辺りに揺れているリボン結びの紐があるから確かなんだし。


 店員さんならば笑顔は無くても客に凄んだりはしないはず……。


 真希子さんからのお使いだけでなく、八百屋のおばちゃんの分まで頼まれているのだからここで「すみません。買えませんでした」では言い訳にもならない。

 そもそも子どもじゃないので中のお兄さんが怖かったなんて口が裂けても言えないわけで。


 ごくりと唾を飲み込んで引き戸に手をかけると思い切って開ける前に気づいた店員さんが振り返った。


 細く吊り上った目尻と薄い眉に尖った鼻と顎の痩せた若い男の人。

 バンドで髪を乱してギターをかき鳴らし、喚き立てるようにして歌っているのが似合いそうな見た目の彼はにこりと微笑んで頭を軽く下げた。


「いらっしゃいませ」

「こ、んにちは」


 たどたどしい挨拶をする私に店員さんは優しく頷いて「こんにちは」と返し、カウンターの左端にある狭い入口を通って奥へと移動する。

 お兄さんの赤いエプロンの胸元には弁当屋ほのかと白い文字が染め抜かれていて、そのくたびれ具合があまりにも板についていてもしかしなくてもこの人がコン汰さんなのかもしれない。


 ということは店員さんでは無くて店長さんなのかな。


 もしそうだとしたらこの若さでお店を始めるなんて、意外としっかりしているのかもしれない。


 見た目と違って。


「あの、おいなりさんを六パックと――」


 あ、しまった。

 八百屋のおばちゃんの分はどれだけ買っていけばいいのか聞いてない!


 千円札を渡されたけどその中でめいっぱい買えばいいのか、それともおばちゃんの分だけでいいのか判断に困る。


「どうしました?」


 はいはいと手際よく八個入りのパックを六つ袋に入れている手を止めて、お兄さんは細い目をぱちぱちと瞬いてこちらを見てきた。


「う、あ、あのっ。八百屋のおばちゃんにも頼まれたんですけど、いくつ買ってくるか聞いてくるのを忘れて」

「八百屋……ああ、菊乃さんかな?もしそうならいつも三パックのお買い上げですからいつも通り三パックで大丈夫だと思いますよ」


 親切な店員さんのお言葉に甘えるべきかどうか悩んでいると「こんにちは」と背後の戸が開いて小柄な女性が中へと入ってくる。


「コン汰いなりを三パックちょうだい」

「ああ、亜紗美さん。こんにちは」

「朝晩だいぶ寒くなってきたけど日中はまだ暑いねえ」

「そうですね」


 マロンブラウンの髪をボブにした顔の小さいお姉さんは可愛らしい見た目に反してどこか年寄り臭い言葉でお兄さん――やっぱりこの人がコン汰さんだった――と話し始める。

 コン汰さんは三パック袋に入れて代金と引き換えに渡しながら苦笑い。


「コン汰は痩せてるから風邪引かないようにしないとダメだよ」

「そんな軟な身体してませんよ」

「でも二年前確かこの時期にひどい風邪引いたじゃない」

「あ、あれは――」


 言い淀んでから戸の向こう側へ視線を向けて何事かを考えた後でコン汰さんが「そうですね」と頭を掻いた。


「気をつけます。なので、亜紗美さんも気を付けてくださいね」

「大丈夫。そういえばあの頃コン汰だけじゃなくて普段は元気な商店街の人たちがみんな風邪で倒れたよね。あの時はびっくりしたなぁ」

「あの時はご心配をおかけしました」

「ほんとだよ」


 神妙な顔で頷く亜紗美さんの瞳はどこまでも彼や当時倒れた人たちを心配していて、この商店街の人間関係の親密さが伝わってくる。

 邪魔にならないように端の方で黙っていたら「おいおい、客をほったらかししてなにしてんだよ」と戸がガラリと開いて狭い中へと入ってきた。


「銀次」

「ああ、そうでした。すみません」


 コン汰さんがはっとした顔で申し訳なさそうに眉を下げて私を見るので慌てて気にしないでくださいと手と首を横に振る。

 そして亜紗美さんが入ってきた相手に呼びかけた名前とつい最近聞いたばかりの忘れもしない声にまさか……と思いつつ視線を向けるとそこにあったのは銀色の髪に包まれた少年のような顔。


 ああ、どうして。


「つくづく縁があるみたいだな。オレたち」

「……縁」


 こんなことってそんなにあるとは思えないけど。


 くしゃくしゃになった赤いエプロンを手に持ったままカウンターの横から中に入って彼――狩野銀次かりのぎんじ――はコン汰さんの背中をぐいぐい押して外へと出し「邪魔だから外行ってろ」と追い出した。


「お前な」

「うるせ。黙れ。好きな女デートのひとつも誘えないようなヘタレな兄貴のいうことなんか誰が聞くか」

「すっ――!?」

「今からオレが紬を口説くのに邪魔だから向こう行けって言ってんの」

「は!?え……もしかして、お知り合いで?」


 青ざめた顔でコン汰さんが私を見るので「ええ、まあ」と頷く。

 お知り合いと言うか昨日合コンでお世話になったというか。


「あ、もしかしたら今日銀次に会いに来たんですか」

「え!?いや、そんなわけ」

「そうだよ。分かったら亜紗美と一緒にお茶でもして来い」

「はあ!?私はこれから仕事なの!」

「じゃあ亜紗美の雑貨屋で時間つぶして来い」

「もう、相変わらず横暴なんだから」


 そう言いつつ「行こう、コン汰」と亜紗美さんはコン汰さんを促して出て行く。

 ひらひらと手を振って澄ました顔で笑っている銀次さんはなにを考えているのかよく分からないけど、コン汰さんは出て行った亜紗美さんを痛ましそうに見てから次に私の方へと身を寄せてきた。


「あの、銀次は女の人とのお付き合いを真剣にできないような男なのでどうか」

「大丈夫です」

「へ?」


 コン汰さんは兄として弟が女性を傷つけることに随分と悩まされてきたんだろう。

 でも私が銀次さんとどうこなりたいという気持ちが全くないのだから、そういった面倒にはなりようがない。

 銀次さんだってこれだけ男前で遊び慣れているんだから今更私みたいな冴えない地味な女を彼女にしようとは思わないだろうし。


「ご心配するようなことにはなりませんから」

「え?でも」

「ぐだぐだ言ってないでさっさと行け!亜紗美待ってるぞ」

「あ、ああ……」


 ガラスの引き戸の向こうで待っている姿を見た途端にコン汰さんの目の色が変わった。

 まるで子どもが手の届かない我慢している欲しいおもちゃを恋焦がれるような、見ている方の胸を苦しくさせるそんな視線を亜紗美さんに向けて。


 ああ、そっか。


「大丈夫ですから」

「……では」


 背中を言葉で押せば諦めたようにコン汰さんは戸を開けて、一度だけ銀次さんを申し訳なさそうに見て出て行った。


「あー、面倒くさい兄貴だ」

「……でも銀次さん、コン汰さんを応援してるんでしょ?」


 意外と兄思いだ。


「もともと亜紗美はオレの女だったんだ」

「へ?」


 銀次さんはバリバリと音を立ててパックを開けて、行儀よく並んでいるおいなりさんを親指と人差し指でつまんで出すとぱくりと頬張った。


「売り物勝手に食べていいの?」

「どうせ売れ残ったら食べさせられるんだから同じだ。んで兄貴な。オレより先に亜紗美と知り合いで、そん時からずっと好きだったんだけど。遠慮してる間にオレみたいなやつに盗られて」


 バカみたいだろ。


「まあオレだって亜紗美がこの商店街の人間だって知ってたら手出さなかったけど。知らなかったんだからまあ仕方ないわな」

「付き合う人が商店街の人かどうかってそんなに重要なんですか?」


 そういうルールがあるんだとしたら不思議な決まりごとだなぁ。

 社内恋愛禁止みたいな感じだろうか?


「この商店街に住むオレたちには重要だな」


 いつの間にかぺろりと平らげた銀次さんは透明のパックをぐしゃりと片手で潰して「面倒くせえけど」とぼそりと呟いた。


「亜紗美が商店街で働いてるって聞いてすぐに別れたし、オレの中ではいっぱいいる女の中のひとりだったから真剣に付き合ってたわけじゃないし。なのに遠慮して……兄貴はほんとバカだ」


 でもなんとなく分ると呟いて銀二さんが手の中で小さく丸められたパックを投げては掴んでを繰り返す。

銀次さんは男として最低な発言をしたけれど、私がそれを責めるよりも先に彼はどこか寂しそうに微笑んだ。


「別に付き合ってもお咎めはないけど、好きな女に隠し事をしたまま付き合うってのがなかなか結構難儀なことなんだよ」


 隠し事。


 その言葉に銀次さんの背後に見えたふさふさの尻尾が脳裏に蘇る。

 酔っていたし、暗かったから気のせいだと思っていたけど。


 きっと違う。


「亜紗美のことは一応オレ悪かったって思ってるからさ。兄貴が上手くいってくれりゃいいけど」


 難しいだろうな。


 吐息と共に吐き出された銀次さんの声はどこか物憂げで私はなにも言えなくなる。


 銀次さんとコン汰さんはなにかの妖で、亜紗美さんは人間で。


 妖だけど人として暮らしていればそれなりに人間関係が築かれて、自然と誰かを大切に思ったり好きだと思ったりするのかもしれない。

 私はまだ大八さんを通してでしか妖のことを知らないけど、生まれ方や存在意義が違ったとしても言葉を交わせる者同士心を通わせることができるのは間違いないから。


 種族を超えて恋愛感情を持つことは有り得るんだ。


「それより、昨日と違って紬なんて格好してんだよ」

「ふえ?」


 顔を顰めて銀次さんがしげしげと頭の先から足先まで眺めている。

 改めて自分の姿を見下ろして苦笑いする。

 ブラウンの大きめのボーダー柄の膝丈チュニックに紫の小花柄のレギンスを合わせている私の足元のスニーカーは青のチェック柄。

 昨日の珍しく着飾った――似合っていたのかは別にして――私しかしらない銀次さんにはいつものダサい格好が信じられずドン引いているみたい。


「昨日が特別でこれが普通なんですけど……そういえばよく分かりましたね。メイクだって違うし髪形も服も違うのに」

「そりゃ分かるわ」

「え?」


 呆れたように溜息を吐くと銀次さんは「だってお前良い匂いするもん」と続けたんだけどその“良い匂い”が全く分からないんですが。

 でもそれを追及するとなんとなくまずいような気がして「そうですか」とだけ返して誤魔化した。




どんどんキャラが出てきますが、大丈夫でしょうか?

ついてこられてますでしょうか?

狩野兄弟はここでは言及しておりませんが狐の妖でございます。

兄は金の弟は銀の毛並みのおきつねさんです。

これからも出てくるのでどうぞお見知りおきを……。

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