の けもの
抑え切れない暴れまわるそれを
何度となく 何度となく
押さえ付けてきた
身の内側を 食い破ろうとするそれを
なだめ すかし 時に甘やかし ずっと一緒にどうにかやってきた
だけれど 元からソイツは 優しくなんてなかった
私を通じて 時に暴れたソイツは
機会を狙って 獲物を狙って ただ伏せていただけだった
自分が緩んだ時
油断した時
もう 首に縄など無く
暴れまわった
獣は誰だ
ケモノはどこだ
野獣はここに至れり
逃げられないに決まっている
の け も の は
我が身そのものであった
野に放たれた我が身は
ただひたすらに吼え 走り回る
ただ 命尽きるまで
止まらずに走り回る
ケモノの野性は奪えない