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さくら  作者: zaku
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パンダのぬいぐるみ

 あれから真司の朝食はパンになった。

 しかも、おばさんの監視付きだ。

 ただでさえ暑くて息が詰まるこの部屋で、おばさんに見られながらの食事など美味いわけがない。

 おばさんは、毎日同じ時間に真司の部屋にやってくる。

 そして、他愛のない話を始める。

 もちろん真司はそんな話など聞いちゃいない。

 それでもおばさんは、お構いなしに話を続けた。真司が話を聞いていないことなどわかっているはずなのに。

 たのむから早くここから出ていってくれ―

 そう思うと、必ずおばさんはこう言う。

 「真司くんが食べてくれるまで居るから」

 ふざけるな!

 真司は苛々しながらパンにかぶりつく。

 するとおばさんは、「ありがとう」とにっこり笑って部屋から出ていく。

 朝だけではない。

 昼も夜もそうだ。

 毎日同じことが繰り返された。


 なんなんだ、このおばさん―


 無理やり毎日三食摂ることで、真司の体調も体力も徐々に戻っていった。


 そんなある日の朝、真司は珍しく早い時間に目が覚めた。

 暑かったからではない。

 なんとなく、人の気配を感じたからだ。

 外から差し込む光が眩しい。

 時計を見る。

 まだ六時前―

 真司は、夏の夜が明けるのがこんなに早いことをすっかり忘れていた。

 目をこすりながら辺りを見渡す。

 誰もいない。

 当たり前だ。

 気のせいか。

 ふと、机に目をやる。


 パンダのぬいぐるみ―


 何だこれ。

 おばさんが持ってきたのか?

 しかし、真司は男だ。

 こんなものもらっても嬉しくない。

 だが、なんとなく手に取ってじっと見ていると、どこかで見たことがあるような気がしてきた。


 何だこれ―



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