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花は散り急ぐ  作者: 夏冬春秋
花は枯れることを知った郎女は何を思うか
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誠一郎のお話 転

お久しぶりです」。ただ、ここはあまり中身がない。

 オレは自分の部屋でベッドに転がっていた。天井をただただ眺めているだけであった。

 そして、ああのことをひたすら考えていた。

「――人殺し、か」

 オレはその言葉が常に反芻していた。意識したことがなかった。いや、しないようにしていた。

 あれは事故である。オレの所為ではない。自己防衛だ。結局はそのように処理をされたわけではあるが、オレは彼女の言葉が棘となって、オレの心をむしばんでいる。やがてオレを殺す毒となるのか。

「……」

 あれはオレじゃない。オレは人殺しなのでは決してない。

「浩二郎に続いて……か」

 オレは過去を振り返っていた。とは言ってもたいしたことではないが。

 あの日のあの時。ハナと初めて会った日に、オレは自由になった。その自由になるための代償として背負ったのが、殺しというものだ。

 しかしながら、オレは後悔などしてはいない。いやしてなるものか。

 オレはそう生きようと決めたのだ。

 だから、今更そんなことを言われようとも。

 面倒な女だ。オレは、ハナと出会って以降の事。罪を犯した者はたとえ殺されようとも文句は言えない。その命は個人の裁量で裁いても何も問題はない。オレはその命を利用し、ハナの食事にしてきた。

 その理論で行くとオレ自身もハナの餌になりうる存在であるのだろか。いいや、オレは違う。そう願いたい。

「ハナ……」

 オレは天井に手を伸ばす。

 親を殺したのはしょうがないと思っている。なぜならオレを苦しめたのだから。その苦しみから自分を解放するため。弟を殺したのは……。あいつも、同罪だ。きっとそうだ。そうすることでオレが救われたのだから。

 あの時オレはハナに殺されると思った。しかし、ハナはオレを殺さなかった。むしろ、あの小さな手でオレの頭をなでてくれた。誰にも向けられることがなかった笑顔をオレにくれた。慈しみのある、慈愛の手でオレの冷え切っていた心を救ってくれた。熱を持たせてくれた。だから、オレはハナの為になんでもしようと決めたのだ。思ったのだ。

 だから、オレは後悔などしていない。

 今回の件もなにも思わない。何も感じてはいけない。

 もし、あいつがオレの、いやハナの邪魔をしようとするのであれば、「処理」するしかあるまい。まあ、願わくはそんなことがないようにあってほしいがな。だが、それは全て彼女次第となるのであろうか。

久々に読み返したら、むずむずして恥ずかしい気持ちになるが、好きなところは好き。文章はしょうがないし、ほのぼの日常は自分の肌に合わないけれど、ルナとか久子関連の話はいいね。あんときはダイジェスト感覚でやっていてはしょったけど、悪くない。

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