綾子のお話 発
一気に6話分書いたけど、大変。
「最近は元気かしら?」
この間、知り合った美月という人と食事をしていた。気が合ったのかすぐに仲良くなった。
「どうして?」
美月は私の問いに尋ね返す。
「ちょっと調子がよくなさそうだから」
「そうね……ちょっと最近寝不足なの……」
美月は目頭を押さえる。
「大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ」
精一杯笑った。
「そうそう。あなたに兄妹はいるかしら?」
美月が話題を変えてきた。
「妹がいるわ」
「そうなの。一緒に暮らしたりしているの?」
「ええ。そうよ」
「私は、家族と離れて一人で暮らしてるから、ちょっと寂しくなる時があるのよ。うらやましいわ」
「ホームシックってやつかな?」
「まあ……そうかしらね」
クスリとわらった。
紅茶を飲む。
「私の妹はね……」
嬉しそうに、テンションを上げて、美月は妹の話を始めた。私はその話に耳を傾けた。
美月には兄弟はたくさんいるようだった。そのなかで特に仲がよかった妹がいるようだ。その子のお話をしてくれた。べったりして、とてもお姉ちゃんっ子のようだ。私の妹は、そこまでではないけど、仲は良い。でも、うらやましい。
話している美月はそれだけで楽しそうだった。私は美月の言動すべてが愛おしく見えた。
私たちは店を出る。
おいしかったと満足する。
しばらく街を歩いていた。
「あ……」
その時、美月が何かに反応した。
「いや……まさか……!」
口を手で覆う。
「美月、どうしたの?」
私の言葉は耳に入っていないようだ。美月は走り出した。
「――!」
何かを叫んでいた。うまく聞き取れなかった。聞いたことのない言葉だというのはわかった。
「あっ……!」
美月の言葉に振り替える少女がいた。
その子は、どこかで……?
私はしばらく考える。答えはすぐに出た。そうか、犬を預かってもらった家の子だ。
二人は何かを話していた。
たぶん、この子が美月の妹だったのだろう。
久しぶりの再会を喜んでいるんだろうな。
確か、別の国に住んでいるらしかったわよね。それなのに、同じ日本にいるのだから、驚くのも無理もないか……。
そんな風に思っていたら、まさかの言葉が日本語で出てきた。
「わたしに、関わらないで!」
美月の妹が、声を荒げて、美月を突き飛ばした。
えっとなった。私さえもそうなったのだから、美月はもっと驚いただろう。
「どうして……!?」
美月は動揺していた。
「みんな……――――!」うまく聞き取れない。「銀髪の……男と……」
「銀髪!? 銀髪の男って言ったの!? それって、まさか……!」
「と。とにかく! 私にかかわらないで! 二度と! 私たちを、殺さないでよ!」
何を言っているのか、さっぱりだ。
少女は、走り去った。
「美月……」
私はそばによる。
肩に手をかけた。だけど、そっと降ろされた。
「ごめん。一人に、させて……」
顔は見えない。声は震えていた。
少女が走り去ったのとは逆の方向へ走っていった。
私は「彼女」が走り去っていったあとを見つめた。
「芽」に続きます。
日本語話したり、現地語話したり、ようわからんよね。




