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花は散り急ぐ  作者: 夏冬春秋
花は枯れることを知った郎女は何を思うか
42/48

綾子のお話 発

一気に6話分書いたけど、大変。



「最近は元気かしら?」

 この間、知り合った美月という人と食事をしていた。気が合ったのかすぐに仲良くなった。

「どうして?」

 美月は私の問いに尋ね返す。

「ちょっと調子がよくなさそうだから」

「そうね……ちょっと最近寝不足なの……」

 美月は目頭を押さえる。

「大丈夫?」

「ええ、大丈夫よ」

 精一杯笑った。

「そうそう。あなたに兄妹はいるかしら?」

 美月が話題を変えてきた。

「妹がいるわ」

「そうなの。一緒に暮らしたりしているの?」

「ええ。そうよ」

「私は、家族と離れて一人で暮らしてるから、ちょっと寂しくなる時があるのよ。うらやましいわ」

「ホームシックってやつかな?」

「まあ……そうかしらね」

 クスリとわらった。

 紅茶を飲む。

「私の妹はね……」

 嬉しそうに、テンションを上げて、美月は妹の話を始めた。私はその話に耳を傾けた。

 美月には兄弟はたくさんいるようだった。そのなかで特に仲がよかった妹がいるようだ。その子のお話をしてくれた。べったりして、とてもお姉ちゃんっ子のようだ。私の妹は、そこまでではないけど、仲は良い。でも、うらやましい。

 話している美月はそれだけで楽しそうだった。私は美月の言動すべてが愛おしく見えた。


 私たちは店を出る。

 おいしかったと満足する。

 しばらく街を歩いていた。

「あ……」

 その時、美月が何かに反応した。

「いや……まさか……!」

 口を手で覆う。

「美月、どうしたの?」

 私の言葉は耳に入っていないようだ。美月は走り出した。

「――!」

 何かを叫んでいた。うまく聞き取れなかった。聞いたことのない言葉だというのはわかった。

「あっ……!」

 美月の言葉に振り替える少女がいた。

 その子は、どこかで……?

 私はしばらく考える。答えはすぐに出た。そうか、犬を預かってもらった家の子だ。

 二人は何かを話していた。

 たぶん、この子が美月の妹だったのだろう。

 久しぶりの再会を喜んでいるんだろうな。

 確か、別の国に住んでいるらしかったわよね。それなのに、同じ日本にいるのだから、驚くのも無理もないか……。

 そんな風に思っていたら、まさかの言葉が日本語で出てきた。

「わたしに、関わらないで!」

 美月の妹が、声を荒げて、美月を突き飛ばした。

 えっとなった。私さえもそうなったのだから、美月はもっと驚いただろう。

「どうして……!?」

 美月は動揺していた。

「みんな……――――!」うまく聞き取れない。「銀髪の……男と……」

「銀髪!? 銀髪の男って言ったの!? それって、まさか……!」

「と。とにかく! 私にかかわらないで! 二度と! 私たちを、殺さないでよ!」

 何を言っているのか、さっぱりだ。

 少女は、走り去った。

「美月……」

 私はそばによる。

 肩に手をかけた。だけど、そっと降ろされた。

「ごめん。一人に、させて……」

 顔は見えない。声は震えていた。

 少女が走り去ったのとは逆の方向へ走っていった。

 私は「彼女」が走り去っていったあとを見つめた。


「芽」に続きます。

日本語話したり、現地語話したり、ようわからんよね。


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