鳥
「じゃあ。オレ達は出かけてくるわ」
夜の八時過ぎ、オレ達は家を出て散歩することにした。もちろん、オレとハナの二人だけで。諸事情により、目立つわけにはいかないのだ。車いすを引いて歩くのは、さすがに目につく。だから、フウカには悪いが、家に居てもらう。
フウカが一人で家にいる間、寂しくないようにテレビをつけっぱなしにしておく。九時からフウカの好きなジャンルの二時間ドラマが始まるので、そのチャンネルに合わせておく。そして、フウカを車いすからソファーの上に移動させる。
「はい。いってらっしゃい」
フウカは腕を振って元気に見送ってくれた。
「……」
オレはフウカの前にしゃがむ。「どうかしたんですか?」そう聞いて来た。オレはフウカと同じ目線になると、オレはフウカの頬をつねった。それから頭をなでた。
「まったくもう……」
フウカもオレの頬に触った。つねる事が出来ないので、切断面で触れるだけになっていた。「すぐ帰るよ」
「ドラマが終わるまで、帰らなくていいですよ」ツーンとそっぽを向いた。
「はいはい。わかった」オレは苦笑を漏らす。「じゃ、今度こそ、行ってくるわ」
「はい」
「んー、ん、んーんーんー♪」
ハナは陽気に鼻歌なんか歌っている。大変機嫌がよろしいようだ。呑気にスキップなんかしている。ハナの長い髪が上下に躍る。
「今日はどうしたんだ?」
「あー……た、たべる」
ハナはジェスチャーを加え、自分の言いたいことをオレに伝えようと努力していた。人差し指と中指以外の指をすべて折りたたみ、それを横にし、口元で上下させる。オレは何でそのジェスチャーをチョイスしたのか、とつい笑ってしまった。
「夕飯がうまかったって事でいいんだよな」
「うん!」
「そうか。ありがとう」
嬉しい気持ちになった。やはり、自分がしたことを快く思ってくれると気持ちが高揚する。褒められるのは、いいことだな。つくづく実感した。
「つ、つきー!」
ハナは空に人差し指を向ける。そして、夜に存在を強く主張している三日月を指すのだった。黄色い光を照らし暗い夜道を明々とさせていた。オレ達を導くように。
オレ達は手をつなぎながら、明るい夜道を歩いていくのだった。
「すん……すん……」
ハナが鼻を啜り始める。いや、嗅いでいるのか? ハナは何かをかぎ取ったようで、キョロキョロと辺りを見渡し始める。オレはその姿に犬を連想させた。
「うー?」
ハナは何かを見つけたのか、その方向へ向かっていくのだ。オレはハナに引っ張られる。
ハナはずっと匂いを嗅いでいた。オレはただただついていくだけだった。そしてしばらくその状態が続いた。オレは「まだかな」と退屈していた。
オレ達はやがて、山の中へ入っていった。ごつごつとした石の道で歩きづらい。その道を歩いていくと今度は腰辺りまで伸びた草むらの中を進んでいく。蜘蛛の巣が鬱陶しかった。オレは顔をしかめながらもまだハナについていく。
「……?」
オレは耳に何かを聞いた。
「ハナ」
オレは歩みを止めた。オレを先導し、前を歩いていたハナは急にオレが止まったのを認識できず、不意をつかれ、体のバランスを崩した。重心が後ろに傾く。そして盛大にしりもちをつくのだった。
「すまん」
オレはハナを立たせて服についた土の汚れを落としてあげた。
「もしかして、アレか?」
「うん!」首を縦に振る。
「人はいるのか?」
「ううん!」今度は首を横に振る。
「……わかった。とりあえず、そこへ行こう。人がいないのなら好都合だ。道案内、引き続きしてもらえるか?」
「はい!」
ハナはオレの手を引っ張る。またそれに従っていく。そうしてしばらく進んでいくと、小屋があった。どうやらそこがゴールのようだ。その小屋からは、無数の獣の哀切な鳴き声が重なり、響きわたっていた。
「ここだな」
オレはやかましいその小屋に入る。中は随分と廃れていた。窓ガラスは全て無くなっていた。床にその破片が散らかっているようで、一歩ずつ歩くたびにパキパキと音が鳴るのだ。オレは持って来ていた懐中電灯をつけた。そして辺りを照らす。
奥へ進むと、五個の小さな檻があった。そこに犬や猫が閉じ込められていた。とりあえず、うるさいし臭い。動物が発する独特の臭いのほかに腐臭も付け加わり、臭いは強烈なものだった。よくよく見れば。血も辺りに点々としている。
ハナは犬が収監されたその檻の前でしゃがむ。よく平気でいられるなと感心する。オレは鼻をつまんでいる。
「わーい」
ハナは物欲しそうにそれを眺めていた。なんか、涎を垂らしているようにも見えた。ハナは檻を両手で掴むと、それをガタガタと揺らし始める。その檻の中の犬はさらに吠えるのだった。
オレはハナの元へ行き、腕を引っ張り、ここから離れさせようとする。しかし「うー!」と言ってハナは抵抗する。
オレは「はあー」と深いため息をついた。こうなってはもうどうしようもないので、オレはハナをこの場から離れさせるのをあきらめる。
「誰か来たらすぐに伝えるんだぞ」
「はい!」
オレはその言葉を信じて、ハナの物欲しそうに見ていた犬の檻を開けた。犬は勢いよく外に飛び出した。
ハナはその犬を抱きしめる。犬は抵抗し、ハナの腕の中で暴れる。しかし、ハナの膂力は思った以上に強く、犬はそれを振りほどけないでいた。
オレは遠くでそれを見守っていた。ハナにライトを当てて傍観していた。
「ほどほどにな」と、オレは念を押すようにハナにそう言った。すると「はい!」と、ハナは今日一番の明るい大きな声で返事をするのだった。
「はあ」とオレは一つため息を漏らし、この場をそっと離れた。
裏3
終わりは突然やってくる。それは予期せぬ形で。
それはそれはとても悲しい事。
幸せだった日々が。虹のように色鮮やかで輝かしかったあの日々が。全てを台無しにされ消え失せてしまうのだ。初めからそこには存在しなかったかのように消滅してしまうのだ。
始まりも同じで、突然にやってくる。同じなのだ。終わりも、始まりも。これは予定調和だ。
お父さんの浮気が発覚したのは私が小学四年生の頃だった。私はただ泣いているだけだった。
お母さんは私たちに内緒で探偵を雇ったのだ。それによりお父さんが私たちについていた嘘が暴かれたのだ。私にはお父さんの嘘を、違和感を感じ取れなかった。
お父さんは仕事で帰りが遅くなっていたりや、出張で出かけているものばかりだと思っていたのだが実は違ったのだ。そんな事はなかったのだ。私はお父さんの仕事は大変なんだなと思っていた。しかしそれが違ったのだ。私にはそう感じ取れていた事はお母さんにとって違和感でしかなかったんだ。
お父さんとお母さんは喧嘩した。モメにモメた。家が修羅場と化した。二人は私が寝静まった時に言い争いを始めたのだ。私を気遣っての事だろう。しかし、二人のヒートアップした怒号の飛ばし合いは、私の睡眠を妨げた。目が覚めてしまったのだ。私は何事かと両親がいるリビングへ眠たい目を擦りながら向かった。そこにいたのは、私のお父さんとお母さんなのではなかった。
私の世界が歪んでいった。私の世界が壊されていったのだ。崩壊していったのだ。崩れていく。足場が崩れるのだ。私は奈落の底に落ちていく。
私は絶望する。私の幸せが手元から離れていくのだから。私の光は喪失し、暗闇に取り込まれる。私の周りが、辺りが、一面が、真っ暗闇になる。私はそれに包み込まれていくのだ。それが私を飲み込むのだ。
私は出口のない世界にいざなわれる。私の心が蝕まれていく。黒く汚れていく。終いには心に茨が巻き付き、私を締め付ける。痛みつける。苦しめる。
私はよく、テレビでこういうのを見ていた。私にはそれがただの民衆に向けた娯楽の一種だと思っていた。フィクションだと、作り話だと、そう思っていた。だがしかし、その幻想は私の前で起こったのだ。それが現実に起こっているのだと理解するのはそう時間がかからなかった。でも、私はその現実を認めたくはなかった。
二人が離婚したのはそう遠い話ではなかった。私はお母さんと暮らすことになった。私は私たち家族が長年過ごしてきた居場所を離れなければいけなくなった。
私たちはどこかのアパートで暮らすようになった。お父さんから貰ったお金である程度良く暮らしていけるようだ。それでもやはり家計は火の車となるので、お母さんはパートでお金をさらに稼いでいた。そうやって私を養ってくれていた。
お父さん。それは私の世界の中から消失してしまった人。二人だけの家。それはその人がいなくなった世界。私の心に穴がポッカリと空いていた。喪失感。心が貧しい。言いようのない痛みが胸に来た。
私は……寂しかった。けど……それでも、幸せだったと思う。何とかそう思えるようになった。見知らぬ土地で、初めて出会う人々。それは本来なら知りえるはずのない人達なのだから。
人の生とは最初に終わりが始まり、その始まりが終わる。そしてまた始まり終るのだ。それの繰り返しでしかない。そうやって人の糸を紡いでいくのだ。私たちは終わった世界でまた新しい幸せを掴もうとするのだ。それを意味もなくリピートしていくのだ。遣り直そうとするのだ。
だから、私の今の幸せも、幸福も、終わっていくのだ。
それはそれはとても哀しい事に。
間
僕はいじめられている。僕はそれがすごく嫌だ。だけど誰も僕を助けてくれない。見て見ぬふりをする。皆がよってたかり僕をいじめるのだ。僕を見て笑っているのだ。下に見て、見下して、自分が上だと、目上だと、優越感に浸っているのだ……。
僕はこの状況を何とか打開したい。でも、できない。どうしようもないんだ。
時が過ぎ、それと共に僕はボロボロになっていく。腐っていく。劣化していく。僕はどうしてこんな思いをしてまで生きなくちゃいけないんだろう。そもそも生きるって――なんだろう。
世の中は弱肉強食だ。弱者は強者のエサになるしかない。下には下がいて、上には上がいる。僕はその底辺だ。人はストレスを下のモノにぶつける。下のモノは逆らえることが出来ない。だから甘んじて受け入れるしかないのだ。耐えるしかない。しかし、僕はそれがとても歯がゆい。何もできない自分がもどかしい。遺憾だ。
親に言う勇気も教師に言う勇気もない。僕は臆病なんだ。相談できる友達でさえもいない。一人ぼっちなんだ。惨めな奴なんだ。僕はたとえ殴られても、大切なものを壊されても、辱めを受けても、黙っているしかないんだ。ボクが口答えすれば、嫌がれば、無視すれば、暴力は加速していく。何をしても進展しない。悪化していく。ただそれだけなんだ。
みんな殺してやりたい。そうすれば楽になれる。だけど、僕には人を殺す勇気はない。
なら、逆転の発想だ。僕自身を殺してしまえばいい。それでも楽にはなれる。でも、僕にはそれができない。学校の屋上から下を眺めると足がすくむのだ。手すりすら越せない。刃物を手首に押し付けても、それまでだ。それ以上の事が出来ない。僕は臆病者なんだ。
ある日、僕は公園のそばを通りかかった。五人の男の子だ。小学校低学年といったところか。何やら一人の男の子のランドセルを四人でパスして回しているようだった。一人は「やめてよ」「返してよ」と言いながらランドセルを追いかけまわす。しかし、結局は同じ所をグルグル回っているだけだった。
僕は和んだ。笑ってしまった。ついつい。ごく自然に。
僕はハッとする。今の自分の気持ちが謎だった。一体何を思ってしまったのだろうか。
僕はここで閃いたのだ。僕が自分より上のモノに逆らえないのなら、僕より下のモノをいじめればいいのだ。そうすれば、この気持ちも少しは晴れるだろう。何も難しい話ではない。自分は底辺なんかじゃない。僕より上の者が沢山いるんだったら、僕より下の者なんて同じぐらい沢山いるにきまっている。
僕は心が躍った。こんな所にいい逃げ道があったのを知って。
そして、その対象が動物になるのはしばらくしてからだった。
僕はいつもの通りにあそこへ向かう。最近はただため込むだけだったので、在庫が有り余っている。僕は、今日はどの子をいじめてあげようか、と頭の中にイメージを膨らませて足を動かす。
その時、違和感がボクを襲った。
声がしないのだ。静かだった。
僕はやつらが死んでしまったかと思った。もしくはただ単に寝ているだけか、吠える気力もないほどに衰弱してしまっているか、などと考察をする。何も不思議なことではない。うん。冷静になればそうだ。ただの杞憂だ。
小屋に入る。相変わらず真っ暗だ。いつも通りの僕の隠れ家だ。ボクは懐中電灯のライトをつけた。僕はこの時、この小屋に起こった変化に戦慄するのだった。
僕は思わず声を上げた。懐中電灯を落とす。カラカラと音を立てて床を転がる。
僕はこの小屋の異形に畏怖する。
僕は、いいや勘違いだと、見間違いだと、そうだと自分を納得させ、懐中電灯を拾う。そしてもう一度部屋を灯した。
手が汗ばむ。嫌な汗が頬をつたう。呼吸が荒くなる。動機が早くなる。異様な緊張感がこの静寂な空間を包み込む。
何とも形容しがたいこの状態。強いて言うのならば、これは血の海だった。小屋は真っ赤に染まっていた。ポチャリと血が地面に滴り落ちる。何度も。僕は叫ぶ。絶叫する。
僕は恐る恐る小屋の奥へ進んでいく。何かに躓き、手をつく。ベチャリと、気持ち悪い感触が手に伝わる。これは、感じたことのある感触だった。僕の掌が一瞬にして赤色に染まった。
檻の中を確認する。動物たちはいなかった。檻は空けられていたので、誰かが開けたのは間違いないようだ。でも誰が……?
僕の頭の中が真っ白になる。何も考える事が出来なかった。僕は一歩下がる。そうするとまた、足に何かが当たる。さっきも何かが足に当たった。僕は足元を照らす。辺り一面が血の海だった。その中に白いモノが一つぽつんと浮いていた。僕はそれを見てついに耐えきれなくなった。胃が逆流する。僕は胃にたまったものをその場にぶちまけた。酸味が口に広がる。涙が出た。気持ちが悪かった。
僕はそれを拾った。それはべたべたしていた。毛も血も付いていた。そして、肉片も。ベットリと。
それは骨だったのだ。頭蓋骨が……落ちていたのだ。
僕はこんな事をしたのは人間じゃないと思った。悪魔だ。その所業に過ぎない。僕は戦慄する。身体が震える。総毛が立つ。鳥肌が立つ。僕は丸くなり、ガタガタと奥歯を鳴らす。僕はこの場から一刻も早く立ち去らなければと、悟る。もう二度と僕はここへは来ないと誓う。
助けて、と誰に言ったのかはわからないがそう懇願する。
――その時だった。
「どこへ行く気だ?」出入り口の方から声がした。男の声だった。
僕は腰を抜かした。そして死の恐怖におののく。僕は服が血にまみれるのを気にも留めずに、しりもちをついた状態のまま、後ろへ下がる。
こいつだ。こいつがやったんだ。「何か……ごめんな。本当はここまでするつもりはなかったんだ」悪魔が何かを言っている。僕を油断させようとする。声から察するに若い男。それも年が僕に近いような、そんな感じだ。
「ハナが全部食っちまったんだ。大食いだからな。こいつは」
何を言っているんだ? こいつの言う事がまったく理解の外だった。気が狂っているといってもいい。
「ハナ。本命だ。好きにしていいぞ」
「はい!」
もう一人いた。それは可愛らしい女の子の声だった。この子が「ハナ」というのか。だったら、この少女があいつらを……? そんな馬鹿な話はない。嘘に決まっている。でたらめだ。今コイツが作ったお話に過ぎない。
「な、何だよ! お前たちは!」
僕は懐中電灯を手に取り、こいつらを照らす。すると、口元を血で汚した女の子が僕に迫ってくるのだ。僕は悲鳴を上げてその女の子から逃げる。物を投げるが当たらない。華麗によけられる。
僕はついに壁にぶつかった。もう後ろへは下がれなかった。
僕は涙、汗、鼻水、身体から出る体液をほぼすべて出していた。いくつもの想いが頭を巡りに廻った。僕の今までの人生がフラッシュバックのようにポンポンといくつも出てきた。これが走馬灯だというのか。僕は死んでしまうのか。
女の子はそんな僕の目の前でしゃがむ。ジッと僕を見ている。観察でもしているのか。
終始少女は笑顔だった。それを絶やさなかった。少女の瞳は異常なほど輝いていた。キラキラしていた。そして、涎を垂らしている。
僕はこんな感じの表情を知っている。ごちそうを前にした時の獣の顔だ。
違う。これは何かが違うんだ。そうだ。幻だ。まやかしなんだ。夢なんだ。きっとそうだ。悪夢というだけなんだ。だから僕は夢から覚めるのをまった。ベッドから飛び起きるのを待った。ベッドの上で汗だくになりながら「なんだ夢か」と安堵して笑い話にしたい。
でも、目は中々覚めないのだった。僕は絶望する。
僕は叫ぶ。助けを呼ぶ。許しを請う。惨めに浅ましく。もう、わらにすがる思いだった。叫び続ける。声が枯れるまでずっと。哀愁の悲鳴をあげる。
少女は僕の頬に手を添えた。冷たい手の感触が頬に伝わる。少女の体温が伝わっていく。そして、少女が僕との顔の距離をどんどん縮めていく。僕は後頭部を壁にこすりつけた。髪が擦れる音がする。
次の瞬間だった。少女が動き出した。それは俊敏な動きで、一瞬だった。それからゆっくりと、じっくりと、激痛が体の芯にまで染み渡っていくのだ。
僕は絶叫する。しかし、声が出なかった。ヒューと空気が漏れる虚しい音がするだけだった。
少女は暴れようとする僕を抑える。僕は必死に少女の手をほどこうとするのだが、それが出来なかった。僕は華奢な体つきの少女の力にあっさりと負けるのだ。敗北を喫するのだ。僕の抵抗は虚しく終わるのだった。
少女はクチャクチャと音を立てる。口をあけながら、噛み続ける。味わっているのだ。僕の喉を。肉を。血肉を。僕にとってこの少女は畏怖の対象でしかなかった。
少女は今度、僕の肩に食いついた。歯が一瞬にして食い込む。そして引きちぎった。ギチギチと筋肉繊維が引っ張られ、ちぎれていく音をたてた。
僕は声にならない悲痛な叫びをあげた。それは空気となって漏れた。少女は食べるスピードを速めていった。少女は僕の腹を食い破り、腸を引きずりだし、それを食していた。
僕の意識はだんだんと薄くなっていく。……嫌だ……死にたくない……まだ生きていたい。それなのに…………――。