表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

同窓会

作者: みゆ

初夏のある日、同窓会の通知が届いた。

幹事の欄に、今まで忘れていた懐かしい名前。最後に会ったのは、もう何年前になるのか。

思わず中学時代の文集を探す。これまた懐かしい名前がズラリと載っているが、顔が思い出せない。

そういえば、こいつは、昔よく喧嘩したなぁ。数年前に結婚して、すっかりオヤジになったって聞いた。

この子も結婚して、今は東京にいるって言ってた。

幹事の苗字は中学の頃と変わっていなくて。今も独身なのか、それとも分かりやすいように旧姓で明記したのか。


懐かしい木造校舎に思いを馳せる。

あの頃はみんな仲が良くて、みんなで笑っていたっけ。たまに喧嘩しても、すぐ仲直りして。

それが、今は違う。


社会人になってからは、言いたい事が言えなくなった。納得いかない事も、表面上は笑って受け入れる。

それが大人になることだと言われればそれまでだが…。

昔のようなすがすがしさをあじわったのはいつだっけ…。

20代の頃は、何の気も使わず笑いあえる仲間がいた。朝まではしゃいで、次の日軽く二日酔いで仕事にでることもあった。それでも何の後悔もなく、ただ楽しかった。

年を重ねるにつれ、その感覚はなくなり、気を遣う周りの人々と、昔を懐かしむ私、それだけが浮き彫りになる。

昔の仲間にしても、結婚したり、転職したりで、新しい人間関係を築いていて、久しぶりに会っても、昔のようには接することができない。


私だけ、何もかわらない。


ただ昔を懐かしんで、『今』に適応できないでいる私がいる。

そんな私を受け入れてくれるひとを探して、人を好きになり、期待しすぎて駄目にした恋愛も何度したことか。


あの頃の仲間達は今どうやって生きて入るんだろう。

もうほとんどが新しい家庭を築いていているのだろうか。


懐かしさと、楽しみと、不安が入り交じった気持ちで、じっとハガキを見つめる。

少し迷って、『出席』に丸をした。


武装するための服を、今から選ぶ。今の私には、決してゆずれないことだ。


帰って来たとき、私はどんな気持ちでいるのだろう。

どんな気持ちでいたにしろ、私の中の『昔』に、ケリをつける、いいきっかけになるかもしれない。


『昔』から『これから』へ。


さらに大人に為るために。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 『私』は男性なんですよね?…。まぁ、どちらでもいい様な気はしますが、最初の方の言葉は迷うことなく男性なんだよな、と思って読んでいましたけれど、後半がなんだか、あれ?もしかして、女性??って思…
[一言] いろいろと同感と思えたり、心情描写がしっくりときててよかったです。 文章もなかなかですし、私なんかはまだ同窓会というものにでたことがないので細かいことはわからないんですけど、結構思い浮かべる…
2007/08/09 07:55 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ