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天才魔導士



「ふーん、取れなくなっちゃったんだ。」


私はコクコクと頷く。


「僕、これ取れるよ?」

「えっ!?」


私はニコリと可愛い笑顔を浮かべる少年を見る。


髪は緋色で瞳はオレンジ。

身長はそんなに高くないが私よりは当然高い。


私は160センチも無い。まぁ女子にしては平均サイズだが。

私と比較して彼は大体・・・167センチとかそこらへんだろう。


男子にしてはそんなに高くないほうだと思う。


しかし、少年というには大きすぎるだろうか。


彼もきっと攻略対象だ。


今まであった人数は3人。

確か攻略対象は4人。


だから、この人で最後。


まぁ何週もしているわけじゃないから隠しキャラ?ってのも出してないし

他にも何人かいるかもしれない。


彼は私の2つ下の17歳だ。


でも、なんだかショタっていうか・・・少年のような感じがする。

可愛いという言葉が似合う。


「でもその前にいかなくちゃいけないところがあるんだよね。

 一緒に来てもらっても良いかな?」

「も、もちろんです!!!」


この手錠が取れるのだったらどこまでも!!!


「あ、その前に。

 僕の名前はリュリエス・シンフォニッドっていうんだ。よろしくね!君は?」


リュリエスはコテン、と首をかしげ私を見る。


「私はアルフィニ・セルシュートです。気軽にアルフと呼んでください。」

「アルフさんかぁ。確か、次期魔王もそんな感じの名前だよね。

 じゃあ次期魔王さんなのかな?まぁ、どうでもいいけど。よろしくね!!!」


どうでもいいんだ。

次期魔王ってどうでもいいことなんだ。


リュリエスは私の手をぎゅっと握る。


握手握手ー♪


彼はそう呟いていた。




----------------------------------




「用事って・・・ここにかよ。」


彼の用事とはセルシュの家に寄ることだった。


「セルシュ!これ、いつものやつね。」


リュリエスは何かが入ったかごをセルシュに渡した。


「リュリエス、いつもありがとう。

 ねぇ、何でアルフと一緒にいるの?っていうか、その手錠なに・・・?」


セレシュがジトッと私の腕を見る。


「ディズに・・・やられました。」

「はは、良くやるわね、あいつも。」


セレシュは苦笑いをしながらかごの中身を確認する。

そして家の中に入っていった。


「アルフー、手紙渡してきてくれてありがとう。

 まぁ、手錠はお気の毒様ってことで?」


コノヤロー、他人事だと思いやがって!!!

これのせいで私は家に帰れないんだぞ?


今日はホントに散々な日だ。


今日一日で起きたこととは思えないほどに

いろいろなことを体験した気がする。


ヒロインには会うし、攻略対象全員と絡んじゃうし。


「じゃあ、腕だして。」


リュリエスに言われて私は腕をだす。


鍵外し(キーアウト)


彼は私の手錠に手をかざしそう唱えると手錠は簡単に外れた。

ホント、魔法とは便利なものだ。


いや、魔王だって相当な魔法の使い手だ。

私だって上級魔法くらい使える。


でも魔法封じの手錠をかけられちゃ・・・。


うぅ、自分が情けない。


「これで大丈夫だよ。

 またかけられたら僕のところにおいでよ。

 いつもはラスターナ城下町の魔導所にいるから。」


リュリエスはそう言い残して帰って言った。


「あれ、リュリエス帰っちゃったの?」


セレシュは何かが入った紙袋を持ちながら言う。


「うん。私の手錠外したら帰っちゃった。」

「ふーん、そう。」


何でちょっと悲しそうなの?

っていうか、セレシュってリュリエスが攻略対象って知ってるのかな?


まぁセレシュが一番最初にやめたからね。


クリアすらしてないんじゃないかな?

ってことは、リュリエスを一度も見なかったということも考えられる。


「それじゃあ、私も帰るわ。

 もうこの国にはいたくない。」


そういって私は転移魔法をかける。


「じゃあまたね、セレシュ、ライア。」


私は、ひらひらと二人に手を振る。


「うん、ばいばぁい。」

「次に来る時はいいなさいよ。じゃないとお菓子用意しないからね!」


ひゅんっと視界が一瞬暗くなり景色が変わった。


そこは、魔王城の中庭だ。


「あ、アルフ姉さん。おかえりなさい。」


声の主はルーザだ。

今は背もぐんと伸びて立派になった。


「ただいま。

 今日は大変だったわ。つかれたー・・・。」

「お疲れ様。さっきエルミナ姉さんにお菓子を作ったからお茶にしようって言われたんだ。

 姉さんも一緒にいこうよ。」


ルーザがニコッと笑いかけてくる。


弟とは、こんなにいいものだろうか。

なぜだか久しぶりに会ったような感覚に陥ってしまった。


「うん。エルミナのお菓子は天下一品だものね。」


私はルーザと一緒にエルミナの部屋へ歩いていく。



今日は本当に疲れた。


でも、今日ヒロインと会ったのには何の問題もないわよね。



その考えが間違いだったと気づかされるのは

あとどれくらい先なのだろう。



今の私は、無知で前世のことすらもあまり思い出せていない

ただの少女であるということを知るのはどれくらい先なのだろう。




思い出したくもない前世のことを全て思い出すのは




あとどれくらい先なのだろう。




まだ登場人物がでるかもしれませんが

とりあえず主要人物は出しきったのでこれで一章を終えます。



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