彼女は幸せに生きる
「ご心配をおかけして申し訳ありません。」
「貴方も体調を悪くするのね。」
私はあの戦いのあと3日ほど眠り続け、そして目を覚ました。結論から言えば、私が消えることはなかった。決して失敗したわけではない、焼魂は成功した。しかし、私の中にあった1つの魂は消え去った。
坂上章介の魂が私として転生した訳では無かったのだ。偶然にも私の魂と同調し、私の中に自身の魂と坂上章介の魂の2つが存在していたという、ただそれだけの話だ。
「そういえばね、最近コーネリアに会わないの。毎日のようにお城に来てたっていうのに。」
「彼女は、やはり罪の意識に苛まれたようで遠くへ旅に出たそうですよ。行き先は知りませんが。」
私の言葉に、アルフは「ええっ!?」と大きく驚きを見せた。
「ミシェル家も既に空き地と化していますよ。」
彼女の家族は悪事に手を染めていた。その制裁が下っただけの話である。無論、彼女はそんなこと知りもしないが。ミシェル家の成れの果ては、コーネリアの莫大な浪費に困窮した挙句の結果だった。彼女は周りに多くの悪影響をもたらしていたわけである。
「一言、何か言って欲しかったわ。」
「貴方に言ってしまったら、何も意味がないでしょう。」
「そうだけど・・・。」
何も知らないのは貴方だけ。
貴方は何も知らず、幸せに暮らせばいい。
誰も貴方には真実を語ることなどしない。コーネリアの真実も、私の中に坂上章介がいたことも、セレシュとライアの職業も、貴方は何も知らなくていいんだ。
「そうだ!コーネリアがいつか帰ってきた時、美味しいものを食べさせてあげたいわ!!!この前図書館で美味しそうなタルトのレシピを見つけたのよ。」
コロコロと楽しそうに笑って、跳ねるように幸せそうな表情で庭を駆ける。
そうだ、貴方はいつだって綺麗な世界を見ていた。これからも綺麗なものだけを見て生きればいい。
その瞳を少しも濁らせず、無垢に純粋に。
全てをハッピーエンドで終わらせればいいのです。
汚いものは私たちが取り除きましょう。
「あまりはしゃぐと転びますよ、お嬢様。」
裏の物語はこれからも続くのです。
貴方への障害がなくならない限り、永遠に。
ー End ー
1話目を投稿してから、かれこれ3年と少しになります。長い間読んで頂いた方には感謝しかありません、ありがとうございました。
賛否両論のある作品でしたが、少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。
この物語は、これにて完全に終わります。アルフは何も知らないまま本編の終わりを迎えるのです。何も知らず、それこそ幸せに。
これからも執筆活動は続けていきます、また別の作品でお会いできれば嬉しいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。




