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王道って何ですか?  作者: みるくコーヒー
最終章

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36/47

エピローグ


「何か、今でも信じられないのよね。」


私がディズに思いを伝えてから約2年。


目の前には、魔王の娘というよりは天使というに相応しい娘がいる。それは紛れもなく私であり、前世とは全く異なる容姿の私。


だからこそ、天使とか言える。私じゃないみたいだから。


綺麗に化粧をして、純白のドレスを着ている。前世からずっと憧れていた光景。その光景が今ここにある。


「あーもう、あんた綺麗!前世でこんな格好してもやっぱり綺麗だったんだろうね。見たかったけど、あんたの幸せそうな顔みたら今のが良いって思うわよ。」


セレシュがニコリと笑いながら、でもその目には涙を浮かべて言う。


「何でセレシュが泣いてるのよぉー。」


ライアはアハハッと笑う。ライアの方は既に1年半程前に式をすましている。ジェイドは無事に彼女を射止めたのだ。


「もう、親友の結婚式だもの、泣くしか無いでしょ?しかも前世でも今世でも色々あって更に言うとディズも報われて良かったし・・・。」


セレシュは、ぐすっと鼻水をすする。それから、ふぅーと深く息を吐いて再び笑顔を作る。


「結婚おめでとう、アルフ。」

「おめでとぉ〜。」


セレシュに続いてライアも私へ祝福の言葉を述べる。


「うん、ありがとう。」


私もそれに対して笑顔で応える。


「アルフのお父さん、良くあんたが結婚するの許してくれたわね。」

「まぁ、なんとかねぇー。」


お父様は、最初などそれはそれは怒っていた。

うちの可愛い娘をやれって?君に?まぁね、そりゃ昔からの馴染みだしそりゃ俺だって可愛がるけど、結婚となってはね?俺はこの娘嫁に出す気はありません。知っているか?アルフはね、昔、お父様と結婚する!って言ったんだぞ。

なんて永遠と語られた訳である。いつの話しだ、もう随分と前だぞ?それでもディズが毎日毎日頼み込んでやっとお許しが出たのだ、すっごい渋渋だけど。バージンロード一緒に歩いてね?と笑顔で言ったらすぐにその気になっちゃったけど。


「アルっ!」


廊下からディズの声がする。そして扉をバンと開ける!半分まで開いたところで私は魔法でそれを閉じさせる。


「え、何で!?」

「後でのお楽しみなのっ!!!」


私がそう言うと彼は、えー!と声をあげた。良いからさっさと式場に行けっ!!!


「ディズ、そんなん式場で見れば良いだろ!」

「僕はね、今見たいの。今すぐ!なう!」

「なんだこのワガママ野郎は!子供かっ!」


外でジェイドの声がする。隣でライアがいーぞぉ、ジェイドぉー!と言った。


「ディズ様、我慢して下さい。貴方が式場で準備を済ませなくてはいつまで経っても式はあげられませんよ?ずっとアルフのドレス姿は見られません。」

「ほら、行きましょう?」


ヴィンの声がして、それに続きリュリエスの声もする。


「アルフの部屋の前で面倒を起こさせるな。行くぞ。」


ロジェの声がしてからディズのため息が聞こえた。


「あー、もうわかったよ。」


そうして部屋の前は静かになる。

数十分後に私は式場へと呼ばれる。そこにはお父様が待っていた。ボロボロと情けなく泣きながら。見た目ものすごく若いお父様は容姿が良いので泣き顔も似合う。いや、今はそんなことどうでもいい。


「アルフゥ・・・。」

「あー、もうお父様。みっともないですよ?」

「だって、だって。」

「ほら、扉開きます。」


扉がパァーっと開く、私たちはそこをくぐって式場の中に入る。沢山の人がいる。私たちはそこをゆっくりと歩く。セレシュにライア、ジェイドにヴィンにリュリエス、そしてロジェ。多くの人がいる中、その人たちをしっかりと見つけ微笑みかける。

最前列の方にはエルミナとルーザ。エルミナはパーッと明るい笑顔を浮かべながらパチパチと拍手をするが、隣のルーザは険しい表情をしていた。姉の結婚式なんだから喜んで欲しいものだ。

そして、最後にコーネリアを見つけた。彼女と私はちゃんと友達になれた。笑顔で祝福をしてくれている。最後が良ければそれで良い。終わり良ければ全て良し、だ。


「アルフ、行っでらっじゃいぃ。」


お父様がわーわー泣きながら私を送りだす。もう、美形が台無しだよお父様。

そう思いながら私はディズの方を向く。ディズも真っ白なタキシードを着てとてもかっこいい、いつもより2割り増しでかっこいい。


「アル。」


彼が私に呼びかける。こっちの結婚式は向こうと違ってしきたり的なものは無い。だから、誓いますか?とか指輪交換とかそんなものは無い。まぁ、キスはするみたいなんだけどね。私は、ディズの前に立って軽く目をつむる。


「アル、目開けてよ。」

「?はぁ・・・。」


私がパチリと目を開けると、ディズがふぅと息を吐いてから私を見る。


「僕ね、ずっとずっとアルしか見てないよ、今もこれからも。アルの生きるほんの一部しか僕は一緒にいられない。その一部分を僕に守らせて?」


そう言われてボッと私の顔が赤くなったのが自分でもわかる。あぁ、もうずるい。そんな微笑で言わないでよ。頷くしかないジャン、バカ。ディズは、良かったと安堵の表情を浮かべる。


「今日のアルは、世界でいちばん綺麗だよ。」


そう笑って不意に私に濃厚なキスを落としてくる。その瞬間にわあっと周りから歓声がわく。




これが、魔王の娘と一国の王子の後世まで語られた物語である。




その後の2人には、3人の子供を授かり1人は人間として、2人は魔族としての命を得た。このことから人間と魔族との関係は急激に縮まった。


ディズは享年77歳。アルフと3人の子供と2人の孫の側で静かに・・・安らかな笑顔で死を迎えた。


そしてアルフは、享年983歳。2人の子供と孫、ひ孫更にその下まで続く一族にみとられた。その最後の言葉はー・・・




ディズ、すぐに逝くから待っててね。




きっと2人は、今でも向こうの世界で幸せに暮らしていることだろう。




Fin

ここまで見てくださった方、ありがとうございました!

乙女ゲームをやったこともなくて自分の想像で書いたところもたくさんあったし、説明不足な部分もありましたが自分の書きたいことは書きました!


ただ、このままじゃスッキリしないですよね、、、?


幸せな物語で終わりたいのならばここで。

真実を求めるならば、あと数話お付き合い下さい。

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