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ヒロイン登場しました



「いやっ!まだ希望はある!」


ラスターナ城の廊下で私はそう意気込んだ。


中庭じゃないところでだって話は出来る!

フラグなんてへし折ってなんぼじゃい!


「アル?」


声の方を見るとそこにはディズがいた。


「来るなら来るって言ってくれればいいのに。どうしたの?」


いつものように愛想笑いを浮かべて・・・いない。


最初に会った頃から約3年後・・・


『別にアルの前だった愛想笑いしなくても良いよね?』


それからディズは私の前限定で愛想笑いをしなくなったのだ。


確信はないが、確かこれは乙女ゲームのイベントではないかと思った。

一定以上仲良くなると発生した気がする。


いや、完全に思い出した訳ではないので確実かどうかはわからないが・・・。


きっと気のせいだ。気のせいだと思いたい。


「王様に親書を渡しに来たの。」

「ふーん。あのさぁ、中庭一緒に行ってくれない?」


え!?中庭っ!?


「い、いや、ここでも良いんじゃないカナ?」


ディズはニコッと笑みを浮かべた。

それは女性の10人が見たら10人が素敵っ!と言うような笑みだった。


でも、私はソレが怖くてしかたなかった。

笑顔よりも無表情に安心するって既に末期かもしれない。


「そんなに僕と一緒にいたくないんだね。じゃあ、早く帰れば?」

「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて・・・。」


ちらりとディズを見ると1㎜も崩れていない完璧な笑みがあった。

ここで帰ったら次に会ったときに殺される。


その時私はピコーンとあることを思いついた。


別にライバルが初登場するというわけでディズが相手だとは限らないのだ。

それにもしそうだとしても別に死ぬわけじゃない!

まぁ、原作にはライバルが何されたなんて表現ないんで

実際何があるかわからないんですけど。


でもそれはきっとライバルが主人公に対してひどいことをしていたからで

私はそんなことしないから問題ない!

次期魔王がいじめーとかなんてダサすぎだもんね。

むしろ、仲良くしてやりますよ!


とりあえず、ディズに逆らう方が私の寿命は短くなるのだ。

フラグなんてもんより命を大事にいたしますよ!


「じょ、冗談です。一緒に行きます。」


ディズはスッと笑みを消して無表情に戻る。


「なら、最初からそういうべきだと僕は思うよ。」


そういって、歩いて中庭に向かう。


そのむかつく口調と無表情を直すべきだと私は思うよ。

言わないケドね、殺されちゃうよ。


パキリ、パキリとチョコレートを齧る音が聞こえる。

ディズはいつもチョコを齧っている。


いや、甘いものを食べているといったほうがいいかもしれない。


「何?食べたいの?」

「いや、別にいらn「あげないケドね」


・・・別に食べたくないよ!

ほんとむかつく奴だなコノヤロー!


言わないよ、言わないケドっ!!


「中庭に来て、何するの?」


中庭についた時にディズにそう尋ねる。


「紹介したい人がいるんだ。」


しょ、紹介?

ライバルとヒロインの出会いってこんなだったんだ。


ディズがライバルを中庭に連れてきていたのね。


「ディ、ディズ!」


誰かがディズの名を呼んだ。

その声と同時にあの愛想笑いをまた浮かべる。


この笑顔は怖くない。

だってただの愛想笑いなんだもの。


「コーネリア。」


コーネリア、それが乙女ゲームの主人公の名前。

いや、今までヒロインって言ってたんだからヒロインって言うべきなのかな?


「アル、紹介するね。僕のお妃候補だよ。」


お妃、候補?

原作と違うのですが。


原作では、ただディズに好かれた美少女ってだけだ。

なのにお妃候補?


この世界は原作とどこか違う。

他にも原作と違うところがあるのは知っている。


まぁ、それはまた今度話すとしよう。


っていうか、これは完璧に確実に私、ライバル決定じゃないのよ!!!


「初めまして。私、ディズのお妃候補のコーネリア・ミシェルと申します。

 どうぞ、よろしくお願いします。」


コーネリアは本当に美少女だ。

綺麗な翡翠の髪に瞳、目は二重でパッチリとしていて鼻はすじが通っている。

唇も丁度良いくらいにぽてっとしていて、これを絶世の美少女を言わずになんと言う。


原作ではとても優しい性格で愛されるのが良く分かるような感じだった。

だからと言って現実がそうであるとは限らない訳だが。


「私は、魔王の娘であり次期魔王であるアルフィニ・セルシュートです。

 こちらこそ、よろしくお願いします。」


ニコッと笑いかけられ私も笑いかける。

ちっくしょー、私も美少女に生まれたかった!!!


平凡顔が今になって悲しくなってくる・・・。


「アルさんとは是非仲良くなりたいです!」


私も是非仲良くなりたいな!

それで私をライバルポジションからはずしてください!


「アルって呼ばないで。」

「え?」


一瞬、無表情になるがすぐに笑顔を戻す。


「アルって呼んで良いのは僕だけだから。

 あんたはアルって呼ばないでくれるかな?」


いや、別に私は良いんだケド。


「あ、はい。アルフさんでいいですか?」

「え、えぇ、なんかごめんなさい。コーネリアさん。」


ディズってやつはコノヤロー!


「それで、アルさんもお妃候補なんですか?」

「いや、私はただの幼馴染ですよ。」


こんな奴のお妃候補なんてとんでもない。

辞退してやるわ!!!


「別に、恥ずかしがらなくたっていいんだよ。」


きゅっと後ろから抱きしめられる。


「アルはお妃候補なんかじゃないよ。僕のお妃様なんだ。

 候補なんてただの候補。別にお妃にしなくたっていいんだから。

 でも、アルは僕のお妃様決定なんだ。」


何をされるのか分からない恐怖と抱きしめられた驚きで

心臓がバクバクしてる。


やっぱり、末期か。末期なのか!?


「えっと・・・あの・・・」

「冗談だから。次期魔王なんだからお妃にはなれないわ。」


精一杯の力で腕を振り払いどうにかディズから逃げる。


「だから心配しないで。私は行くわ、じゃあね。」


そう言って、私はコーネリアの隣を通り過ぎる。

ディズのことはあえて見ません。


怖いので、絶対、怒ってるので。


「やっぱり、原作と違う。どういうことなのよ・・・。」


そんな声が聞こえてきた。


空耳だと信じたいのだが・・・。


でも、私以外にもこの世界のことを知っているのが二人もいるわけだし・・・。

他にもいるということがありえないわけじゃない。




むしろ、もう一人いると考えたほうが私的には納得が出来るのだ。




結構長めに書きました!

普通、ゲームの世界を知っているのって一人とかのが多いですケドも


私は複数人だしてしまいました(笑



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