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王道って何ですか?  作者: みるくコーヒー
第2章

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クレアの送魂術 sideディズ

「アル!!!」


僕は、転移魔法を使い紅煉の森の中心辺りに着く。

急いで気配を確認してみるが、ロジェの姿しか無くアルは何処にもいない。


・・・とりあえず、ロジェの所へ行ってみよう。


そう思い、僕は駆け出す。

数分でその場に着く程、近くにいたようだ。


「あなたも、私の邪魔をしますの?」


あいつは・・・レヴ国の姫か?

顔つきがとても怖く、一目見ただけではわからない。


「あなたも、彼女みたいに苦しめば良い。」


レヴ国の姫・・・確かジーン?が手を前にかざすと、ロジェは苦しそうに首をおさえる。


ジーンの言う彼女とは・・・アルのことか?

そう思うと怒りがふつふつと湧いてくる。


「お・・・お前・・・。」


ロジェが僕に向かって息を吐くようなかすれた声で言う。

僕を『お前』呼ばわりとは、聞き捨てならないね。


でも、今はそれどころじゃないんだ。


魔力を手の平で構成し、それをジーンに打つ。

彼女はそれを受け、少し怯みドサッと後ろに倒れ尻もちをついた。


僕はそこに瞬時に近づき剣を喉元に突きつける。


「あぁ、ディゼル様!!私に会いに来て下さったのね!?

やはり、私たちは愛し合っているのだわ!」


彼女は目を輝かせ、僕を見る。

何を言っているんだ、僕が君を愛したなんて、そんな事実どこにもないのに。


「アルはどこ?」


そう問うと、ジーンはニコニコと不気味な笑みを浮かべ


「あぁ、何故あの娘のことを聞くのですか?」


と言う。

その光景がとても気持ち悪くてそばにいたくなくなる。


この僕でさえも。


僕の(・・)アルはどこ?」


再び問うと彼女は笑みを消し、何の感情も無いような顔をする。


「僕の?僕のってなぁに?あなたは私ので私はあなたのモノ。

それ以外なんていらないわ。

・・・まぁいいわ、彼女はーーー・・・。」


ジーンが言いかけるとき、誰かが現れた。


それは、ヴィンと・・・横たわった女性・・・。


アルだ。彼女はアルだ。

僕はソレを瞬時に認識し、駆け寄る。


「そう、彼が始末したんだったわ。」


アルを抱きかかえると、アルはグデンと力無く首をたれる。


息・・・かろうじでしているが・・・これは危険な状態か。


僕は、ロジェの近くにアルを置きヴィンと対峙する。


「ヴィン・・・お前・・・。」

「俺はヴィンじゃない。」


ヴィンではない?

ヴィンでないと名乗る彼は僕をキッと睨む。


「彼はクレアの送魂術を受けたの。」

「な、んだと!?」


クレアの送魂術・・・それは、昔実在したクレアという魔女が作り出した魔法で今は禁術とされている。死者の魂を生きているモノに送りこみ、生者の意識を死者の意識が乗っ取り生存するというものだ。


「クサカ・トウゴ?だったかしら?それが彼の名前よ。」


クサカ・トウゴ・・・聞き慣れない発音に言い方だ。東国の者か?


しかし、そんなことどうでも良い。


「今、ここで死ね。」

「残念ながら、もう死んでるんでね。この体はまだ生きてるけど・・・。」


そうか・・・彼の体を傷つけることはヴィンを傷つけることになるのか。

それは、穏やかじゃないね。


僕は、拘束の魔法を密かに彼にかける。

しかし、パァンと音がしてソレがすぐに解かれた。


「俺に魔法は効かないよ。」


ふーん・・・じゃあもうしょうがないよね?

僕は剣を構えて彼、トウゴに斬りかかりにいく。


トウゴは避けきれずに僕の剣を受け、腹のあたりから血を出す。


「くっ・・・」


トウゴは、痛みから顔を歪ませる。しかしかすり傷、致命傷ではない。


「あぁー、もう使えないわねぇー・・・」


ジーンは何かを唱えだす。

数秒で詠唱が終わり、アルとロジェのまわりに5体の魔物が現れる。


・・・ん?魔物?


「行きなさいっ!」


その声と共に魔物が2人に襲いかかる。

くそっ!間に合わないっ!


「ナメんなっ!」


ロジェが腕から剣をだし、一瞬で魔物を倒す。

なぜ、尋問の時に剣が出たのかという謎が解ける。


「こいつはちゃんと守る、心配すんじゃねぇよ。」


ロジェは僕に言う。

確かに心配なんて不要かもしれない。


「あぁ・・・頼んだ。」


僕はロジェにアルを託し、再びトウゴの方を向く。

トウゴはキッと僕を睨む。


「キミがユウナちゃんを好きになってくれないと、俺が浮かばれないんだよね。」

「ユウナ?それ、誰のこと?」


僕の知り合いに『ユウナ』という名の者はいない。

それに発音の仕方などもトウゴと良く似ているので、同じ東国の者かもしれない。


一国の王子をやってはいるが、正直まず僕は東国の者をみたことが無い。

転移魔法で行けば良いと思われるかもしれないが、僕にはそんな遠くまで飛ぶことの出来る程の魔力はない。


きっと、アルなら単唱一つで軽く行くことが出来るのだろうが。


「まぁ、こっちの名じゃないから、分からないのも無理ないかな?

言うなって言われたから言えないケド。」


きっと、その『ユウナ』という人物はロジェの雇い主だった者と同一人物なのだろう。なぜ、そこまでアルを殺そうとするのか。


いや、きっと僕のせいなのだろうな。

その女もこのジーンも、僕の言葉のせいでこんな風になっているんだ。


ルーザの言うとおり、僕がいつも原因だ・・・「守る」などと言ったくせにだ。


こんな容姿いらなかった、いつもこのせいで女が群がる。

その中にアルはいない、アルが見てくれなければ意味が無いんだ。


最初は面白い奴としか思ってなかった。こんな好きになるなんて思ってなかった。

いつも僕の調子を狂わせる、可愛い可愛い僕のお姫様。


でも、僕が彼女たちに抱いている『嫌悪感のような感情』をアルは僕に対して抱いているのだろうか。きっと、僕はアルを傷つけて苦しめているだけだ。


「アルが僕の正室だ」なんてありもしないこと言って。

ただの僕の望だった。そう思いたかった。


アルはいつも嫌がっていた、否定してた。


あぁ、僕って最低だ。


「あの娘がいなくなればキミはユウナちゃんの方を向くんじゃないかって考えてるんだ。あ、俺じゃなくてユウナちゃんがね?俺はさユウナちゃんが幸せになってくれればそれで良いんだ。そりゃーね、うん・・・あの娘にはすっごく申し訳ないんだケドね。でもさ、ユウナちゃんの為なら死んでも良い命(・・・・・・・)だって思うんだ。」


「ペラペラ良く喋る口だねー、うるさいよ。」


走ればすぐに辿り着く距離だったため、僕は加速の魔法を使って一瞬で移動する。そしてゴンと蹴り飛ばし、彼が地面に倒れた所で馬乗りになり剣を喉元めがけて構える。


「これは俺の体じゃないんだぞ?」

「うん、知ってる」


僕はニッコリと笑みを浮かべてから喉へと剣を迷い無く一直線に振り下ろす。


バシッ!誰かに腕を掴まれる。

誰だと思って見てみると、ジェイドが顔をしかめて立っていた。


「やめろ、ディズ。ヴィンは何も悪くねぇんだ。」


・・・なぜ、お前が知っているんだ。そういう顔をすると、僕の胸に付いているラスターナ王国のエンブレムを指差す。


あぁ、納得。これには、僕がどこに行って何を話したかわかるよいや機能が付いている。全てジェイドに筒抜けになるという仕組みだ。

いつもは電源を切るか城に置いていくのだが・・・今日はそんな余裕が無かった。


まぁ、ソレが幸いしたのだが。


それにしても、またお前か。

いつも肝心な時に来るねー、ホント。


まぁ、今回だけは感謝してるよ。

理性を失いかけていた、もう少しでヴィンを傷つけるところだった。


「わかってるよ。少し脅してみただけ。」


僕はジェイドの手を振り払ってアルの元へ歩きだす。

既に広場には多くの騎士がいて、ヴィン・・・ではなくてトウゴとジーンは捕らえられている。


ジーンは僕の名を呼んでいたが僕は聞こえないフリをする。

僕がここで答えてしまっては、また悪化してしまうのだろう。


「あぁ、ディズ様!私を試していらっしゃるのね!?」


答えなくても悪化しそうだよ。

もう、いいや、放置。


アルの方に意識を戻すとリュリエスが治療をしていた。

傷自体は無いということは、ロジェはしっかりと守り抜いてくれたのだろう。


しかし、ロジェは救護班に運ばれているが。


「リュリエス・・・アルは?」


僕が恐る恐る聞くとリュリエスは神妙な顔付きになる。


「命は繋いだ、でも・・・深い眠りに付いてる。いつ起きるかはわからない。

明日かもしれないし、一年かもしれないし・・・最悪起きないかもしれない。」


そ・・・んな・・・。

アルをこんな目に遭わせたトウゴはもちろんのことだが

『ユウナ』という者への怒りが更に増す。


「とりあえず、城に連れて帰ろう。寝かせた方が良いからね。」

「そう、だね。」


僕はアルを抱きかかえ(世間一般的にいうお姫様抱っこをして)魔法陣まで運ぶ。


そしたら魔法陣で城に戻り、その一室のベッドにアルを寝かせる。

そして、前髪を分けて額に軽く口付けをする。


小さくリップ音が鳴る。

顔を離してアルを見ると少しだけ、くすぐったそうに笑った気がした。


僕はもうキミに迷惑をかけない。

もう正室になんて言わない、無理な愛情も押し付けない。


だからー・・・早く目を覚ましてよ、アル。



再び、携帯からです!

今回は少し長くなっちゃいましたw


さて、これで2章は終わりです!

え、キリが悪い?いや、結構良いんですよ、これがw


しかしながら、あと少しになると少し悲しくなりますね。

まぁ、新作ちゃんと考えちゃってますがw

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