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鬼畜王子の降臨



「ほんと、ほんと、なんでここにいるの?」

「アルに愛を届けに来た。」


そんなもの届けにわざわざ来なくてもいいよっ!!!


ここは、魔王城のはずだ・・・

なのに何で、何でここにディズがいるの?


「アル、これからデートでもしない?」


え、ディズと、デート?

いつ殺されるかわかったもんじゃないよ!!!


「ご、ご遠慮しm「そっか、そんなに嬉しいか。」


ディズが真顔で言う。


よし、そんなに怒ってない。

そんなに、怒ってないハズなのにオーラが!!!


先生、ディズ君のオーラが黒いです!!!


「アル、どこ行きたい?

 僕はアルが一緒ならどこだっていいよ。」

「わ、私だってどこでもいいです。」


どこに行ったって寿命が縮むのに代わりはないのですから。


私は半泣きになりながらそう思った。

ディズは、うーん・・・と深く考えこむ。


ディズは前世で言う残念なイケメンってやつだと思う。

なぜ、もっとまともではないのだろう。


もしかしたら、私がとてつもないドMなのだろうか。

いや、私は逆らえないだけでそんなことは無い、ハズ。


断言出来ないのがとてつもなく悔しい!!!


「じゃあ、魔王国の城下町でも案内して欲しいな。」


案内、とな?

それくらいならいいかもしれない。


なんといっても、この男は公衆の面前では変なことをしないのだ。


二人きりになんてなるよりもそっちの方がどれだけ安全か。


「えぇ、いいわよ。」


そう答えるとディズは微笑んだ。

なんだ、その微笑みは・・・何を考えているんだ?


そう考えながらも転移魔法を使って城下町の一角に飛ぶ。

そういえば、ディズはどうやってここまで来たんだろう。


「そうね、どこから案内しようかな?」


マルシェか、いやいや、噴水広場か・・・。


「そういえば、僕、朝何も食べてないや。」


その言葉でどこに行くか決まった。

私はディズの手を引いてその場所へと連れて行く。


「ここ、何?」

「何って・・・飲食店よ。」


ここは、魔王国でも一番有名なお店だ。

私もこのお店はとても大好き。


「いや、それは見ればわかるけど・・・」


そうか、きっとディズは見たこと無いんだ。

人間の国にはこういうお店がないんだろうな・・・。


前世でいう、居酒屋っていうやつだった。

それをもっとおしゃれにした感じのお店だ。


「おいしいのよ?おなかすいてるんでしょ。」

「うん、空いてる。でも・・・ここ・・・。」


私がお店の中に入ろうとするが

ディズはおどおどとしていた。


こんな姿めったに見れるもんじゃない。


「人間の国にはないから不安かもしんないケド

 別にそんな悪いところじゃないんだから。」


私は、強引にディズを引っ張りいれる。

飲食店にどれだけ警戒しているんだ、お前は。


でも、そんな姿が可愛く見えてしまう私は末期なのだろうか。


やっぱり、末期なんだ、きっと死ぬんだよ、殺されるんだ。


私達は中に入っていくつかの食事を頼む。

今はランチタイムだから結構混んでいた。


しかし、誰一人として私とディズに気づく者はいない。

そうだよね、こんなとこに私達がいるなんて思いもしないよね。


店員が料理を運んできて、コトッと私達のいるテーブルにおく。


それは、和食にも見えてとても日本が懐かしくなる。

しかし味は洋食そのものである。


この世界に和食という和食なんて米くらいしかないような・・・。


「・・・うまい。」


ディズが、おそるおそるソレを口にした後に言う。

まずいなんてことがあるかっ。


ディズは、凄い勢いでソレを平らげた。

どんだけおなか空いてたんだっていうね。


「そっかそっか、そりゃ良かったわね。」


私がニコッと笑うと、ディズは嬉しそうな笑みを浮かべる。

なんだ、その笑みは。


でも、どうしても悪意を感じない。

さっきの微笑みだってそうだ。


黒いオーラなんて全く無くて、いつものディズじゃないみたいだ。


だけど私は、その笑みが嫌いじゃなかった。

むしろ、好きだ。





私とディズは食事を終え、城下町をふらふらとする。

魔王国には良いところがいっぱいなんだぞ、と教えてやった。


そういえば、さっきから似たような人たちを良く見かける。


魔王国で布教でもしているのだろうか。

やめてくれ、変な信仰を持つ人たちはとてもめんどうなんだ。


「アル。」

「ん?何よ。」


今日は珍しく一度も寿命を削らしてこなかった。

凄い、初めてだ。


「明日からは、あんまり外に出ないで。」

「・・・は?」


いや、前言撤回!!!

鬼畜・・・じゃない間違えた、ドS王子はいつものままだった!!!


愛想笑顔を浮かべてなくて真顔なのがいつもと違うけど。


「いい?絶対だよ。

 僕が来たときだけなら許す。」

「ど、どういうことよ。私、何かした?」


ディスが一瞬、私じゃないどこかを見てからぶるぶると首を横に振った。


「ううん、アルは何もしてない。

 でも、城から出て欲しくないんだ。僕のお願い聞いてくれる?」


だから、それはお願いじゃなくて、命令っていうんですよ。


有無を言わさずディズは私の手を引き魔王城へと歩いていく。

そんなことしなくたって、転移魔法でひとっ飛びだよ?




この出来事から約2週間・・・

ホントに家から出してもらえなかった。


エルミナが、エルミナがディズに何か言われたんだ!!!


可愛い妹がディズの毒牙にかかってしまったのか!?

いや、そんなことは、そんなことはない!!!


なんたって、私の可愛い妹なんだ、それだけは何をしても阻止すべきだ。


「いや、しかし、そんなことしたら私の寿命が・・・ぶつぶつ・・・」



「先輩、お嬢様がまた何か独り言を呟いています!!!」

「そっとしておくというのが私達の暗黙のルールなのよ。」



メイドがアルフを見ながらそう喋っていた。

しかし、当の本人は全くそんな言葉が耳に入っていなかった。


他人に残念といえない程に自分も残念だということに

アルフは全く気がついていないのである。



主人公も残念な方です。


3章を最終章にしようと考えてはいます。

とりあえず、前世の記憶を全て思い出したら2章は終わります。


番外編とかも出したいなぁとか、今から思ってます。

いや、完結させてからの話なんですけども。


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