細胞
ここは第18番惑星、死を待つだけの星。そこに最後の一人がいた。
見渡す限りの砂漠だった。所々砂からビルの残骸がみえる。そんな中一人の男が歩いていた。
空には何もなく、ただ暗闇だけがあった。
水筒の水なんてもう残ってない、3日前に飲み干した。空腹に耐えながら生きるために最低限の量しか食べなかった食料ももう尽きた。それでも男は歩き続けた。
そもそもの始まりは30年前だったという。世界の気温が上がり始め北極の氷はとけ世界のほとんどは海に沈んだ。残った陸地も水分が奪われ乾燥した砂漠になってしまった。人々は昼は暑く夜は寒い、そんな過酷な環境を嫌い緑を求め様々な場所に散った。しかしもはや快適に住める土地など残っていなかった。
とうとう男は力尽き、最早風化しきって原型をとどめていない像にもたれるように倒れこんだ。
首からさげたロケットを開け中の写真を取り出す。それは男の愛する妻と子供の写真、たった4年前の写真なのに後ろに移った景色は今よりずっと緑があった。男に後悔はなかった、むしろ2人のもとへ逝けると思うと幸せですらあった。ただ、一つ、一つだけ疑問だったのだ。なぜこうなってしまったのか、この星に何が起こったのか、最期にそれだけが知りたかった。
しかしその願いも叶うことなく男は逝った、穏やかな顔だった。
こうしてこの星に生き物と呼べるものはいなくなった。明けること知らない夜と、一時期はあれだけの栄華を誇った彼らの遺した残骸だけがあった。どうしてこうなったのか、どうして滅んでしまったのか、それを知るものは・・・・
「せんせー、18番の容器で培養してた細胞が死んでます。」
「温度と湿度の調整をしとかないからだ!もう一度やり直せ!」
End
お読みいただきありがとうございます。
所謂処女作になるんですかね、初めまして841です。
これは子供のころにふと思ったことがアイディアの発端になっています。
つまり「自分たちの住む地球とか宇宙が実は生物の細胞とかの一つになってて、それを誰かが観察してたりしたらどうしよう」というものです。
なかなか突飛な考えですがしかしそこから物語を考えるのはなかなか楽しいものでした。
筆は遅い、文はダメダメ、内容は面白くない
現状はこんな感じです、しかしより精進できるようがんばっていきますのでよろしければこれからもお付き合いくださいませ。