私と不良(2)
「むう」
「お願いだから傷害を起こさないでくれ」
「傷害じゃないもん。ただの喧嘩だよ」
「喧嘩でも傷つくのは同じでしょうが」
ハルちゃんところに行こうと思ったら全力で庄吾に止められてやめる羽目になった。
いいもん、帰ったら3倍返ししてやる。
「それで、告白の返事を・・・」
そうだった、本題はこれだった。
「友情的な意味では好きだよ。
多分、男性の中では一番信頼している。
でもそれ以上は無い。
言ったでしょ?
私には人を平等に扱うことは出来ても特別扱いすることなんて出来ない。
私の中に恋愛感情なんてものは元々存在しないんだってば」
そう存在してはいけないモノなんだ。この感情は。
だから私は人を拒絶する。
人が私を拒絶するように・・・・
「俺はね、特別扱いされようとか思ってないよ」
「え?」
静かに私の言葉を傾けていた彼が重たい雰囲気の中、口を開いた。
「ただ澪の傍に居たいだけなんだ。
澪の傍に居て、一緒に歳を重ねて、澪が見ている世界を共有したいだけなんだ」
「それなら別に」
友達でも、そう繋げようとした私につらそうな笑顔で彼は笑った。
「澪がくれた温かい気持ちを友情にすることはもう無理なんだよ。
めちゃくちゃ好きでたまんない。
どんな制約受けようと澪と一緒にいるためなら頑張ろうと思うんだ。
俺と一緒にいることは嫌?」
「い、嫌じゃない」
嫌じゃない、嫌なはずがない。
好きじゃなかったらこんな遠まわしに、傷つかないように言葉を選ばない。
本当は・・・拒絶されることを恐れて傷つかなくてもいい位置である友人として居ようとしている。
多分そういう考えをハルちゃんはお見通しなんだろうけれど、だからと言ってそのまま突き進めるような性格は私はしていないのだ。
たとえ目の前で好きといわれても・・・
「なら俺は澪が拒絶するまで隣にいる。だから・・・」
ごそっとポケットの中から取り出したものにびっくりした。
それって意味、分かってるよね?