不良と大切な人(2)
夕方、一日中暇だった俺は今柄には無いことをやっている。
花の水遣り。
事の発端は数時間ぶりに来た澪からのメール。
『花に水やるの忘れたからお願い(ハート)』
俺に恥をさらせと?
そんな気がしてならない文章にやった振りをしようとしたが・・・・・・・・ハートでつられました。
・・・簡単で悪かったな。
もちろんおかげで後ろから、
「霧崎先輩が花遣りを・・・」
と珍しい目で見られている。
別に悪いことしてるわけじゃないし俺が水遣りをしようと何しようと勝手だろうが!!
「庄ちゃん意外なことしてるね」
そう無愛想に言ってきたのはこの学校の女バスのエース、いやこの学校に君臨している女王。
「悠理笑うな」
「え~~、澪先輩結構いい趣味してると思いますけれど」
あの趣味をいい趣味というお前らが分からねぇよ。
視線を花に戻し水をまく。
たっく、いつもこんな大きな範囲をやってるのかあいつは。
「ハートで釣られて今度は先輩と一緒にいるために花の水遣りの手伝いですか?」
ドキッと心臓が止まりそうになった。
つーか何でこいつは知ってんだよ。
時間が止まったように動かない俺を見て同じようにびっくりしているお姫様。
「え・・・マジ?」
え、まさかの予想でした?
それから後ろからお姫様の笑い声がとめどなく聞こえたのは言うまでも無い。
もう悠理笑うな!!