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不良と私  作者: 秋元愛羅
本編
49/72

私と新しい婚約者





あのお嬢様が居座って悠理に初めて自分の・・・庄吾にも誰にも言えなかった本当の気持ちを言った。


笑えない話だが自分の気持ちを伝えるのは苦手だ。


それは小さい頃からの教育やお母さんたちを心配させないためと思い込んでいた幼い自分が今の自分に影響しているのかもしれない。


でも悠理ならスッと普通に言えた。


多分、本当の私を見抜いた悠理だからこそなのかもしれないのだけれど。






「あら、元婚約者さん。こんばんは」


どうしていい気分に浸っていたのにあなたに会うんでしょうか。


出来れば・・・帰ってほしいぐらいだ。


どうせろくでもないことを言うに決まってる。


その前にこういうときは、


「こんばんは」


スルーが一番。


「な、なんで言ってこないのよ」


「何を?」


「あんたの婚約者が取られたのよ?」


「・・・親の決めたものだから実際は友達だし、私のほうもやめさせようと思えばやめさせられるし。


そう何か言うようなこともないと思うけど」


「それは・・・そうだけれども。


・・・で、でもあんな不届き者のようなやつをそばに置き続けていたあなたの本心が分からないわ。


どうせ私と同じように金目当てだったんでしょ。


それか新しく事業を始める資金源の調達か」


「・・・・・本気で言ってる?」


今、心の中でふつふつと湧き上がってくるものがある。


庄吾が不届き者?


まさか。見た目は目つきも悪いし柄も悪そうに見えるけれど、ちょっと不器用だけど心遣いも出来る優しい人なのに。


それを・・・・・・


「ごめん、物珍しさだったか」


彼女の品の無い笑いが私の甘い考えを苦しめる。


ああ、私の手で一人にさせるべきだったのかと。


本当は自分が甘えてしまってずるずるとこの関係が続けてしまうと思っていたから何も言わなかったのに。


人を愛せないくせに愛してほしいと願ってしまう私のために彼ををもうこれ以上巻き込ませないために。





「それにしてもつまらない男ね」


「・・・黙れ」


「え?」


「黙れって言ってんでしょ」


暗い中でも目が冴えてきているのか今彼女の顔が引きつっているのが分かる。


昔から彼女のことは嫌いだったけれど大企業の取引先という名目だけである程度の口の悪さや態度は目を瞑ってきたのに。


彼女はそれを分かっていなかったのようだ。


ついでに庄吾には悪いがあの弟も潰そうか。


調べて分かったところ彼の目的は私の体と権限だったみたいだから。


もちろん昨日あたりに後ろ盾は潰してもらったからあの弟は慌ててるだろう。


そして明日あたりにけりをつけに行って来るか。


ああ、どいつもこいつも、


「うるせぇんだよ」







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