不良と私と新しい婚約者(2)
離れていく、離れていく。
目の前に居る、手を伸ばせばそこに居るのに。
離れていく、そんな気がしてならない。
「澪、」
「澪ちゃん、こっち来て」
「騒がしいから、早く」
ささっとすり抜けるように行ってしまう澪。
先週までは『ちょっと行って来る』そう言って行ってたのを思いだす。
それもなくなってしまった。
今、隣に居るのは・・・・・
「ねぇ、これ分かんないからやって~~」
「自分でやれ」
このうるさい女。
ていうか、ここの系列で何も勉強しないのは落ちる一方でむしろ卒業するのが難しいの目に見えている。
“教える”はいいけど“やってもらう”は命取りの行為だ。
それでなくてもつけてる香水が臭い。
「澪、これなんだけれど・・・」
「あ、これはね」
一番救われたのは部屋に関しては何も言わなかった。
というかあいつ俺を使えば澪に勝てるモノがあるんじゃないかと探ってんじゃないか?
俺を使っても何も出てこねぇって。
早く分かれよ・・・・・・・
「庄吾は知ってたの?」
「え?」
「婚約者が変わること」
少しトーンが下がったような気がしたのは気のせいだろうか?
「いや、俺がホテルに行ったときに知った」
「そっか・・・・・」
今、笑ってる澪の方を見たくない。
隣に居るのに見たくない。
だってもう澪は・・・・・・