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見合い(3)
ああ、彼を見て私は確信した。これが狙いだったのだと。
つーかあいつらも同じ考えか。なんちゅうめんどくさいことを。
「えっと……………………はじめまして、野澤澪です。
心身共に尽くすよう努力致しますのでよろしくお願いします」
で、いいのかな?面倒だけどどんな相手だろうとちゃんと接しなければならなければならないから。
だけど一気にひっくり返された、別の意味で。
彼は眉をよせあからさまに嫌な顔をした。
あっれ・・・・・・・失敗したかなぁ。
それじゃあやばくね?私。
内心焦りつつ冷静を装った。
『当主なる者焦っていても平然としていろ。絶対に焦った表情をばらすな』
隠居した爺様が言っていた言葉。
誰であろうが冷静であれ。次期後継者として育てられていた頃に身についた教訓。
これらはどうしても抜けないのだ、体に染み付いて。
「お前、中身、最悪だな」
いきなり言われた言葉。
脈絡も主語もない言葉にだただた驚くばかり。
ただ、今、別の意味であの子を思い浮かべているのは何故だろう・・・・・・・・・・・・・?