私と不良の家(4)
夜、俺は自分の部屋で星を見ている。実際は考え事をしているのだけれど。
トントン
「竹井か?」
「はい、そうでございます」
そういうと音も立てず入ってきた。
相変わらず物音を立てず静かに入ってこれるよな。
「澪様はお部屋で使用人どもと話しております」
「澪らし」
笑って答えると複雑そうな顔をした。
「澪様は何を思っているのか分かりません。気をつけなさいませ」
「ああ、まぁ分からないな。
でも澪は悪いやつじゃないよ」
ただ少しSっぽいところはあるけど、その言葉は飲み込んでおく。
だけど竹井は複雑そうな顔のまま。
「それと、澪様に自分自身がどれだけお綺麗か理解されるようお努めください。
彼女の場合は口で説明してもお世辞と解釈されてしまうでしょう」
確かに鍵をかけなかった事件からあれこれ過ごしてきたが全く自覚がないことは分かった。
一回あいつらに相談したが無理だった。むしろ遊ばれた。
『庄ちゃんが毎日綺麗とか言えば自覚しますよ』
完全に解決策じゃない。俺に毎日こんなの言えると思っているのか?
健次じゃあるまいし俺は言えねぇっての。
数々の類似事件を思い出しため息をついているとまたドアから物音がした。
「澪様でございますね」
「え?」
竹井の言葉にびっくりしながらもあっちからの声を待つ。
そして
「私だけど入っていい?」
澪の声がした。
エスパーになったのか?
「入られますか?」
「え、ああ」
竹井はドアを開ける。
もちろんだけど澪が見える。
「あれ竹井さん。もしかしてお話中だった?」
「いいえ、今終わったところでございます。
すぐ退出いたしますのでごゆっくり」
そのまま澪を通すとバタンと閉めて行った。
「ごめん、なんか邪魔しちゃった」
そばにあったソファーに座るとシュンとした表情を見せた。
「いや、ほんとに大丈夫だから。
それよりさ俺、澪に部屋教えたっけ?」
一瞬思ったことを口に出した。
「え?ううん。玲美さんが行って来てくださいって案内してくれたの」
「へ、へぇ」
あいつらか・・・・・・・・
「意外とシンプルなんだね」
部屋を見渡して言う澪。
ここに入った人間は両手に数え切れるほどしか居ない。
特に女となるとほとんど居ない。
だからなのか恥ずかしい。
「庄吾の部屋、いつも汚いのに」
「・・・・・・入ったことあったの?」
「うん、いつも入ってるよ。あれ気づいてなかった?
朝、起こすとき揺すってるのに」
そう言えば起こしてからちょっと経って起きてくるね。
笑いながら話す澪を見て凍りついた。
うん。帰ったら掃除しよう。絶対しよう。
新しい事実を知って決意を固めたのであった。