私と不良の家(2)
現在お庭を散策中。
前には庄吾が居る。
お昼までには時間があるのでお庭を散策してくださいって竹井さんが。
あの人、客人しかも女の人のツボを分かってる。
だって客室を通るときずっと庭のほう見てたの分かってたみたいだし。
色とりどりの花が咲いている。
配色もきれいだし結構手間暇かけていることが目に見える。
誰がやってるんだろう。後で聞いてみよう。
「澪はさ」
「ん?」
「親と離れてても寂しくはないのか」
後姿しか見えない庄吾の背中はどこか儚さが感じられる。
「うんん、感じたことはないよ。みんなが居るし先生たちも結構遅くまで居るから話相手してくれるし」
それしあの家にとってもう私は部外者だから。
花を見る振りをしながら自虐的に笑ってしまう。
初めはいやいやだったあの場所がいつの間にか救われる場所になるなんて小さいころの私はそんなこと思わなかっただろう。
いや思うはずなかったんだ。
あんな事故が起きるなんて誰も予想しなかったんだから。
「澪、どうした」
「え?」
い、いつの間に私の隣に居たの。
「かぶれたのか?それともなんかあったのか?」
「ど、どうしたの。急に」
「お前、泣いてるんだぞ」
えっ。
驚きつつも頬を触る。冷たい水滴がついたことが感じられた。
私、泣いてたの?
「大丈夫か?」
心配そうに見つめる彼がなんだかおかしくて。
「大丈夫、目にごみが入ったみたいだから」
見え透いた嘘をついた。
ただあまりにも見え透いた嘘だったのがいけなかったのか。
「帰るぞ」
「え」
「いいから帰るぞ」
そう言ってずるずると屋敷のほうへ連れてかれた。
もう、心配しすぎだてば。