私と不良の家(1)
「庄吾の家は洋風なのね」
「まぁな」
無事庄吾の家に到着した。
海が近くにあるらしいことやこの家は現在はあの親の別荘となっている事などを庄吾から聞いた。
ただの興味本位。
たったそれだけのことなのにわくわくとするのはやっぱり他人の家だからだろうか。
基本洋風の家なんかに入ったことは少ない。
寮生活をしているためかまずそうそう他人の家に上がることなどないからだ。
もうちょっとおしとやかにしないとなぁ。
「お帰りなさいませ、庄吾坊ちゃま。
ようこそいらっしゃいました、野澤澪様」
扉の向こうに待っていたのは数人の生のメイドさんと一人の年配の人。
歳は40代後半。
ここの取締役のようだ。
「ただいま」
「お邪魔します」
そう言って上がる前にてきぱきと仕事をしているメイドさんたち。
なんか慣れない。
部屋を案内してもらって客間に入らせてもらった。
一気に静かになる空間。
客間なのか装飾品がかなり豪華だ。
ただ現在の私にとっては結構憂鬱なもの。
基本質素な生活をしている。
可愛いものは好きだけど派手なものは嫌いだから。
『女の割にはこざっぱりしてるよな』
私の部屋に入ったときの庄吾の反応。
女の子の部屋に入ったがある発言されてむかついたのを覚えている。
だからあちらとしてはもてなしなのだろうけどこっちは落ち着かない。
しょうがないか。もともと洋風の家なんだし。
豪華な装飾に彩られた部屋をもう一度見るとため息をつくのであった。