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不良と私  作者: 秋元愛羅
本編
31/72

一時帰宅と天才





あの二人が帰ってきたのは昼過ぎだった。


どうも先輩の弟、義をつけるのかどうかは判断しにくいあの少年と話していたらしい。


しょうがないことだけども、あまりあの弟が好きでない。


いや可哀想という感情しか出てこないのもあるけども。


先輩が先輩でない時期はとっても見ていて痛々しかった。


何も思わない、何も映らない、まるで日本人形のような存在。


私がそのことを指摘してからはそうでもなくなったけれど。


時々、人に見せないところでやる冷たい目は誰もどうすることもできなかった。


でも今は・・・・・・・・・・・・・・・・






「悠理、お婆様がねこれ」


「こんなにたくさん!!!!」


「よろこんでたよ」


そう私の好きな笑みを見せる先輩。


ふわっとしてこっちまで嬉しさを感じさせるような笑みは本当に好きだ。


「重てぇ」


「お疲れ、庄吾」


「これは俺に対する嫌がらせか」


「だって」


「お願いだから豊を遊ばせた後はやめてくれ」


「女の子にこんな重たい荷物持たせるの?」


「それは・・・・・・・」


見た目の反して女、子供を大切に扱うこの人にとってはその行為は考えられないものである。


なんというかこいつらのためなら死ねるって言うアクション映画みたいな主人公。


まぁ実際私の周りにも子供のため(特に恵まれない、複雑な家庭事情がある子供)に人生捧げてますって言う人がいるから何も言わないんだけど。


あの人の場合、度が酷いんだよね。


たとえ馬鹿馬鹿しく思える行為ばかりするあいつのせいだとしても。


・・・・・・・・話がずれた。


今は楽しんでいる先輩をどう止めるかだ。






「豊喜んでたし結果オーライって言うもんだよ」


「喜んでたけどさぁ」


このブラコンめっと聞こえたのは無視しようか。


「あ、悠理」


「はい」


「庄吾の家から帰ってきたら話しあるからいい?」


「はい」


そういうとふふっと笑いながら庄吾先輩と一緒に部屋へと戻っていった。






先輩、今どんな顔しているか分かりますか?


ふと見ると冷たい目をした人形のような表情が、人を判別する氷のような視線がまったく違うものになっているんですよ。


どう表せばいいのか分からないけれど。


たとえるなら健次が要ちゃんにだけ見せる表情と、気取っている奴が優菜をみる慈しむような視線と同じなんですよ。


そして庄吾先輩も。


ただ二人とも気づいていない。


出会い方は間違っているけれども今はただ彼らに幸福が訪れるように努力するだけだ。







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