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不良と一通の手紙
「は」
「だから・・・・・」
「はぁぁぁあああああ」
5月。
入学式から1ヶ月。
成り行きもなく澪の口から出た言葉が俺に衝撃を与えた。
「いいじゃないですか。澪先輩のおばちゃん家の和菓子、ものすごくおいしいですよ」
「いや、そういうわけじゃないだろ悠理」
「うん、お婆様が喜ぶ言葉だけど」
やっぱりここはお嬢様言葉か。
心につっこみながらもこうなった成り行きを整理する。
事の始まりは一通の手紙からだった。
澪宛てのきれいな便箋の手紙で送り主は野澤桐恵。
澪の祖母からだった。
その内容はあいつらが決めた婚約者、要するに俺を連れてゴールデンウィークに泊まりに来いと言うもの。
ぜって―――――嫌だ。
俺に対する嫌がらせか?
「じゃあ、2人の家に行けばいいじゃないですか」
だがら、そういう問題じゃねぇって。
「………………でも庄吾の家、行ってみたいなぁ」
…………………澪まで乗るな。
こうして、澪の祖母の家、俺の家(一家の別荘)に一泊二日泊まることになった。
「お土産、期待しています」
「お前、ぜってぇ楽しんでるだろ」