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不良と私  作者: 秋元愛羅
本編
11/72

天才と私 (5)





何かを守り抜く為にすべてを投げ出す決意はあなたにはあるか。






私が見たものは・・・・・・・・・・・・・・


「野澤先輩」


あの天才だった。


ここで見なかった振りでもしようかと思ったが無理だと判断した。


「こんばんわ、時田ちゃん」


「変な感じがするので悠理でかまいません」


「じゃあ、私も澪でいいわ」


多分、つられてだと思うけどそう言ってしまった。


基本的に私は他人が何言おうと害がなければいいと感じているから呼び名なんて気にしていなかった。


それから私が最初から居なかったと思わされるように彼女は練習を始めた。


それならさっさと帰ればいいのに帰れなかった。


だって、彼女が笑っていたから。






「まだ居たんですか」


「結構練習しているのね。私も練習しているけどここまで遅くやっていないわ」


現在11時。ほとんどの子は寝ている時間だ。


「知ってます。3,4年ぐらい前から遅くまで電気が付いていたことは知ってますから」


「・・・・・・意外。私が遅くまで練習しているのを知っているのはあまりいないのに」


だいたいみんなが自主練が終わったぐらいに来て練習してるから。知っている人なんてほんとにわずかなのに。


「あ、やっと表情が崩れた」


「・・・・・・・・・・・・・・は?」


『あ、やっと表情が崩れた』・・・・・・・?


今さっきまで自主練の時間のこと話してましたよね?


お願いだから脈絡を考えてください。


「自分、ずっと不思議に思ってたことがあるんです。なんでそんなにうそ笑いするんですか?しかもいつもいるメンバーの先輩たちにまで」


ここで言ううそ笑いというのは愛想笑いのことよね?


もしかして会う前からばれてた?


「ついでに歩く日本人形みたいで怖いですよ。目に感情がほとんどこもってないです。要ちゃんみたいに押し殺しているわけでもなく」


あ、歩く日本人形。ついでに要ちゃんが悠理に会ったときの反応理由はこれか。


って目に感情がこもっていない?どういうこと?


「目に感情がこもっていないって・・・・・・・・・・」


「簡単ですよ。先輩、将棋の駒を見るみたいに選んでいうっていう意味です。ただ先輩にとっているかいないか関係ないって言う目。自分、その目が嫌いです」


確かに、計算した。彼女は自分にとってどれだけ価値があるか。


もしかして彼女はすべて知っていた。私の考え方も、他人に対する見方も。だから私は嫌われた。


確かに人から見れば最悪な人間だ。


将来こういうことをするとはいえ自分のプライベートまで駒のように定めているのだから。


本当は彼女が怖かったんじゃなくて知られるのが怖かったのかもしれない。


醜く、弱い自分が知られるのが。






「ねぇ、悠理」


「はい?」


「私も優希ちゃん達の仲間入りしてもいいかしら?」


「・・・・・」


今度は彼女が絶句する番だった。


「だって面白そうなんだもの、あなたが」


まだ、怖いと思う部分があると思う。


でも彼女なら、“時田悠理”という存在なら信じられる気がする。






心の隅で叫んでいる私がいた。







――――――――――――――私を見つけて――――――――――――









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