私は超絶美人だ。それに頭も良いし運動神経も抜群だ。そして髪の毛も真っ白、凄く目立つ。良いように目立つ。だって美人だから。
翌朝、昨日はごめんねと改めて謝ってきた佳の対応をしながら、私は自分の身の振り方をどうしようかを考えていた。
私は超絶美人だ。それに頭も良いし運動神経も抜群だ。そして髪の毛も真っ白、凄く目立つ。良いように目立つ。だって美人だから。でも、私は良いように目立つ――つまり、キラキラした目で見られるのが苦手。いや、害。単純に害だ。吸血鬼の血を引く私はそのような『陽』に弱いんだ。
話題の人気女優が街を歩いていれば、男女構わずキャーキャーと囲まれて羨望の眼差しを向けられる。私は常日頃から思っている。
よく笑顔で対応できるよな‼ と。
彼女達に負けず劣らず、いや勝っている私にもそのようなことが起きるのだ。
話が逸れた。
身の振り方を考えていたんだった。
そんな私が、凛としていればどうなるか? 黙った美人は怖く見えると結構言われる。私は(以下略)だから、もちろん近寄り難い雰囲気が漂うだろう。それと同時に憧れられるのだ。そしてこれは経験したことで、そうして澄ましていると、そんな私を快く思わない連中が出てきて嫌がらせをしてくる。当時の私は圧倒的なスペックでそれをねじ伏せたけど、それはそれでまた目立って更に憧れられる。キラキラした目で見られるのだ。
うぅ……思い出したらキツイ……。凛とするのはやめよう……。
となると、その反対、親しみやすいキャラでいくか。これは実は試したことが無い。
中学時代は凛としていたせいで、キャラを崩すことができなかったからだ。
まだ転校二日目、キャラはブレブレでも緊張を言い訳になんとでもなる。
私は(以下略)だ。そんな私が親しみやすいキャラでいけばどうなるか。
(略)の私が親しみやすい……あっ、無理だ。
キラキラした青春を過ごす私。圧倒的『陽』の中にいる私。消し炭になってしまう。
無理だ無理だ。
駄目だ、えぇ……私どうしたらいいの?
考えても考えても、良い答えは見つからない。なんでこんなにも目立つ容姿なのさ‼
私がこの血をガルルルと睨んでいると、前の席に座る佳が不思議そうな顔をしていた。
「ねー、聞いてる?」
「……ごめん聞いてなかった」
「考えごとー?」
「うん」
「どしたん?」
私が一人で悩んでいる最中も、佳は喋っていたみたいだ。
それなのに、自分の話が聞かれていないと分かったのに、私の心配をしてしてくれる。
……この人、良い人すぎない?
もう一度話を繰り返すんじゃなくて、私になにがあったのかを聞いてくれる。やはりギャル、圧倒的『陽』だ。
ところがどっこい、悲しいことに誰かに相談できることでは無い。だからなんでもないって答えるべきなんだけど、そう返すのが良いのだろうか。
「あー、言えない系?」
「神か?」
おいおい、そこまで気を回すことができるのか。恐らく私の表情を見て察したと思われる。
「私の前の席が佳で良かったよ」
「えっ、ちょっ、急になに⁉ うち口説かれてる? いっやー、なっちゃんみたいなちょー美人に言われたらマジ照れるんですけど‼」
「いや違うから。佳が良い人すぎて驚いてるだけ」
全く、変な勘違いをするな。シンプルに恥ずかしい。
キラキラした目で見るな。うわぁ、キツイ……私の身がもちそうにない……‼
こうなってしまったら、自分の身の振り方をどうするのかなんて考えることなんてできない。
まだ朝だというのに、この調子だと昼までもつかどうか分からない。




